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切ない片思いあなたは気づかない ---- そこは先輩と初めて出会い、多くの時間を共にしてきた部室。 「んで?話って何?」 「えぇと、そのですね、伝えたいことがあって…」 「ふぅん、何?」 「えっと……一年間こんな僕を指導してきてくれた感謝…とか」 「とか?」 「…卒業しても頑張って下さい、…とか」 「とか?」 「えぇと…その…」 「…俺、ダチ待たせてんだけど」 「あっ、すいません、その」 「……」 「……」 「…僕のこと、忘れないで下さい…」 それだけ、何とか言えた。先輩はそっぽを向いてガシガシと頭をかいて。 「あぁもう、図体のでかい奴がそんな震えた声出すなよ、まったく」 あぁ、最後まで僕は叱られっぱなしだ。 「急かせば言うかと思ったのによ」 言って寄って来て、ポケットからボタンを僕の手に握らせた。 「今日の記念にやる。他のにやるつもりなかったし」 呆然とする僕に、先輩は笑って言った。僕の一番スキな笑顔で。 「これからも記念日には色々やるから、楽しみにしてろよ?」 僕は、そのときになって初めて、先輩の制服に第二ボタンが無いことに気付いた。 だから、先輩の言った意味も、まだよくわからずにいた。 「ほら、いつまで惚けてんだよ。行くぜ」 先輩、大好きです、いつまでも。声には出せなかったけど、先輩は手を握りかえしてくれた。 先輩に手を引かれながら、僕はこの先ずっと続く桜並木へと足を踏み出した。 ----  
気弱後輩×強気先輩 ---- そこは先輩と初めて出会い、多くの時間を共にしてきた部室。 「んで?話って何?」 「えぇと、そのですね、伝えたいことがあって…」 「ふぅん、何?」 「えっと……一年間こんな僕を指導してきてくれた感謝…とか」 「とか?」 「…卒業しても頑張って下さい、…とか」 「とか?」 「えぇと…その…」 「…俺、ダチ待たせてんだけど」 「あっ、すいません、その」 「……」 「……」 「…僕のこと、忘れないで下さい…」 それだけ、何とか言えた。先輩はそっぽを向いてガシガシと頭をかいて。 「あぁもう、図体のでかい奴がそんな震えた声出すなよ、まったく」 あぁ、最後まで僕は叱られっぱなしだ。 「急かせば言うかと思ったのによ」 言って寄って来て、ポケットからボタンを僕の手に握らせた。 「今日の記念にやる。他のにやるつもりなかったし」 呆然とする僕に、先輩は笑って言った。僕の一番スキな笑顔で。 「これからも記念日には色々やるから、楽しみにしてろよ?」 僕は、そのときになって初めて、先輩の制服に第二ボタンが無いことに気付いた。 だから、先輩の言った意味も、まだよくわからずにいた。 「ほら、いつまで惚けてんだよ。行くぜ」 先輩、大好きです、いつまでも。声には出せなかったけど、先輩は手を握りかえしてくれた。 先輩に手を引かれながら、僕はこの先ずっと続く桜並木へと足を踏み出した。 ----  

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