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金魚すくいにいる亀 ----  自分より小さい「魚」は、自分の餌だ。  私は長い間かけて自分の居場所の特徴を悟った。このつるんとした場所は 仕事場。自分の仕事は「そこにいる」こと。もう大人となったこの身体で。  ごく稀に、遊びとして<モナカ>の―あるいは<紙>の―網を身体の下に 滑り込ませる客もいる。しかしもちろん自分を持ち上げられるはずはない。  そんな時興行主はこう言う。 「お客さん、あの亀、とって帰ってくれませんかね。こいつ、金魚を喰っちまう  んですよ。全く仲間意識のない奴でね」  時には、私が水槽中で食欲を抑え切れなかったときには特に、こう話すことで 彼は客からの更なる数回分の散財を引き出すことに成功するのだ。 ―ばかな。餌をちゃんともらっていれば、彼らを食べる必要などないのに。    ああ神様、彼を食べさせないで下さい。どこで聞いてきたのか、 「くまのみといそぎんちゃく」や、「きょうぞんかんけい」等と言いつつ、 私の甲羅についたミズゴケをついばみ、むず痒さを紛らわせてくれる彼が 近くにいるときに、私が常に飢えていることを思い出させないで下さい。 ―お願いです。どうかどうか神様。 ----   [[しーずむ ゆうーひにー てーらされてー まーっかーな ほっぺたのー きーみとぼくー>6-839]] ----

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