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金魚すくいにいる亀 ---- ひらひらと目の前を綺麗な赤い色が通り過ぎる。 他の誰とも違う色を、あの子は纏っていた。───それは目を奪われずにはいられないほどの。 傍に行きたくて。せめて、もっと近くでその色のひらめきを見てみたくて。 一生懸命泳いでみるけど、4本もある僕の足はどれもこれも短くて、バタバタとただ不恰好に水を掻くだけだった。 追いつけない、どうしても。 たくさんのひらめき。たくさんの色。 美しく、優雅に泳ぐ彼らの中で、僕だけが異質だ。誰もが僕を避けるように通り過ぎていく。 どうしてだろう。どうして僕だけが、こんなに彼らと違うかたちをしているんだろう。 もしかして今はこんなに異質でも、いつか重い甲羅は脱げて、足は優雅に水を滑る、しなやかな尾ひれに変わるのだろうか。 そうしたら、あの子に追いつけるのかな。 きっときっと、追いつける。 いつか来るその日を夢に見て、今日も僕は必死に水を掻く。 一生懸命前に進む。 ああ、今はこんなに不恰好でも。 いつか絶対に、あの子とひらめくように泳いでみたいんだ。 どうか明日がその日でありますように。 ----   [[金魚すくいにいる亀>6-829-1]] ----

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