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眠れない夜の話
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…眠れない。
ごろり、寝返りを打つ。
熱くて寝苦しくて俺はこんなにも苦しんでいるのに、隣の馬鹿はすやすやと安らかな寝息を立てている。
なんだか妙にむかついて、もぞもぞとうつぶせになって、顔を覗き込む。
汗ひとつ掻いてない顔。手を伸ばして前髪を掻きあげると、整った顔が良く見える。
「…このやろう。疲れてるのは分かるけど、もっと構えよ」
ぎゅう、と鼻をつまむ。八つ当たりなのは分かってるけど。
息が止まって苦しそうに、微かに眉が寄って行く。ソレを見て俺は手を離した。
馬鹿らしい。こんな事で起こしたらまた迷惑かけちまう。
疲れてんだからそんな事はしたくない。
「…しょうがねぇなぁ」
ふー…と溜め息をひとつ。
それから俺は手を伸ばして抱きついた。
嫌がらせと甘えを含めて、力いっぱい密着する。
汗を掻こうが暑くて目が覚めようが、知った事か。
抱きついている、こいつの体温を感じる、ただそれだけでなんだか眠れそうな気がした。
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[[明日なんてこなくてもいい。>6-799]]
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