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コーヒー牛乳ふいた
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とりあえず放課後、俺たちは図書館に行ってみた。
「アナルセックスのやり方」を調べるためだ。
調べ物といえば図書館、俺の中でごく当たり前の図式だった。
結構広い私立図書館は3階まであって、フロアごとにジャンル分けされてるわけだが、
俺は入り口の館内地図の前でフリーズ。
ジャンルですか…分類ですか…どんな本をお前は探してるんだよと、早くも関門登場ですね。
そもそも、どんな本に記載されているものなのか?
ええっと…性の指南書とかそんな感じか?正しい性生活?ん?正しくないかも?
あれか、子供の作り方が載ってそうな…いや、子供はできないから違う!
なんて、グルグル考えているうちに、あああああああ…
俺の後ろにおとなしく控えているかと思ってた俺が間違っていました。
「すいませーん」
パタパタと小走りで、貸し出し口のおばさんに向かっていくあいつ。
ちょっと待て――――!!!待ってくれ!!!
「あの、アナルセ……ムゴゴ」
はいそうだねー。聞いたほうが早いよねー。そう思うよねー。
でもやめて!絶対やめて!勘弁して!!
そう懇願気味で、俺はあいつの口を手で押さえつつ、図書館から引きずり出した。
そして気付いた。そもそも、本があったとして、見つかったとして、
それをこいつとふたり、ここで読むっていうこと自体、さらなる関門じゃないか。
同じ理由で本屋もスルー。
結果落ち着いた先、俺んち。
こういうとき一番役に立つとひらめいたもの、インターネット。
我ながらよくここに気がついた。最良の選択だ、なんて俺、自画自賛。
「へー、委員チョの部屋初めて来た。きれいだね。俺の部屋なんてきたねーしくせーし」
ほめてくれてありがとう。でもなんで君は、早速ベッド直行で寝転がるのか。
まあ、いいけどね…でも「あ、委員チョの匂いがする」とか言うのはやめてくれ。
なんか恥ずかしいから。なんかドキドキするから。なんか知らんけども。
パソコンの電源を入れ、起動を待つ間に母親がおやつを持ってやって来た。
ああ、今日の俺のプチトラウマなコーヒー牛乳がありますよ。
「あは、コーヒー牛乳だ。委員チョ好きなの?」
好きですよ。牛乳嫌いの俺だけど、コーヒーが入ってれば飲めるってんで、
我が家の冷蔵庫には常備してあるわけだが、今日は飲みたくなかったよ母さん。
アナルセックスのために奔走した今日の一日…ほろ苦いコーヒー牛乳を飲む度に思い出してしまいそうだ。
パソコンが立ち上がったところで、検索サイトを表示し、検索語句を入力する。
『アナルセックス』…なんだか、俺のパソコンが汚された気がするよ。
時にお前、俺にこんな単語を入力させている張本人は、なんでそんなにくつろいでいるのか。
俺が見てないと思って、ベッドの下とか覗いてもマットレスの下とか探っても、エロ本なんか出てこないぞ。
俺の視線に気付いて、イタズラを見けられたときの子供の顔をする。
「いいの見つかった?」思い出したようにそう言って近づいてきた。
まったく、調べる気があるのかないのか。
そもそもなんでそんなことを知りたがっているのか?
そうだ、肝心のそれをまだ聞いていなかった。
俺の背後からパソコンを覗き込むあいつに、問うてみた。
「ん~、なんか俺、男から告られてさ。付き合うとかわかんねーけど、一応真剣に考えないと悪いじゃん」
さらりと返ってきた。
俺はまた、コーヒー牛乳を吹いた。パソコンの画面に向かって。
その上こぼした。キーボードはコーヒー牛乳でひたひた。
変な音を立てて、俺愛用のノートパソコンはダウンした。
はい、完璧なコーヒー牛乳のトラウマ完成。いろんな意味で。
今日は『アナルセックスのやり方』を調べるのはもう無理だと思った。
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[[眠れない夜の話>6-789]]
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