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あの舞台に立ちたかった ---- もう動かない足に爪をたてる。 もう立てない足に憎しみを込める。 「何やってんだよ。」 勝手に部屋に入ってきたのは今度の公演で俺の代わりに主役をするあいつ。前は二人で頑張ってきたはずなのに、今は殺したいほど憎々しいあいつ。めりこんだ爪を足から離された。 血が、出てた。 「せっかくの綺麗な足が台無しじゃねぇか。」 その言葉に泣き叫びすぎて枯れたしまった声が蘇った。 「・・・もう・・・いらない・・・こんな足、いらない・・・・・・。」 ああ、まだ溢れ出すほどの涙が残っていた。声と共に枯れたと思っていたのに。 「・・・事故って恐ぇもんだな。あんな強気だったお前が今じゃまるで人形だ。」 ゆっくりと顔を上げる 「人形・・・?」 俺を見下ろすあいつはとても綺麗に見えた。 「ああ、人形だよ。綺麗なまんまなのに、まるで生きてる気がしねぇ!足ぐれぇでなんだよ!!お前はそんないじいじしたやつじゃねぇだろ!!!」 いきなりの叱咤に、俺は動くことができなかった。 見開いた目からなおも流れる涙。止めたくても止まらない。 「でも、俺はもう舞台に立てない・・・。生きる意味を失った・・・そうだろ?」 何とか微笑んだつもりだがうまく笑えただろうか? 家族もいない天涯孤独の俺たち。そんな俺たちを拾ってくれた義父さん・・・親孝行するために、義父さんの劇団で働いて・・・俺のファンたんだぜ?客が一気に俺目当てで増えたんだぜ?なのに、こんなタイミングで俺は動くことができなくなった・・・。 「もう・・・義父さんに合わせる顔がねぇんだ。だから、お願いだよ。お前が客を集めてくれ。お前が、劇団を盛り上げてくれ。」 最後の方なんて押し寄せる泣き声でちゃんと声が出なかった。情けない。そう思った瞬間あいつは胸倉をつかんで、無理やり俺を立たせた。 「ざけんなよ!やれることやろうとも思わねぇのかよ!!今のお前だってやれることはあるだろうが!」 俺は目を見開いた。今の俺にやれること・・・?ぽかんとした顔をしていると床に叩きつけられると共に一冊の台本を投げつけられた。 「足で立てねぇって言うんなら、這いつくばりゃいいだろ。別に立たなくったってやれることはあるんだ・・・!」 扉を乱暴に閉めるとあいつは走り去っていった。 這いつくばる?俺は今だ放心状態で、ちょっと時間がたってから投げつけられた台本を読んでみた。 内容に、俺は涙した。 義父さんが病気の少年が主人公の台本を書いてくれていたのだ。俺は車椅子での生活をしている少年。あいつはその親友役。 台本の最後には義父さんと劇団員全員からのメッセージがかかれていた。 俺は顔をくしゃくしゃにしてあいつからのメッセージをよんだ。 『早く復帰しろよ。俺にお前の変わりはできない。お前しか主役はハれない。』 あの舞台に立ちたかった。 いや、もう立たなくていい。 這いつくばってでも、俺は―――――――、 ----   [[踏めやゴラァ>6-609]] ----

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