「6-369」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

6-369」(2011/04/18 (月) 00:45:07) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

最後のメール ---- 『今日の夕飯どーする?』 いつもどおりに空はくすんでいて、いつもどおり町は無駄に賑やかで、 僕はいつもどおりくたくたで帰り道を行き、いつもと同じようにかれにメールを打つ。 当たり前で、ありふれた一日の終わり。 自分の家に帰る前に、僕は一人暮らしのかれのアパートに寄っていく。 赤貧イモ洗いなやつなので、弁当や、バーガーや、時には酒とつまみを差し入れにして。 それはかれに初めてであった、大学時代からの習慣だ。 大事なひと。大好きなひと。いやなことがあっても、かれに会えば全部吹っ飛ぶ。 かれに会いに行くことが、僕の一日のなかで一番の楽しみだった。 メールの返事を待つことなんてなしに、僕はコンビニで弁当をふたつと缶ビールを五本買った。 僕の分が二本、呑んべえのあいつには三本。アルコールの差し入れは珍しいから、きっと喜ぶだろう。 (今日は何を話そう) (そういえばあいつが楽しみにしてたドラマ今日からだ) (待っててくれるかな) そんなことを考えて、僕は大人気なく小走りになってアパートを目指す。ポケットの中で、 部屋の合鍵がちゃりちゃりと鳴る。 曲がり角の向こうではバイクが全力疾走していたけれど、ブロック塀に遮られて僕には見えない。 ――それがさいごのメールになるなんて、だから僕は、そのとき思いもしなかった。 ----   [[最後のメール>6-369-1]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: