「6-359」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

6-359」(2011/04/18 (月) 00:43:47) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

俺がおまえを好きになるわけがないんだ。 ---- 葉桜の影で薄青く染まった項を、斜め後ろから眺めている。  少し先を歩くおまえに声をかけられないのは、隣に彼女がいるからだ。  告白されたどうしよう、と相談されたのは先週の金曜日。  どんな子なのと訊いただけでおまえは頬を染めたから、背中を押されたいだけなのだと気づいて俺は答えた。 「いいんじゃない? 付き合ってみれば?」  俺の答えにおまえは、うろたえたように視線を宙に泳がせる。 「付き合う、って何すりゃいいのかな……」 「そうだな、待ち合わせて学校に来たり帰ったり、一緒に昼飯食ったり?」  素直なおまえが彼女を誘って登下校を始めてから、もうすぐ丸一週間になる。  俺たちがいつも乗っていた同じ電車に、今はおまえは彼女と乗っていて、俺は少しだけ遠慮をして別の車両に乗る。  そしてこんなふうに距離をおいて、おまえと彼女を眺めている。  クラスが違うから昼飯は別々に食うほうが便利だとおまえは言って、俺と食堂に行く習慣は変えずにいる。  変わったことといえば、話題にテレビやゲームだけじゃなく彼女が混じるようになったことくらいだ。  興味あるフリして相槌を打ちながら、俺はおまえに問いかける。心の中で。 (なあ、おまえまさか、彼女との初エッチも俺に相談したり報告したりする気じゃないだろうな)  冗談めかして訊けたら楽になれるだろうか。だが、言葉にしようとすると唇が震えてうまくいかない。  おかしいな。おまえは普通に女が好きで、彼女がいて、俺のことは友達としか思っていない。俺もおまえを、友達だと思っている。  なのにどうしてだろう、おまえが彼女の話をするたびにイライラする。これはいわゆる”ヤキモチ”ってやつか?  けど俺は男だし、おまえも男だし、俺たちは親友同士のはず。だから、こんな気持ちは変だ。  付き合ってみろなんて言わなければよかったと思っているなんて、俺はおかしくなっている。  これは違う。絶対に違う。 (俺がおまえを、好きになるわけがないんだ……) ----   [[最後のメール>6-369]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: