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軍人 ---- 「俺もここで終りか。」 腕の傷を包帯で手当てしながら小隊長が呟く。 誰がこんなにも無意味なことを始めたんだろう? 俺は小隊長の様子をみながらぼんやりとそんなことを考えていた。 はっきり言って現実逃避だ。毎日そこらじゅうから爆音と銃声が聞こえ、硝煙の匂いが体に染み付く場所で、寝たり・命がけで戦ったりしてるんだから。・・・嫌にもなるさ。 「だいぶこっちに近づいてきちまってるな・・・。」 銃を再び構えた彼は、割れた窓硝子から外の様子を窺っている。 仲間が一人、叫び声をあげながら倒れた。 彼は精悍な顔つきをやるせないように歪めると俺にドッグタグを投げた。 そして、 「お前は、生きろよ・・・」 それは今まで見たこともないぐらいの笑顔で・・・俺は思わず見惚れた。 それから声を発するまもなく彼は銃声の絶えない死の場へと駆け出した。 俺は独り、泣き叫びながら小隊長の名を呼んだ。 ----   [[軍人>6-099-1]] ----

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