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駅員 ---- 駅のホームに立っているのを毎日見つめる俺・・・。 あの人は俺の視線に気付いているんだろうか? 今日はわざと白線より外側に出た。電車が俺の前を通り過ぎる直前にだ。 はっきり言ってどうかしてたのかもしれない。この感情は恋だと認めたくなかった。 この間は目があっただけで顔に血が一気に登ってきた。 認めたく、ない。だって俺は同性愛者なんかじゃないからだ。 今までだって女の子に普通に好意をいだいたりしてきた。でも男なんかに・・・。 試したかったんだろう。きっと。俺は今にも自殺しそうな顔で白線の外側に足を踏み入れた。 白線を越える瞬間、あの人に目をやった。 すると、信じられないほどの凄い剣幕で俺のほうに走ってくるではないか。 恐すぎてこっちの顔まで引きつってしまった。 電車が通り過ぎるギリギリのところで俺は止まったというのに、その人は俺の腕をつかんですぐに白線の内側に引き戻す。 風が、凄かった。 今までこんなに電車が通るときおこる風を意識したことがあるだろうか? 彼の人は長い前髪が風で目にはいったのだろう。痛そうに目をつぶった。 そして、帽子が風に舞い上がって、空に消えていった。 「何してるんだ!!」 先ほどの顔にも負けないほどに怖い顔で俺をおこる。ああ、綺麗な眼だと、この期に及んでそんなことを考えてしまう俺は、 やっぱり恋をしているらしい。 ----   [[成績優秀、容姿端麗な生徒×気の弱い保険医>6-049]] ----
成績優秀、容姿端麗な生徒×気の弱い保険医 ---- 「せんせー、しっかりしてよ。そんなんじゃ悪い生徒に保健室乗っ取られちゃうかもしれないわよー?」 怪我の手当てからいつの間にか雑談に切り替わっていた中、そう言って冗談めかして笑った生徒に僕は困ったような笑みを返す。するとその子は「ほらまた」と苦笑交じりで指摘した。 その時は、その子の言葉の重要性に気づいていなかった。いや、本気にすらしてはいなかったんだ。 次の日、昼休みも終わろうかという時に保健室のドアを軽く叩く音がする。 どうぞと言って入ってきた人物を見ると、全国でも5本の指に入ると職員室でも噂の生徒、水瀬一樹の姿がそこにあった。 「すみません、少し気分が優れなくて…」 そう言って少し力無い微笑をこぼす彼に、思わず見惚れてしまう。 成績優秀、容姿端麗という表現がまさにぴったりな生徒。僕みたいに外見も中身もパッとしない人間にはちょっと眩しすぎる位だった。 「先生?」 無言のまま固まってしまった僕に、どうしたのかと水瀬君が声をかけてくる。 「…あ、ご、ごめん。ええと、じゃあとりあえず熱測ってみようか。そこの椅子に座っててね」 慌てて誤魔化すように背を向けて戸棚の体温計に手を伸ばす。背後では規則正しい足音が聞こえて、歩くことすらも模範的なのかな、とぼんやり思った。 だけど、次の瞬間に起こった出来事にさっきまでの思考は吹き飛んでしまった。 ふ、と手元に差し込んだ影にあれ、と思う間もなく両脇からするりと手が伸びて、肩に軽く重みが乗せられてきた。 「え」 腰に回されるすらりとした腕。視界の端に映る薄茶の髪は、今自分の首筋を擽っているものと同じものだろうか。 …ということは。つまりこの重みの正体が… 「先生…」 吐息交じりの声が耳の側で囁かれる。脊髄が麻痺してしまうかと思うような声だった。 「み、みみみみみ水瀬くんっ!?」 突然のことに声が裏返る。何が起こったのか頭が混乱して分からない。 ど、どうしたらいいんだろう。と言うか何がどうなっているんだろう。 「申し訳ないんですが、一人じゃ歩けないみたいで。ベッドまで手を貸してくれますか?」 …あ、なるほど。 「う、うんわかった。大丈夫かい?あまり酷いようなら早退して受診した方がいいからね」 さっきの自分のうろたえっぷりに恥ずかしさがふつふつと込み上げてくる。 彼は具合が悪くて来たというのに、何を考えてたんだと軽い自己嫌悪に陥った。 肩を貸すようにしてベッドまで歩き、彼が腰を下ろしたのを確認して手を離そうとすると、ぐい、と腕に強い負荷がかかって気づけば天井を見ていた。 「…あれ?」 いったい何があったのかと呆ける僕の耳に、くすくすと楽しげな笑い声が聞こえてそっちのほうを見た。 「先生、だめだよこんな初歩の手に引っかかっちゃ。一応他にも手を考えて来てたのに」 すっと頬に手が添えられる。長い指先が首筋をなぞる感覚に何とも言えない感覚が走る。 何と言うのだろう、こう絶対的なものを突きつけられたような、逆らいがたい力のような… 「え、えと、あの…」 身動きも出来ず、蛇に睨まれたなんとやら。元々気が強いほうではない性質のためか、すっかり及び腰になってしまっている。 「逃げないんだね。俺が何しようとしてるかわかってる?」 「い、いや…ぜんぜ…ぅわあっ!?」 後ずさるように上体を起こしながら首を振ると、その動きを封じるように引き摺り戻されてその上勢いよくシャツを捲り上げられた。 「な、何を…え、待っ…ぁあ…っ」 そして混乱と静止の訴えを無視するようにべろりと肌を舐められる。 どうして、という言葉がぐるぐると頭を回る。どうして、彼のような生徒がこんな事をするのか。 「…先生、俺のこと模範生とかそんな風に思ってたでしょ。職員室での勝手な教師のご都合思考通りのいい子だって。でも残念でした」 『そんなんじゃ悪い生徒に…』 笑って言われた昨日の言葉が一瞬頭をよぎった。 「ずっと先生にこうしたいって思ってて、こういう騙し討ちみたいな方法を選んじゃう悪い生徒なんだよ。本当は」 彼を拒みきれなかったのは、僕の気が弱いせい…なだけだったんだろうか。 ----   [[意地っ張り同士>6-049]] ----

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