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背の高いひまわり
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「とうとう君に抜かれちゃったなァ。」
真夜中、小柄な少年は僕に水をくれながら笑う。
言葉もなにも持ってないから
僕は想うだけだけど
僕は君が大好きで誰より感謝してる。
僕は君に種を植えてもらった。
沢山の水を与えてくれて、
毎日笑いかけてくれた。
日当たりの良いところに埋めて貰えた。
僕はなにかを君に返したい。
けれど、僕は薔薇のように美しくなんてないし
椿のように甘くないし
ラベンダーのような香りも持っていない。
ただのしがない背高のっぽのひまわりで
夏が終わる頃には首をもたげ死んでいく。
それまでに、なにかを。
君に僕の精一杯のなにかを返したい。
けれどもそれすら思いつかない僕は
本当にふがいない。
「ねぇ親友。
僕はね皮膚の病気で一度もみたことがないんだ。
でも君を見ていたら太陽っていうものがなんとなく分かるよ。
君を見てると元気になるんだ。
今年君が死んでも君が残した沢山の種で、
来年はここにいっぱいの太陽ができる。
僕だけの太陽だ!」
ああ、僕は泣くことすらできないけど、
ありがとうと伝えることも出来ないけど
それでもひとすじの風が吹いたので
こくんとはうなずけたかもしれない。
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[[打ち上げ花火×線香花火>7-789]]
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