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若旦那 ---- 「…よせ」 困ったように眉を寄せ、切れ長の眼に不似合いなほど長い睫毛が伏せられる。 僕はすこし強気になる。 「そんな口の利き方して良いんですか?」 僕の言葉に、神経質に生えそろった睫毛の間から抗議の視線が返ってきた。 「では…それこそお客様、ご冗談はおやめ下さい」 もちろん訴えは却下。 「冗談じゃ無いですよ?…それに、僕がこうして通い詰めてる」 理由をご存じなんでしょう? そう囁くと、こわばった身体から力がゆるゆると抜けるのが分かる。 骨張った首は意外なほど澄んだ手触りだった。 そう、あなたは分かっているんだろう。 そして悩んでいるんだろう。 身体に宿るその熱に。あるいは――その薄い肩に背負うであろう人生に。 「綺麗な肌」 「…やめろ」 でも許しはしない。 あなたの欲望を暴いてあげる。 きっちり合わせた着物の襟元に指を這わせ、そのまま布だけをそっとなぞる。 「口の利き方に気をつけてくださいね」 笑顔で告げると、さっと頬が朱に透けた。 ----   [[Aが他の人を好きなのを知ってるけど諦めきれないB。他の人に恋をして世界が輝いて見えてるA。>7-989]] ----

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