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魚座A型×牡牛座O型 ---- 「なんかこの番組の占い、いっつも魚座が最下位の気がする」 ソファの上で膝を抱え、太一はリモコンをいじっている。 「そんなことはないだろ。一昨日は二位だった」 「えー、俺それ知らない!」 「寝坊するお前が悪い」 「うぅ~」 だって久し振りのオフだったし、このごろ睡眠不足だったし、と太一の愚痴が続く。 浩二はかちりとコンロの火を止め、半熟の目玉焼きを皿に盛った。 「げっ」 「どうした?」 「A型も最下位だー。なんだよ俺に恨みでもあるのかよー」 占いの神様に見放されたらしい魚座A型の太一は、しくしくと泣きながらクッションを抱き締めた。 「占いくらいでいちいちわめくな」 「おーおー、いーよなーどっちも一位の牡牛座O型さんはよー」 「知るか」 「あっ、ラッキーアイテム!」 唐突に黙り込んでテレビに集中していた太一の顔が、みるみる暗く沈んでいく。 「なんだった?」 「……魚座はピーマン」 「食えばいいじゃないか」 「A型は緑じゃないものだった」 「あー、それは……」 つくづくツイてない男だ。 浩二は少し考えると、まな板の上の野菜を取って太一に放った。 「うわっ、何?!」 「それでも食っとけ」 「何これ、パプリカ?」 太一が受け取ったのは、赤い肉厚の野菜。 「赤ピーマンだ」 「いやパプリカじゃん。今日のサラダにも入ってるし」 「同じようなもんだ」 いいから食え、と言って、浩二は目玉焼きをテーブルに並べる。 釈然としない気分のまま、太一は赤い果肉にかぶりついた。 「青臭っ」 「よし、これでお前の今日の運勢は好転した。気分よく仕事に行けるな?」 「うん」 「ならしっかり朝飯食って、いい顔で撮られてこい」 浩二は牛乳を注いだコップを差し出し、太一ににっと笑いかける。 そっちの笑顔のほうがよっぽどいい顔だ、と思いながら、太一はコップを受け取った。 しゃくなので、牡牛座のラッキーパーソン「愛を囁いてくれる人」には帰ってからなることにした。 ----   [[馥郁たる香り>7-409]] ----

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