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きまじめボディーガード×わがまま社長?
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「お願いですから、勝手に抜け出すのだけはやめてください。」
今日も懲りずに警備の目をかいくぐって抜け出そうとした社長を何とか捕まえて、いつものお願いを繰り返す。
「お前も本当に真面目だよね。ちょっとぐらい平気だって。」
頭が痛くなってきた。この方はいつもこうなのだ。
ご自分がどれだけ大きなものを背負っておられるのか、それがわかっていないわけではないのだろう。
ただ、警戒心が足りないのだ。有り体に言えば、お人好しで鈍感。
背負っておられるものの重さはわかっていても、ご自分の価値をわかっておられないのだ。
そうして奔放に生きておられるあの方を、人はわがままだと言う。
だが、実はそうではないと私は思う。そう見えるだけだ。
あの方が求めていることは、欲しているものは、同年代の青年なら普通に持っているもの。
ただ一般的な若者が日常行っているような、そんなごく当たり前のことなのだから。
それなのに、私はあの方からそんな当たり前すら奪っている。
あの方を守るためとはいえ、ヒドイことをしていると思う。
嫌われても仕方が無いことをしているのに、あの方はいつも私にお優しい。
「仕方ないなぁ。今日のところはお前のその生真面目さに免じて我慢しておくよ。」
そして私は今日も、あの方から当たり前を奪うのだ。
人はこんな私を、生真面目で忠実なボディーガードだと言う。
あの方に当たり前の幸せすら与えられない私を。
それでも私があの方のためにできることが1つだけある。
その身の安全、そんな当たり前を守ることだけのためにどれだけ嫌われようとも私はあの方のお側にいる。
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[[雨中の銃声>7-189]]
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