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三世 ---- ノックもせずに扉を開いた。なるべく不躾になるように大きな音をたてて。 案の定驚いてやがる。俺は口の端をあげて大仰にお辞儀をしてやった。 「お久しぶりです」 ロッキングチェアに腰掛けたジジイは目を見張った。 立とうとするがしわしわの足と手がいう事を聞かないらしい。 「…お前は…お前は蘇ってきたのか…」 「バカ言うなよ。孫だ。耄碌しやがったんじゃねえのか。  ピチピチの俺と祖父さんを間違えるなんざ、失礼にも程があるね」 そうか、と微かにうな垂れるジジイに俺は嫉妬の炎に焦がれる。 昔、昔々。俺の祖父さんは祖母さんと出会う前、このジジイと恋仲だったらしい。 そしてオヤジが生まれ、そのオヤジから俺が生まれ、このジジイに出会い…。 俺は祖父さんを見つめるジジイに恋をした。 「ジジイ、12年前の約束、覚えてねえっつったらこの場で殺す。ウンと言いやがれ。  俺は今日成人した。さあ、嫁にしろ。祖父さんの身代わりじゃなく、俺を愛せ」 「……何と身勝手な。わしとお前、いくつ離れていると思うとる」 「知らねえな。数える事に意味はあんのかい」 「お前も男で、わしも男だ」 「それでもアンタは独身だ。それにあんたは、男の愛し方を知ってるだろう?」 「………本当に身勝手だな。…判ったよ。根負けだ。まったく面倒な三世を残してくれたモンだよ」 いらっしゃい。 開かれた手に俺は飛びついた。 ---- [[マフィア>7-049]] ----

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