「7-029」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「7-029」(2011/04/17 (日) 01:32:42) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
その時触れられたのは指先だけで
----
彼はベッドの上でぐっすり眠っていた。
昔大好きだったけど些細なことで喧嘩して、それきり会わなくなった人。
もう会う事なんかないだろうと思っていたのに、
彼が事故に遭って入院していることを人づてに聞いてしまい、
悩んだ末に見舞いに行ったらこの状態だ。
ベッド周りにはいろんな装置が置かれ、
頭には電極のついた帽子のようなもの、鼻の部分にはチューブが付けられ、
腕には点滴の針が刺さってる。
点滴がついていない方の手を握り、声を掛ける。
彼は相変わらず眠ったままだ。
そっと髪を撫でる。また彼の名を呼ぶ。
一瞬むずがる様な表情を見せた後、彼はゆっくりと薄目を開けた。
「○○?」
俺の名前を呼んだ後、彼は震えながらゆっくりと手を伸ばしてきた。
俺のことを触って本当にいるのか確認しようとしているんだろう、
そのまま彼が俺の顔に触れるのをじっと待つ。
触れられたのは指先だけで、彼はその後口角を上げて少し微笑んで。
彼は力無くぱたりと腕を落とし、また目を閉じた。
周りの装置の一部が慌てたように点滅を繰り返す。
俺は側にあったナースコールボタンを力いっぱい押した。
----
[[三世>7-039]]
----