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二人がかりで
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何事も二人がかりで取り組めば、完璧に近い形を作り上げられた。
例えば、夏休みの宿題。
例えば、文化祭での二人司会。
例えば、大学での卒業研究。
一人では不可能に感じることも、二人がかりだと些細な事のように思えてくる。
俺らは自他共に認める最強のコンビで、行く先に怖いものなどない。…はずなのだが。
はぁ、と溜め息を漏らした俺を見て、相棒が困ったように笑った。
「そんなに緊張しないでよ。俺にまで伝わってくるじゃない」
ほら、幸せ逃げちゃうよ? と続けた相棒は、いつも通りへにゃりと表情を崩した。
「この状況で緊張しない方がおかしいんだよ。あー、汗かいてきた」
俺はそう言いながら、黒いスーツに両手を拭いつける。
落ち着かず、ソワソワと体を動かし続ける俺に呆れたのか何なのか。
急に相棒は俺に手を差し出した。
意図を掴めず、呆けた顔を上げた俺に、相棒はこの上なく良い顔で俺に告げたのだ。
「今まで俺とお前、二人がかりで取り組んで不可能な事なんてあったかい?」
途端に全てを理解した俺は、ニヤリと笑って差し出された手を強く握る。
「いや、無いな」
だって俺らは
「「最強のコンビだからな」」
そう言い放って、顔を見合わせた俺らは思わず噴き出した。
一通り笑い終えると、俺はぽつりと言葉を漏らした。
「しかし、立ちはだかるのがお互いのオカンとオトンになるとは…」
困ったように顔をしかめた俺に、やっぱり相棒は飄々とした態度で俺を慰める。
「まぁ、何とかなるでしょ。二人一緒に白タキシードを着させてくれって頼むだけだし」
「…お前が言うと案外簡単そうに思えてくるよ」
「物事はシンプルに考えるべきだよ。そんなに難しい事じゃないはずさ」
「お前が言うのなら、そうなのかもな」
そう呟いた俺は、繋がれたままの相棒の手をぎゅっと握り、空を見た。
そうだ。二人がかりで取り組めば、不可能な事なんて無い。
これまでも、きっとこれからも。
「さぁて、行きますか?」
間延びした相棒の声に促され、俺達は二人がかりの未来へと一緒に足を進めた。
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[[二人がかりで>19-929-1]]
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