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高校を卒業したら ---- From 和也 Sub (non title) ―――――――――― 秋さん、久しぶり 母さんから聞きました 十年近く付き合っていた女の人と別れたそうですね 大丈夫ですか ひとりで家事できてるんですか To 和也 Sub (non title) ―――――――――― うるさいよ。 お前こそ、まるで女の気配がないって 姉さんが嘆いてたぞ。 早く彼女のひとりやふたりぐらい 家に連れていってあげなさい。 From 和也 Sub Re: ―――――――――― 俺、昨日卒業式だった To 和也 Sub (non title) ―――――――――― おめでとう。 From 和也 Sub Re: ―――――――――― 約束だろ To 和也 Sub (non title) ―――――――――― かわいい女の子紹介してや そこまで文字を打ち込んだところで、携帯が震え出した。 通話ボタンを押して温かくなったそれを耳に押し当てる。 「もしもし」 『はぐらかそうとしてましたよね』 「何が?」 『今、秋さんちの前』 「……若いうちから視野を狭めることはないだろ。 大学に行けばいろんな人がいていろんな世界がある」 『そんなの分かってます。 でもあんた以上に俺が好きになる奴なんてどこにもいないんです』 「和也」 『俺だっていつまでもガキじゃない。 なのにあんたはいつもいつも』 電話越しに聞いた甥の声は、機械を通したせいか無機質だった。 彼がまだまっさらな制服に腕を通していた頃交わした約束は、 彼の道を正すために交わした約束で、 俺にとっては守るためのものなんかじゃなかった。 彼が今どんな表情でいるのか、どんなことを思っているのか、 それを受け止めるのは俺の役目じゃない。 『秋さん、好きです』 「……もう遅いから、早く家に帰りなさい」 こうやって俺は、この子を中途半端に突き放すずるい大人のままでいるのだろう。 ----   [[二対二>19-909]] ----

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