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もう一人でかがやけない ---- 「近づくなよ……。もう放っておいてくれ」 「泣きながらそんな台詞言っても説得力ねえよ」  なんでお前はいつも俺につきまとうんだよ。へらへら笑って散々俺を 振りまわして、だけど最後は「付き合ってくれてサンキュ」なんて、屈託 のない笑顔を浮かべるから、俺は疲労もなにもかも忘れてしまう。  そんで、俺がボロボロになった今も、お前は相変わらず俺につきま とっててさ。マンションまで押しかけてきたかと思うと、なんか食うか、なん てほざいた。勝手に冷蔵庫を物色したかと思うと、具のやたら大きなカレー を用意してきた。 「泣きたいなら、泣け」 「……優しくするな、気持ち悪い」  テーブルの上に乗った、空になったカレー皿。まだスパイスの香りが残る 部屋の中で、お前は俺を抱きしめる。  「……」  「ひとりで生きていける」  小さい頃、――いや、ついこないだまで抱いていた幻想。だけど、今は。  「お前がいるから、……お前のせいで」  俺はもう、一人でかがやけない。もう、ひとりでなんか立ち上がれない。 ----   [[僕の叔父さん>5-759]] ----

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