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じゃぁおでんでも食うか ---- (やっと、終わった……)   あと少しで完成するはずだった企画書に致命的なミスを見つけた。  慌てて直しにかかったものの、もともと俺はあまり要領のいい方じゃない。  なんとか修正を終えてプリントアウトまでこぎつけた頃にはすでに終電もない時間になっていた。  当然、社内には俺一人だ。この妙に静まり返った空気はそんなに嫌いじゃない。 (駅前のカプセルにでも泊まるか……いや、それより先に飯だな)  ほっとした途端、猛烈な空腹感に襲われる。昼食の後はおやつに小さなマドレーヌをひとつ食べたきりだ。  何を食べようか、この辺りでまだ開いてる店はいくつあっただろう。  そんなことを考えていると、廊下の方で小さな物音がした。 「お、やっぱりまだいたか」 「先輩!」  入ってきたのは同じ部署の先輩だった。  俺より2歳上で実は出身校も同じだが、あっちは成績トップ入社で出世頭、俺とは格が違う。 「どうしたんですか」 「通りがかったらまだ窓に電気ついてたからさ、お前まだいるんじゃないかと思って。企画書できたか?」 「あ、はい、なんとか」  プリンターから吐き出された企画書をチェックしながら、俺は先輩の方を見た。 「どうだ、おでんでも食うか。腹減っただろ」  先輩は白いビニール袋から白い容器を取り出した。 「高架下の店のやつ、ちょっとテイクアウト用に詰めてもらったから。お前大根好きだろ」 「マジっすか?」  俺はおでんに飛びついた。中には大根とつみれと卵とコンニャクがほこほこと湯気を立てている。  反射的にくうとお腹が鳴った。 「ありがとうございます~!めっちゃ腹減ってたんですよ、助かりました」 「惚れ直しただろ」  何を言ってるんだか。  そういうことは女子社員にでも言ってやれば喜ぶと思うけど。モテんだから。 「マジで、俺が女だったらほっとかないっすよ」 「女だったら?」  そう言って先輩はくしゃっと笑った。 「……そりゃ残念だ」 ----   [[記憶喪失>5-719]] ----

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