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別れたいわけじゃなかった
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同級生同士、いつも一緒にいて、仲のいい友達で、
そういう関係になってからも友達同士の延長みたいな、
同性ってことで人から連想されがちなドロドロしたことなんて
おれたちにはほとんどなかった。
学校行って、卒業してからは仕事に行って、アパートに帰って、
テレビ見て、たまには夕飯作って食ったり。
そんで風呂入って、盛り上がればエッチして、寝る。
その繰り返し。平凡で幸福なぬるま湯生活。
なにも言わなくてもお互いの気持ちがわかったし、
わかってることもお互いわかってた。
一生愛し続けるだの浮気したら殺すだの
まわりまで巻き込んで大騒ぎしてるカップルよりも
おれたちの方が幸せだって信じてた。実際その通りだったかもしれないのに。
あいつの帰りが遅くなったり
休日に一緒にいられないことが多くなったり。
おれはすぐに気づいた。
部屋で一人テレビを見ながら、おれはテーブルにマジックで
きゅきゅきゅ、と書いた。
「浮気すんなよばーか。出てくからな。バイバイ」
それから、適当に服を鞄に詰めて、ほかの友達の部屋に
転がり込んだ。
何度も電話があって、メールが来て、でもなんだか
気恥ずかしいのと事情を説明されるのが怖くて、
おれはとうとうそれからあいつに一度も会うことがなかった。
新しい恋人もできて、おれはあいつのことを忘れた。ほとんど。
「お前のこと愛してる。一生愛してるって誓う」
「おれも。…もし、おれが浮気したらどうする?」
「お前を殺して俺も死ぬ」
「嬉しいな」
「なあ、前の恋人ってなんで別れたん?喧嘩でもしたん?」
「…別れたいわけじゃなかった」
なぜか涙が頬をつたった。
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[[医学部長×薬学部長>5-679]]
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