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ツンデリズム
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最近、ハルのやつはツンデレツンデレと煩い。
そんなに好きなら、僕がそのツンデレとやらをやれば喜んでもらえるだろうか。
まずは調査。インターネットなどによると、どうやらツンデレとは性格の一種らしい。
『人目のあるところではツンツン、二人きりだとデレデレ、略してツンデレ』だそうだ。
つまり、人前ではつれなくして、誰もいない時にベタベタすればいいようだ。
よし、今日にでも早速、と考えたところではたと思い出した。
今日は一日、家の中で二人だけで過ごす予定だった。ということは終始ベタベタすることになる。
これではいつもと変わらないじゃないか。
困り果てていると、ふと、ツンデレにはもうひとつのタイプがあるらしいことに気付いた。
『表面上はツンツン、内心はデレデレ、略してツンデレ』というのがそれだ。
一言で言えば、意地っ張り、のようなものか。
これなら二人だけの時でも出来る。ハルが来たらやってやろう。
昼過ぎ、ハルが借りたビデオを抱えてやって来た。
「ナツキ、なにか見たいのある?」
「見たくない」
即答すると、ハルは驚きに目を大きく見開いた。
うまくいっているようだ。続いて、ハルが見たいなら見る、と言えばいいはずだ。
「まぁ、ハルが見たいっていうんなら、一緒に見ても……ハル?!」
なぜここで泣くんだ?なにか間違ったのだろうか。
「ごめん、ナツキぃ」
「え?」
「なんかわかんないけど、謝るから怒らないでくれよぉ」
ぐすぐすとハルは泣きじゃくる。
参った。仕方ない、すべて白状しよう。
「ハル、お前、ツンデレっていうのが好きなんだろ?」
「へ?うん、そうだけど」
「それを聞いて、お前に喜んでもらおうと思って、僕もツンデレに挑戦してみたんだ。
どうやら失敗してしまったようだけど」
言いながら、なんだか情けない気分になってくる。
と、ハルはぱちくりと瞬きした後、へなへなと座り込んでしまった。
「ハル?」
「よかったー、嫌われたわけじゃなかったんだ」
えへへ、と泣き笑いのような表情をし、ハルは僕にぎゅっと抱き着く。
「確かにツンデレは好きだよ。けど、ナツキはいつもみたいに素直クールなほうが、俺は好きだな」
素直クール。また知らない言葉が出た。
調べるのはとりあえず後回しにして、僕はしがみついて離れないハルの頭をなでてやった。
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[[矛盾>5-529]]
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