「5-299-2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

5-299-2」(2010/10/21 (木) 18:28:29) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

アリとキリギリス ---- 兄は何もできない。 針を持てば指を刺し、鍋を持てば髪を焦がす。 「あーもう、何やってんだよ。貸せよ」 「ごめん、ごめんねケンちゃん」 そのたび、僕は横から手を出す。 仕事を奪われ、兄は突っ立って泣くばかりだ。 兄は何もできない。 兄は何もできない。 人見知りの激しい兄は友達も作れない。 それどころかいじめの対象になっているようで、毎日どこかしらに傷を負って帰る。 「ケンちゃん、」 「いいから。腕、見せて」 「ごめんね、ごめんね」 血の滲む肘に消毒を吹き掛けると、兄はか細い悲鳴をあげて泣く。 兄は何もできない。 兄は何もできない。 僕がいないと何もできない。 「あ、ケンちゃん、ケンちゃ、あぁっ」 ただひたすら、僕の下で鳴くだけ。 君はキリギリス、僕は獰猛なアリ。 ----   [[気持ちいい?>5-309]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: