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籠の鳥 ---- 今日こそは、と意を決して誘った居酒屋。 酒の勢いを借りなきゃ告白ひとつできねぇ俺は最低だが、この際しょうがない。なるようになれ、だ。 だけどなぁ、おい。 隣でこいつは浴びるように酒を呑んでばくばく食って、楽しそうにしてやがる。 甘さはかけらもありゃしねぇ。俺の一大決心は木っ端みじんだ。 選択ミスなのはわかってるがなぁ、だって俺らに、バーだのフレンチだのは似合わねぇだろ? でもなぁ、これは。 「あれ?おまえ全然飲んでねーじゃん。ワリカンなんだからさ、イけよ」 「……あぁ。」 「なぁなぁ、これ気にならね?『籠の鳥』だってよ。オシャレだなぁ」 「……どーせ焼鳥かなんかだろ。虫籠とかに入った」 「ぷっ、なんだよそれムードねぇ」 お前にゃ言われたくねぇよ、と心で毒づく俺を無視して、奴は声を張り上げる。 「おねーさーん。『籠の鳥』で!お願いします!」 おいおいまだ食うのかよ。 あきれて頭を抱えた俺を尻目に、こいつはへらりと笑って日本酒を煽った。 あぁもう。そんなところも好きだよチクショ。 しばらくして5本の串が入った小さな竹編みの籠が運ばれて来たのを見て、 「ほらーオシャレじゃん」 とか目を輝かせるこいつを見ながら、次は小洒落た店でリベンジすることを誓った。 「焼鳥うんめー!」 ……やっぱ色気より食い気か?こいつは。 end. ----   [[籠の鳥>4-949-2]] ----

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