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許させて ---- 毎週末、お前は死んだ恋人の墓に行く その手の中は花束だったり、恋人の好きだった煙草だったり、お菓子だったり。 そうして、朝早くから日が暮れるまで、何をするでもなくぼんやりと墓の前で紫煙を燻らせる。 そろそろ、一年が過ぎる。 彼の死因はなんだったっけ。 そうそう、お前と喧嘩して、マンションから飛び出して、信号無視の車にはねられたんだっけ。 しかも喧嘩の理由ってアレだよな。恋人の誕生日忘れてたって男の癖に女々しい理由。 ほんと、お前も恋人も馬鹿だ。どうしようもない死に方だよなあ。 朝から晩まで、墓の前でめそめそして、何度も何度も同じことを謝って。 なあ、お前の事、ずっと見てる奴がいるんだけど。 恋人が死んでから、ずっと傍でお前の事支えてた奴がいるだろ? もうさ、そろそろ死んだ恋人の事は忘れてみないか? 後ろばっかりみるのはやめて、隣とか見てみない? 死んだ恋人と違って、料理も上手だし気もきくしさ、超オススメ物件なんですけど。 ほら、もう日が暮れる。さっさと帰れよ。 「じゃあ、また来週来るから」 もう来なくていいんだってば。 「………ごめんな」 だからさ、別にもう怒ってないんだって。 お前もすげー苦しかったんだろ? だから、もういいんだって。 可愛い女の子と結婚して、子供を作って幸せな家庭つくれって。 「ごめん…」 頼むよ、もういい加減、お前の中の俺にお前の事許させろよ。 ----   [[許させて>19-259-1]] ----

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