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優しい手
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長男気質で面倒見のいい先輩は普段からスキンシップが多い。
何かと肩や背中を叩いたり、肩を組んだり。
所謂体育会系のノリが苦手な俺も、最初は不快だったそれをいつの間にか受け入れていた。
先輩の大きい手は嫌いじゃない。
なのに、
「お前、運動部のクセに綺麗な髪だよな」
隣に立っていた先輩が何気なく髪に触れて。先輩の指が髪の間を滑り、偶然首筋を撫でた。瞬間。
「っ?!」
背中を走った謎の感覚。
一瞬で顔が赤くなったのが自分で解った。
「え?」
「す、いません…っ ちょっと、俺 顔。洗ってきます」
「…あ、ああ」
頭を撫でたままのポーズのまま固まってしまった先輩を置き去りにして、水飲み場へと逃げる。
「うわ…何でたってんだよ…」
あり得ない。あり得ない。あり得ない。
頭から水を被っても熱い顔と煩い心臓がなおらない。
「最悪だ…」
あんな優しい手に、俺みたいな無愛想な後輩にまで優しい先輩に対して、こんな事あって良いわけ無い。
こんな自覚の仕方、最悪すぎる。
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[[優しい手>19-159-1]]
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