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ウザカワ受け ---- 幼馴染でクラスメイトの巧は相手の迷惑というものをまず考えない 今日も突然家に訪ねてきたと思ったら、シャツを2着突きだして聴いてきた 「将志はどっちがいいと思う?」 「は?」 俺は勉強の手を休めて巧が持ってきたシャツを見比べた。どちらがいいと聞かれたって 俺にはファッションの知識もセンスも全くない。 普段着ている服だって、マネキンが着てるやつを丸ごと買ってるからそれなりになってる だけであって、趣味もこだわりも何も無いのだ。それは巧もよく知っている筈なのだが… 「どちらでも同じじゃねーの?」 「全然違うよ!どこに目を付けてるのかなぁ?」 巧はさも信じられない!と言いたげに語気を強めたが、俺にはどちらもヒラヒラしていて 女が着るような服だとしか思えない。 だがそんな服でも巧は似合ってしまうのだ。 小柄で細身、睫毛の長い大きな目、ふんわりした栗色の髪etc…どれをとっても可愛らしい この性格さえなければ…と俺は何度思ったかしれない 「じゃあ他の奴に聞けよ…俺がそういうの疎いの知ってんだろ?」 ブランドがどうとかレースがどうとか、尚もうるさく喚き続ける巧にそう言ってやると漸く黙った。 何故かうっすらと頬が赤くなっている。 「だって…今日は好きな人と出かけるんだもん。だから将志に聞きたくて…」 好きな人!?その言葉に俺は愕然となった。 巧に好きな奴がいるなんて全然知らなかった。こいつはいつも何だかんだ言いながらもチョロチョロしているから まさかそんな相手がいたとは…なぜか胸が締め付けられるような気持ちになった俺は、思わず適当にシャツを指差した。 「…こっち、こっちがいいと思う」 「ホント?そっかー将志はこっちの方が好きなんだー」 嬉しそうにそう言うと、巧はおもむろに服を脱ぎ出した。白い肌がいともあっさり露わになる。 「ここで着替えるなー!」 「なんで慌てるの?体育の時間に毎回見てるじゃん」 見てねえよ!お前が脱ぐと女が脱いでるみたいだから、クラスの男どもは俺を含めて全員目を反らしてるんだよ! あの気まずい空気に気付いてないのかお前は! 「と、とにかく着替えるなら廊下でやれ!」 「えー」 ふくれる巧を廊下に押し出して数分、戻ってきた奴はすっかり支度を整えていた。 「ね?可愛い?」 「あー…うん」 「ちゃんと見てよ!」 お前はどれ着てたって可愛いよ。そんな言葉を俺は飲み込んだ。どうせ、可愛い姿も何もかも、他の奴の為なんだろ? 「もう、しょうがないなーじゃあ、そろそろ行かないと」 「はいはい、行ってらっしゃい」 俺は巧の方を見ようともせずにシャープペンを握りなおした。巧はどこかで誰かとデート、俺は一人で勉強。 寂しいにもほどがある。 だが、そんな俺に巧が抗議の声を上げた。 「何他人事みたいに言ってるの?将志も早く用意して!」 「は?何で俺まで」 まさかデートについて来いっていうのか?いくらなんでもそんな惨めな役はごめんだぞ? 「相手がいなかったらデートにならないじゃない」 「相手…?だって、お前さっき好きな人と出かけるって…」 混乱する。だってそれじゃあ俺がお前の… 「だから…将志が好きなんだよ」 「…知らなかった」 「なにそれ!俺はもう将志と付き合ってるつもりだったよ!」 しらねぇよそんなこと…と、思ったけど、巧が泣きそうな顔をしているので何も言えなくなった。 目を真っ赤に潤ませているのがなんだか妙に胸を騒がせる。 その頭をポンポンと叩くと俺はあやすように言った。 「わかった、デート行こうか」 「…俺のこと好きじゃないんでしょ?」 「好きだよ」 「ホント?」 巧の顔が途端に巧るくなる。 ホントだって、子どもの頃からずっと好きだったよ 「俺のこと一番好き?」 「勿論」 「クレーンゲームで俺の好きなもの取ってくれて、ファミレスでパフェ奢ってくれる?」 「も、勿論」 バイト代出る前なんだけど、まぁ何とかなるか… 「じゃあ行こう」 にっこり笑う巧の顔につられて、つい俺も笑顔になってしまう。 なんだかよく分からないうちに告白して初デートになったけど、なんか幸せだからまあいいか 「あ、俺がナンパされたりスカウトされそうになったりしたらちゃんとかばってね!」 やっぱりこの性格には苦労させられそうだけど ----   [[「ん?」>19-119]] ----

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