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「お前が最後か。ふん、忠誠心が聞いて呆れるわ」 投げ出されたように転がっている石像を見ていると 目の前の男が薄ら笑いを浮かべて吐き捨てるように言った 「お前の国では、王にその身が滅びるまで仕えるのが普通であると聞いていたが…」 ふんぞり返り、手にしたグラスをぐいと飲み干す姿 あのお方とは似ても似つかない、こんな王がいる国に負けたのかと思うと涙が出る 「所詮人間なんてそんなものだ。そうだろう?王の右腕と呼ばれていた者よ」 蔑むようなその目、その目で同じようにあのお方を見たのか 同じようにあのお方に話しかけたというのか 「なんだ?随分と反抗的な目だな」 合図を受けて男の横から出てきた兵士が、無言で俺の背中を打つ 何度打たれたか分からない、その生々しい傷痕の上に鞭が降り下ろされる だが、痛みなどとうに感じなくなっていた あのお方が、俺が唯一この身を捧げてお仕えしようと決めたお方が、もういない 一生涯を懸けて守り抜こうとしたあのお方は、この世からいなくなってしまったのだ 「忠誠心と我が身、お前の国の兵士たちが天秤にかけた結果がこれだ」 ふん、と鼻で笑いながら足元の石像に目をやる 足跡がいくつもついて、街の中心にあった時からは想像もできないような無惨な姿 「かつて仕えた国を忘れ、私に仕えると誓うなら、その命を助けてやろう」 男の顔が意地悪そうに歪んでいく 「さあ、踏め」 我が主よ、願わくばたった一度、命令に背くことをお許しください 生き延びろと私に告げてくださった、貴方の最期の命令は果たせそうにありません 私の最初で最後の我が儘を、どうかお許しください この世でもあの世でも、貴方に巡り会えたなら何度でも、私はお仕えいたします そう誓って俺は石像の右手の甲に、昔と同じように忠誠のキスを一つ、落とした
さあ踏め ---- 「お前が最後か。ふん、忠誠心が聞いて呆れるわ」 投げ出されたように転がっている石像を見ていると 目の前の男が薄ら笑いを浮かべて吐き捨てるように言った 「お前の国では、王にその身が滅びるまで仕えるのが普通であると聞いていたが…」 ふんぞり返り、手にしたグラスをぐいと飲み干す姿 あのお方とは似ても似つかない、こんな王がいる国に負けたのかと思うと涙が出る 「所詮人間なんてそんなものだ。そうだろう?王の右腕と呼ばれていた者よ」 蔑むようなその目、その目で同じようにあのお方を見たのか 同じようにあのお方に話しかけたというのか 「なんだ?随分と反抗的な目だな」 合図を受けて男の横から出てきた兵士が、無言で俺の背中を打つ 何度打たれたか分からない、その生々しい傷痕の上に鞭が降り下ろされる だが、痛みなどとうに感じなくなっていた あのお方が、俺が唯一この身を捧げてお仕えしようと決めたお方が、もういない 一生涯を懸けて守り抜こうとしたあのお方は、この世からいなくなってしまったのだ 「忠誠心と我が身、お前の国の兵士たちが天秤にかけた結果がこれだ」 ふん、と鼻で笑いながら足元の石像に目をやる 足跡がいくつもついて、街の中心にあった時からは想像もできないような無惨な姿 「かつて仕えた国を忘れ、私に仕えると誓うなら、その命を助けてやろう」 男の顔が意地悪そうに歪んでいく 「さあ、踏め」 我が主よ、願わくばたった一度、命令に背くことをお許しください 生き延びろと私に告げてくださった、貴方の最期の命令は果たせそうにありません 私の最初で最後の我が儘を、どうかお許しください この世でもあの世でも、貴方に巡り会えたなら何度でも、私はお仕えいたします そう誓って俺は石像の右手の甲に、昔と同じように忠誠のキスを一つ、落とした

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