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15-579 - (2009/03/29 (日) 17:45:49) のソース

まわされよう 
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彼が今の車に買い替えてもう二年になるでしょうか。 
彼の両手の中から僕は毎日彼を見ています。 
車を彼の行きたい方向に向ける。 
彼のためならその使命が誇らしいものに思えるんです。 
だって彼はとってもかっこいいんです。 
この間この車に乗ってきた彼の友人との会話を聞くと、彼は重大な仕事を任されているみたいです。 
彼はやっぱりすごい人なんだと嬉しくなりました。 
でもその仕事がうまくいってないという話も聞きました。 
僕は心配になりましたが彼は大丈夫、と笑っていたので安心しました。 
彼はいつも笑っています。 
仕事がうまくいかないときも、恋人に振られたときも、彼は笑っていました。 
でも、彼が泣くことだってあります。 
銀行の角を右にまがったところの小さなアパート。 
そこに住む彼より少し若い青年に会うと、彼は吸い寄せられるように青年に近付き、青年の腕の中で静かに泣きます。 
最初はあの人が彼を泣かしているんだと思いました。 
でもあの人の所に向かう彼はとっても嬉しそうなんです。 
お気に入りの音楽を聞いているときよりも、どんな友達と話しているときよりも。 
それに、あの人の顔を見ると彼はとても安心した顔をするんです。 
いつもの笑顔とは違うほんとの笑顔なんです。 
本当はもっと彼の体温を感じていたいけど、僕の仕事は彼を行きたい所に連れていくことだから。 
彼が一番幸せでいられる場所にたどり着けるように、いつもの銀行の角をまがるために。 
僕は、今日も彼にまわされよう。 
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[[壊したっていいじゃん!>15-589]]
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