泥棒に入る家を間違えた ---- 俺は今絶体絶命のピンチに陥っている。 明らかに泥棒に入る家を間違えた。 入り込んだ先には誰も居ないはずだったのだが、開けた扉の向こうには―――。 「……お前さー、ちゃんと下調べくらいしろよ」 いつも俺を追い掛け回している刑事が呆れ顔で、しかも歯ブラシなんて咥えたまま佇んでいた。 「お前くらいだろ。毎回毎回追いかけられても全く懲りてないの」 予想もしていない状況に俺の頭はすっかりついていけなくて、まるで金魚のように口を開閉させるばかりだ。 「あ…、ちょっとそのまま待ってろ」 そう言ってアイツは扉の向こうに消えていった。 い、今の内に逃げないと! 目の前から姿が消えたことで、ようやく頭が働き出した。 「だから待ってろって言っただろ」 出ようと後ろを向いたところを、襟首をむずっと捉まれた。 「どうせ隣の家にでも入ろうと思ったんだろ?旅行中だもんなー、隣」 頭の上に笑いを含んだ声降ってくる。 「って言うかさ、ナニ?いっつも俺に見つかるみたいにうろうろしてんのってさ」 アイツが置いた一瞬の間に、何故か嫌な予感が走った。 「俺に、捕まりたいの?」 耳元で囁かれた声に、肌が粟立つ。 そして空いた手が―――。 「なーに読んでんの?」 本と顔の間に、マグカップが差し出された。 「今度のドラマの原作本ですよ」 本を閉じ顔を上げて、差し出されたカップを受け取る。 「ふーん…」 和樹さんは不満そうに、俺の寝そべるソファーを背もたれに座り込んだ。 「…不満ですか?」 「別にー」 あーあ、拗ねちゃった。 「じゃぁ」 和樹さんの手から奪ったカップと、自分のカップをテーブルに置く。 「イイコト、します?」 ばさりと、本が落ちる音がした。 ---- [[どう見ても中学生です。本当にありがとうございまs(ry>18-429]] ----