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15-729 - (2009/03/29 (日) 18:11:00) のソース

はじめてのおつかい 
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はじめて、あの方が一人で買い物へ行きたいと仰った。 
幼い頃からボディガード無しには外出できない身分であった彼は、気ままに買い物をするなんて経験は全く無かったのだ。 
もっともそんなご身分だからこそ、私が歳近いお目付役としてお近づきになれたのだが。 
「欲しい物がおありでしたら、こちらで用意致しますが」 
「駄目だ、俺は自分で見て買いたいんだ」 
「何故私がお供してはいけないのですか?」 
「俺はもう子供じゃない。たまには羽根をのばさせろ。」 
結局説得はかなわず、その『はじめてのおつかい』は決行された。 

当日は秘密裏に街中にSPが配備される厳戒態勢。 
気づかれぬように超小型の隠しカメラ、発信機などが彼の服に仕込まれ、街の防犯カメラなどと連携した監視ルームで、私は彼の動向を見守っていた。 
彼と長い時間離れるのはどれ程久々だろうか。正直気が気じゃない。 
「…ああ、もう」 
彼は服屋でLサイズの服を何着も買い込んでいる。貴方はMサイズじゃないか。 
貴金属店や書店などでもどうにか買い物を済ませ、洋菓子店に入ったようだ。 
店員と何か話している。少しして店員がケーキに乗せるプレートを持って彼へ見せて、… 
私は思わずそこの部分の映像を拡大した。 
「…ああ」 
何故忘れていたのだろう。 
明日は、彼と私が出会ってちょうど10年になる記念日なのだ。 
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[[はじめてのおつかい>15-729-1]]
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