恋心を自覚する攻めと天然受け ---- 「ゆーうや!一緒に帰ろ!」 「あ、わりぃ……ちょっと今日、学校残るから」 「……じゃあ、俺も残る」 「は!?そんなのいいって、悪いし」 「だって最近ぜんぜん裕也と帰ってない」 むっすー、という表現がぴったりな顔をして俺の目の前に立っているのは、幼馴染の卓真だ。 こいつは自分の言葉の重みってやつを全然わかってない。 垂れ目がちな目は大きくて肌は綺麗な上に色白で、少し長めの髪はくるんとした癖毛で、そこらの女子より可愛いくせにそんなことサラッと言うなよバカ。 元はと言えばお前が悪いんだ。お前がへらへら笑いながら「俺、裕也となら付き合ってもいーな。てゆーか付き合いたい」とか言うから悪い。 冗談だってことは百も承知だよ。つーか冗談だから余計に性質悪ぃんだよ。反射的に想像しちまって、「アリ」だなとか思っちゃった俺はどうすりゃいいの。 それからお前に会う度に、だんだん「アリ」というよりむしろそうなりたいなんて考えるようになっちゃって、こんな感情どうしろっていうの。 教室で普通に接するだけでも大変で、だからわざわざ避けてたのになんでお前はそうなんだよ。 いつもいつもベタベタしてきて「だいすきー」とか言っちゃって、俺がどれだけ振り回されてるのか知らないくせに。 俺がどれだけお前のこと好きか知らないくせに。 …なんて、言えない。言えるわけがない。 卓真が天然なのは昔からだ。一緒にいるのが当たり前で、卓真の「だいすき」はもう何回聞いたかわからない。 なにも特別な事じゃない。 なのに、なんで……なんで、好きになっちまったんだろう。 「……あー、だよな。確かに。じゃあやっぱ、俺残るのやめる」 「え、まじ?いいの?」 「ああ。今日じゃなくてもいいし」 「やったー!ゆーややさしー!」 「体当たりしてくんなバカ」 この日常が続いてほしいのかどうか、最近よくわからない。 ---- [[アンドロイド×科学者>27-649]] ----