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2-389 - (2009/04/13 (月) 15:20:45) のソース

高校のAET×英語教師 
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学生の頃から英語が好きだった。成績はいつもトップで、それが俺の誇りだった。 
未来ある子供達に、英語の素晴らしさを教えてやりたいと思った。 

……それがどうだ。 
生徒は俺のしゃべる言葉なんか一言も聞いちゃいない。 
ヤツの金髪に、青い瞳に、太い腕に見惚れている。 
たしかにいくら頑張ってもネイティブの発音には敵わない。それが俺のコンプレックスだ。 
でもどうも他の部分で勝負が決まっている気がしてならない。 
いくら俺が文法にこだわっても、ヤツの片言の日本語に生徒は「カワイー」などとかぬかす始末。 
ヤツは日本語もろく話せないのだ。それなのに、俺は完敗だった。 

また今日も授業だ。憂鬱になる。 
今や俺の仕事はヤツの言葉を翻訳するだけの通訳に成り下がっていた。 
隣を歩くヤツをちらりと見る。見上げなければ顔が分からない。それがまた腹が立つ。 
小さな声で「お前なんか嫌いだ」と呟いてみた。どうせこいつには分かりゃしない。 

すると彫刻のように端正な横顔が動き、碧眼が俺を捉えた。 
「僕は好きですよ」 
流暢な日本語が白い歯からこぼれた。 

完敗だ。  
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[[高校のAET×英語教師 >2-389-1]] 
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