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2-349 - (2009/04/13 (月) 15:17:11) のソース

コンプレックスを感じる
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なんであいつばっかり。 


オレとあいつは家も近くて、なぜか生年月日が同じ。 
よく聞いたらオレは日付がかわってすぐ、あいつは日付が変わる 
ほんの少し前にこの世に生を受けたというので、ガキの頃ケンカすると 
よく、ちょっとだけオレのが年上だからな、なんてどうでもいいこと 
言ってえらぶってたのを思い出すよ。 
それでも、クラスが一緒になったり離れたりしながら、小中高と同じ学校に通った。 

高校入った頃からかな。 
いつのまにかあいつは成績もトップ、スポーツも万能。 
他のガッコの女どもがうちのイケメンって騒ぐ時はたいがいあいつのこと。 

オレはどうかって? 
小中はあいつと大差なかった。 
だけど高校で落ちこぼれた。成績はいつも赤点ぎりぎり。 
スポーツは好きだけど、やっぱあいつにはかなわないね。 
サッカーでも、バスケでも、何やっても。 

それでも家が近いから、たいがい二人で一緒に帰る。 
いつもバカなこと話しながら。 


ある日の放課後、なぜか別のクラスの女子に呼び出された。 
とりたてるほど美人でもなく、まあ普通に可愛い感じの。 
体育館の裏で誰もいないのを確認して、彼女は手紙を差し出した。 

「斎藤くんに、渡してもらえませんか。 
 仲が良くて、いつも一緒に帰ってるって聞いたので」 

ぺこりと頭を下げた途端、飛び出すように走っていってしまった。 
手紙をつまんだオレだけが残された。 


自分で渡しゃあいいのに。 
そう思いながら家に帰って、オレは手紙をびりびりに破いて捨てた。 


あいつとオレとじゃ釣り合うわけはない。 
あいつはオレとは違う。医学部とか、きっとすごい大学に入るだろう。 


だけど、誰であろうと、オレ以外の誰かがあいつの近くにいるなんて、 
オレは絶対に認めない。 
 
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[[コンプレックスを感じる>2-349-1]] 
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