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15-049 - (2009/03/29 (日) 14:56:31) のソース

宝石商
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「この石のリカットを依頼したいと?」 
彼は僕の差し出したダイヤモンドを手に取った。 
「父の遺産にあったのですが、これだけ大きいと高額になりすぎて 
処分し難いのです。分割して処分したいと思いまして....」 
事前に用意しておいた言い訳を説明する。 
いや、これはこれで真実だし。 
「お父様は、元華族のお家柄でしたな。財閥解体で規模縮小をやむなく 
されながらも、その経営手腕で再び力をつけた複合企業。社会福祉にも 
力を入れて、多くの人々の尊敬を集めた人格者」 
赤ん坊のこぶしくらいはありそうなペアーシェイプのダイヤモンドの巨塊を 
弄びながら、彼は眼鏡の向こうから鋭い視線を向けて言った。 
「そんなお父様も、人に言えない面をお持ちだったようですな。これは 
50年程前に盗難被害に遭った石です」 
バレた.... 
僕は下唇を噛んだ。 
公になっている資産はとっくに処分した。それでも弟の移植手術には 
まだ金が必要なのに。 
黙ってうつむいている僕の前にダイヤモンドを置くと、彼は人差し指で 
それを押さえた。 
「リカットすれば石の素性を隠して売り払うこともできる。お父様の 
名誉も守ることができる、というところですか。子供なりに考えましたね」 
子供と言われてカッとなって顔を上げると、僕を見下ろしていた彼と 
目が合った。 
「良いでしょう。私の出す条件を飲むのなら、私がこの石を丸ごと買い上げ 
ましょう」 
彼は薄い唇をゆがめて笑った。眼鏡の奥の目は笑っていなかった。
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[[魔王×勇者>15-059]]
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