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20-479 - (2011/09/30 (金) 21:43:55) のソース

はじめて同士
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「え?」 
お互いに固まった。 
さっきまで、こっちがいいやらあっちがいいやら、明日の初デートに備えてファッションショー。 
ベッドの上に散らかした服達の中から選んだジーンズ。 
それを手にして顔を上げたら、勢い良くぶつかった。 
唇。 
ガチンと音がして、口の中が切れたみたいだ。 
さっきまでの笑いあっていた空気が、今では音もなく固まっている。 
「あー…、ごめんな」 
笑ってポンと肩を押す。 
「彼女より先に奪っちゃった」 
てへっとワザと馬鹿っぽい声も出す。 
吉沢は口元を押さえたままで、固まりきっていて反応がない。 
ああ、真面目そうだもんな、吉沢。 
ショックだったんだろうな。 
未だ固まったままの吉沢の目の前で、ヒラヒラと手を振る。 
「よぉしざぁーわー?」 
ハッとした表情で一瞬ビクリとした吉沢は、ベッドの上であからさまに及び腰。 
赤い顔して逃げる様に距離を作って、無言で何度も顔を振る。 
日頃のクールぶった態度が嘘みたいだ。 
「なに?お前、初めて?」 
制服の白いシャツの上から胸元を押す。 
さっき以上に慌てふためく様子が可愛い。 
選んだブラックジーンズに、ラグランを投げつけ、オレはベッドの上で立ち上がる。
「大丈夫、今のは不可抗力だから。サトコのチューと一緒だべ」 
うちの可愛い御年18歳になるサトコお嬢。 
オレらよりも2つも年上の、それはそれは怖いけれどもチュー魔で可愛いシーズー。 
怒ると踏み踏み足踏みをする。 
サトコとチューは毎日だから、それと一緒。 
ピョンと勢いつけて、スプリングの利いたベッドから飛び降りる。 
さっと両手を広げて足を揃えた見事な着地。 
「じゃあな」 
見たこともない彼女への嫉妬で泣き出す前に、部屋を出ようとしたオレの手首をがっつりと吉沢が掴む。 
なんだ?と思う前に、引き寄せられてキスされた。 
「よ…っ」 
硬くなって竦んだ首の裏に、吉沢の手が添えられる。 
ガチガチに緊張して、唇に歯が当たる痛みに、さっきぶつかった時以上に口の中に血の味が広がる。 
オレだってサトコ以外とキスなんてした事ないけれど、こいつのキスがヘタクソだって事だけはわかる。 
こんなヘッタクソなキスして、惚れてんのはお前だけだと思うなよ。 
彼女どうすんだよ、とは思ったけど、奪えばいいかなんて最初から出ていた結論を胸の中で再確認した。
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[[ずっと隣にいて欲しい>20-489]]
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