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9-049 - (2011/04/27 (水) 23:18:49) のソース

夜間飛行
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通りを歩いていると、誰かが「星」と呟いた。
思わず空を見上げると、信じられない量の星が見えた。
そして、見覚えのある星座を見つける。

――― お前知ってるか? あれオリオン座なんやぞ?

耳に慣れた彼の言葉が聞こえた気がした。
『この前聞いた。それにしても、東京でこんなにくっきりと星が
 見えるなんて、初めての経験だな。…お前のおかげか?』
俺は心の中で、そう答える。
彼のはにかんだような嬉しそうな笑顔が浮かびあがる。

あの会話をした時は、二人ともまだ田舎にいて。
夜中に家を抜け出して、田んぼしかない道のど真ん中で、バカみたいに星を
見て色々話していた。大きくなったら何をしよう、あれがしたい、これが
したい、どこにいこう、どこかにいける。そんな会話をしていた。
おずおずと差し出された手。握りあった指。交わした体温。
昨日のことのように覚えているのに。

――― こうして夜空ばっかり見てたら、飛んでるみたいに思えてけぇへん?
『銀河鉄道の夜?』
――― あんなんみたいに悲しい結末じゃないよ。ピーターパンや。
『あれも別れるんやん』
――― じゃぁ、俺がファビアンなら、お前はリビエールや。
『夜間飛行か。最悪やん。俺はずっとお前を胸に前に進まなきゃあかんのか』
――― 当たり前やんか。
そう言って笑いあったお前の顔、いまだに鮮明に浮かび上がるのに。
なぜ俺は、お前の手を離してしまったのかな。

彼の魂が天に昇る日が、こんな星空で良かった。
今日は星も街の光も綺麗だから、寂しがりやのお前でも寂しくないだろう。
星空から視線をはずし、前へ進もうと一歩踏み出した。
目の前がにじんでぼやけていたけれど、俺は歩きだした。
後悔しても、何もかも遅い。せめて前へ行かなければ。

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[[×綺麗なニューハーフ ○ごっついオネエ>9-059]] 
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