何回やっても何回やっても○○が倒せないよ ---- 「ッあーー!!ちくしょー!」 「うるさいよ」 「だって後ちょっとだったんだよー!ラスボス倒すの!」 「さっきからそればっか言ってね?」 「いつも後ちょっとで勝てねーの。『くいあらためよ』痛すぎだろ……」 「裏技使えば?」 「それは俺の流儀に反する。あーどうしよ、もう街にも帰れねーのに」 「なあ」 「ん?」 「何で俺らイブの晩にこんなことしてるわけ?お前はマゾいレトロゲーやって、俺は漫画読んで」 「マゾいとは失礼な。それに、そりゃお前が来いって言ったからだろ」 「で何でお前は呼ばれただけでホイホイ来るの」 「そりゃ他に予定のない俺に対する嫌味か?」 「予定がなかったのはお互い様だろ」 「それもそうだ」 「…………俺もさぁ、今やってるゲームがあるんだけど」 「うん?」 「全っ然ボスに攻撃が当たらないんだよな。たまに当たってもほとんど効いてないみたいだし」 「あー、あるある。理不尽に硬いやつな」 「魔法とかアイテムとか、色んな方法試してもダメなわけ」 「マジか。なんてやつ?俺で分かるなら教えるけど」 「いや、これは俺の手でクリアするって決めてるから」 「おお。お前もそういう考え方するようになったか。いい傾向だ」 「出来れば今年中に倒したいんだよな、そのボス」 「後ちょっとだぞ?」 「うん。だからさ、このまま泊まってけよ。2、3日中にはエンディング見せてやるから」 「よし来た。レトロゲーなら更に嬉しいんだけど」 「あー、うん。古い。ものすごく古い」 「やった」 「……今、ちょっと攻撃効いたと思う」 「え?」 「なんでもない」