お前なんか大嫌いだ ---- ボクは一人でいい。別に友達とか、ほしいと思ったこともない。 クラスの皆が騒いでいても、それに混ざらなくても、寂しいとか、別に感じない。 「なぁなぁ、お前もそう思うだろ?」 だからそんな風に話しかけてこないでくれ! 周りの微妙そうな表情に気づかないのか? お前が俺に無理やり話題をふるたび、お前と楽しそうに話してたヤツらがボクをどんな目で見てくるかわかってるのか? お前はクラスのムードメーカーなんだから、ボクみたいなのに話しかけちゃいけないんだ。 「なぁ、ちょっと、聞いてる?」 きいてねぇよ。きくもんか。 「そんな陰気なヤツに話しかけたってムダだって。いい加減構うのはやめたら?」 「え、でも……」 ガタンとわざと大きな音を立てて立ち上がる。 ボクはアイツらの方なんて見向きもしないで教室を飛び出した。 後ろからボクを呼び止める声がきこえた気がしたけれど、そんなのはきこえないふりをして。 そうして、いつものように鍵の壊れた屋上に逃げ込む。 屋上に隅っこで、膝を抱えてうずくまる。 ボクは一人でいい。友達とか、ほしいと思ったことない。 だから、ボクを探しになんて、こなくていい。 お前がボクなんかに話しかけるから、お前まで変な目で見られるようになるだろ! でも、やっぱりばたばたと階段を駆け上ってくる音がきこえて。 扉をあけて、ボクの名前を呼ぶ声がきこえて。 うつむいていた顔をあげると、お前がほっとしたように笑う。 ちくしょう! お前のせいで、ボクは一人じゃなくなっちまった。 一人でいいと……思えなくなった。 お前のせいだ。お前が悪いんだ。お前がボクなんかに構うから。 お前なんか、大嫌いだ。