恋のプロセス ---- 「まわりくどいの苦手なんですよ」 後ろ手に鍵を閉めると、彼は言った。 …一体何がいけなかったんだろう。何が、彼にこんな顔をさせているのだろう。 彼は、俺と出会って初めて自分の居場所をみつけたと言い、俺を求めた。 俺は、この世の誰よりも彼をわかる事ができると思ったから、彼を愛することを決めた。 お互い少しずつ、大切なものを分け合っていけたらいいね。 そう言って手を握ったら、彼は照れくさそうに俺の手を握り返してくれた。 寄り添い方はまだときどきぎこちないけれど、特別な体温だと思うと、それだけで どちらからともなく笑顔になった。 「…君の心がわからないなんて、耐えられない。」 ようやく彼の耳元で、それだけ、呟くことができた。 …伝わった?どんなふうに?わからないのがもどかしくて、…爪をたてた。 ---- [[恋のプロセス>7-199-1]] ----