酔った勢い ---- 酔った勢いだった。 おととい、俺は友人である男と寝てしまった。 酒を飲んで、調子に乗って、あろうことか自分から誘ってしまった。 行為がどんなものだったかは覚えていない。 (まあ、昨日はろくにバイトも出来ないほどずっと腰が痛かったから、 激しいものであったのは確かだとは思う) だけどただひとつ、俺に誘われたあいつが一瞬妙な表情で固まったあと、 赤かった頬を更に真っ赤に染めたことだけは鮮明に覚えている。 そして、その顔を思い出すたびに、ひとつの疑念が俺の中に浮かぶ。 今日もバイトが終わった。 コンビニで酒を大量に買い込んで、また、あいつの部屋に行く。 「お前さー、もしかして俺のこと好きなの?」 きっと、酔った勢いでなら、打ち明けてくれる。 ---- [[酔った勢い>5-929-2]] ----