part22 >>546

頑張ってくれるのは主に山羊さんたち。あとヱリカ。
ifもしも戦人が復活しなかったらのゲロカス妄想。
本番なしですが陵辱あり。


 鼻腔から否応なく侵入してくる埃と黴の臭いに、右代宮夏妃は形の良い柳眉を歪めた。長年閉め切って一度
も陽光を浴びたとこのない物置小屋のような、ひどく陰鬱とした臭いだった。
 早く窓を開けて換気しなくては。夏妃はまずそう考えた。こんな埃っぽい黴っぽい臭い、一刻も早く追い出
してしまわなければ、喘息持ちの娘がまた発作を起こしてしまう。
 しかし、夏妃は動けない。周囲は完全な闇だった。目の前1センチ先さえ見えない闇の中だ。月もなく、星
さえもなく、ただブラックの絵の具で塗り潰したかのような漆黒だけが広がっている。一筋の光も射し込まな
い、広いのか狭いのかもわからない闇の中で、夏妃は独り、床に蹲っていた。
 床は石造りのようで、ひどく冷たかった。一切の温情も持たない石の冷たさが洋服越しに夏妃を苛み、いつ
もの頭痛が脳髄の奥底からズキンズキンと疼きだす。
 何故、自分はこんな場所にいるのだろう。夏妃は自問したが、答えは見つからなかった。何も見えない。こ
こが何処なのかさえ、知る術がない。ただただ暗く、寒く、そして孤独だった。ここが何処なのか、自分が何
をしているのか、それすらわからないこの暗闇の中で、夏妃はただ一つ、己が孤独であることだけはハッキリ
と理解できた。
 ここには夫がいない。辛いとき、心が張り裂けそうなとき、いつだって支えてくれた愛しい夫がいない。
 ここには娘がいない。口調こそ乱暴だけれど繊細で、人を慈しむ優しさを持った可愛い娘がいない。
 だから例え他に誰かがいたとしても、その二人がいないというだけで、夏妃は絶対的に孤独だった。
 頭が痛い。割れるように痛い。視界が閉ざされていることで、不安感が更に膨れ上がる。せめて灯りをつけ
て欲しい。
 そこで夏妃は――ようやく気付く。
 部屋が暗いのではない。自分の目を何か分厚い皮のようなものが覆っていて、そのために視界を閉ざされて
いるのだ。
 続いて、両手が後ろ手に縛られていることにも気付いた。荒縄のようなものでキツく縛られているらしく、
固定された手首はまったく動かなかった。自覚すると、途端に縄の食い込みに痛みを感じるようになる。痛い。
外して欲しい。
 けれどそれより気になるのは、……何故、今に至るまで、こんなことにも気付かなかったのかということ。
 混乱と不安と恐怖が胸の内で巨大化する。なんとか戒めを解こうと芋虫のようにのたうつ夏妃の耳に、その
荘厳な声は届いた。


主文

容疑者、右代宮夏妃は夫がある身でありながら、あろうことかその父親である右代宮金蔵と姦通を犯した。
よって、ここにその罪を告発する。

 天から降りたような、神聖にして厳粛な声だった。
 夏妃はその聖なる声の前に、矮小な己の身を縮こませるしかできない。身に覚えのない、想像するもおぞま
しい罪状が滔々と読み上げられている間、彼女はただ震え、混乱の中で恐怖に怯えていた。
 すると、コツコツコツ……、と軽やかな音が近付いて来た。足音だった。視界を阻まれているせいで、夏妃
にはそれが何者であるのかまではわからないが、おそらく若い女性だろうと推察を付ける。足音は軽く、生気
に満ち溢れていた。けれど、おそらく、娘のものではないだろう。娘の朱志香は、何度注意してもバタバタと
騒々しく歩き回る癖が直らなかった。この足音は、もっと淑やかで、それでいて高圧的な響きがする。
 足音は夏妃の目の前で止まったようだった。視界を奪われている中、素性の知れない何者かに見下ろされて
いるという感覚は、夏妃の想像以上に恐ろしいものだ。
 ふわり、空気が揺れる。目の前の誰かが動いたらしい。風が舞うような、優雅な仕草だった。
 可憐な、そして高飛車な、声がした。
「――ただ女がそこに存在するだけで。古戸ヱリカはこの程度の推理が可能です。如何でしょうか、皆様方?」
 ……この声は、どこかで聴いた気がする。夏妃は懸命に記憶の糸を辿ろうとしたが、ついぞ思い出すことは
できなかった。誰だったか、可愛らしいのにどこか不遜な雰囲気のある、とても不吉な人物であったような気
がする。思い出そうとすると、頭に割れんばかりに響いた。激しすぎる頭痛に、夏妃は詮索することを放棄する。
 と、ぱちぱちぱち、と可愛らしい、けれど投げやりな拍手の音が、どこからか聞こえた。これは少し遠かった。
「素晴らしい推理、そして素晴らしい真実の追求。よくやったわ、ヱリカ。流石は私の分身、そして私の可愛
い娘ね。――書斎から中庭へと脱出した右代宮金蔵がどこへ隠れたのか。島中を改めた結果、答えはその女の
部屋……いいえ、もっとはっきりと言うべきかしら……その女の寝所の中にしかあり得ない。その“真実”を、
あなたは見事な手腕で証明してみせたわ」
「ああ……我が主……! 光栄です……!!」
 おぞましい“真実”を淡々と語り、讃える、幼い少女の声。それに陶然と熱い吐息を漏らす、ヱリカと呼ばれ
た少女。
 更に、別の方角から別の少女の黄色い声が続く。
「夫がある身で不貞をはたらくなど、許されざる罪よねぇえ? 十戒にもあるわ、『姦淫を犯すな』と! 
そして古来より、第七戒を犯した女は死をもって償わなければならない!」
「よりにもよって義父と通じるだなんて、なんて節操のない、尻軽な女なの。恥を知りなさい、右代宮夏妃。
……くすくすくす」
「……っ、ま……、待って下さい! 待ってッ!!」
 鈴の鳴るような、けれど確かに嘲弄の意味を持った少女の笑い声に、夏妃は耐えきれず大声を上げた。視界
は奪われ、手足も固く縛られていたが、口だけは塞がれることなく残っていた。まるで、夏妃に弁明の自由を
許しているように。
 だから夏妃は懸命に叫ぶ。それだけが、己の誇りを守る唯一の手段であると信じて。無様でも、みっともな
くとも、喉が裂けるまで叫び続けなくてはならない。
「わ、私は不貞など犯していませんッ! いくら尊敬するお父様といえど、夫以外の者に体を許したことはあ
りませんッ! 私は夫だけ……私は無罪です!!」
548 名前: 純潔の証明(3/8) [sage] 投稿日: 2009/09/13(日) 01:47:29 ID:8i1QAWeB
 夏妃のその悲痛な叫びに――どっと笑いが巻き起こる。彼女のその言葉は、少女たちには一言一句違わず予
想されたものであったらしい……。
 くすくすけらけらと耳障りな含み笑いを続ける少女たちの声には、他者の尊厳を踏みにじることへのハッキ
リとした愉悦が滲んでいた。
「容疑者は罪状を否認しているわぁ? どうするのぅ、ベルン?」
「くすくすくす……探偵側は証人喚問を要請するわ。ヱリカ」
「はい、我が主! 証人、前へ!」
 と、夏妃の耳に、とても聞き覚えのある声たちが聞こえてきた。


第一証人による証言:
「夏妃姉さんは、お父様の謀略によって右代宮に嫁がされたのよぅ? はじめから兄さんのことなんて愛して
たはずないわ。
 それどころか、憎んでさえいたでしょうね。だってあの兄さんだもの。女を罵り殴り付けることこそすれ、
優しくなんてできるはずない。
 それに、夏妃姉さんは昔からお父様のことをとても尊敬していた。それこそ、夫である兄さん以上に、ね。
 ……ええ、だから私は証言できるわ。夏妃姉さんがお父様と不倫していたって全然不思議ではない。いいえ、
そうに違いないってね!」

第二証人による証言:
「だいたい、兄貴は仕事仕事って家庭を顧みなかったらしいじゃねぇか。女盛りの夏妃姉さんが、あんな狭っ
くるしい島に閉じ込められて、満足していたはずがねぇぜ。
 そうさ、だから姉さんが火照る体を持て余して、親父に迫ったとしても、まったく変じゃねぇ……なんて、
くっくっく! ポルノの見すぎかぁ?
 まったく、親父が羨ましいね。夏妃さんも、そんなことなら俺に相談してくれれば良かったのによ。兄貴よ
り親父より、満足させてやったぜぇ? はっはっは!」

第三証人による証言:
「なかなか子宝に恵まれなかった夏妃姉さんに対する風当たりは、とても酷いものだったわ。当時まだ島にい
た私は知っているの。お父様に詰られ、お母様に責められ、姉さんはいつも苦しんでいた。
 姉さんだって女だもの。辛いとき、寂しいとき、誰かに縋りたいって考えるのは当然だわ。私、よくわかるの。
女として満たされないのって、とっても辛いわよね……。
 だから、私は証言できる。姉さんはきっと、妻として母として満たされない自分の心と体を、せめて女とし
ては満たそうとしたに違いない、って……」

「やめてぇぇぇえええええええええッ!!!」
 夏妃の絹を裂くような悲鳴が、空間に轟いた。
「やめてッ、やめてッ、もうやめてぇえええ!! 私は夫を愛していました! 夫も私を愛してくれました!
私たちは愛し合っていたんですッ! それを否定することは許しません!! 否定なんて断じて許せませんん
んんッ!!」
 その、証言とは名ばかりの心ない言葉たちは、鋭い刃となって夏妃の心に突き刺さる。夏妃の30年間の結
婚生活を容赦なく汚し、夫と築いてきた愛さえも否定する。
 溢れる涙で顔面を汚し、髪がぐしゃぐしゃになるのも構わず頭を振り乱し、血を吐かんばかりに無罪を訴え
る夏妃の姿を……魔女たちはくすくすと、あるいはけらけらと、けたたましく笑って見物するのであった。
「まだ罪を認めないの……? 認めてしまいなさいよ。そして許しを請うてみなさいよ。夫が悪いんです、夫
が私を顧みなかったことが悪いんです、って! そしたら同情を引けて、罪がちょっぴり軽くなるかもしれな
いわよ……? くすくすくす!!」
「うふふふふ……っ、さぁあ、どうするのヱリカぁ? 容疑者はまだ無罪だって言い張っているわぁ? 真実
の魔女はどうやって真実を証明するのかしら?」
「ご安心を、ラムダデルタ卿。容疑者の罪を暴く手段は既に用意してございます。山羊ども、来なさい!」
 その……近付いてくるあまりの異臭に……夏妃は思わず口を噤んた。
 ひどい臭いだった。獣臭く、そして生臭かった。鼻腔から入り込むその悪臭に、夏妃は胃袋の中身を逆流さ
せそうになる。
 視界を奪われてる夏妃に知る術はなかったが、それは魔女の召喚命令に従って現れた山羊頭の怪物たちが、
その醜くも禍々しい男性器を露出している臭いだった。蹲る夏妃の前に8本もの男性器が並び、びくびくと脈
動している。
 その悪夢的な光景をさも愉快そうに眺めつつ、ヱリカは口を開いた。
「右代宮夏妃さん、あなたにチャンスを差し上げます。……今、あなたの目の前には8本のペニスが並んでい
ます。あなたはそこから、どれがあなたの夫である蔵臼さんのモノなのかを当てなければなりません」
「え……?」
「あなたはその8本の中から夫を探し出すのです。目も手も使用は許されませんが、特別に口だけは使用許可
を差し上げます。口だけを使って味や形の違いを見分け、見事夫を当てて下さい。そうすれば、あなたが夫以
外の男に股を開いたことがないと認めてあげますよ。ええ、約束しますとも」
「な……! な、なぜこの私が、この右代宮夏妃がそのようなことを……ッ!!」
 ヱリカが平然と述べるとんでもない内容に、夏妃は当然の如く拒絶を示した。純潔にして高潔な彼女が、そ
のような辱めを強要されて平気でいられるわけがない。
 ……しかし、もう、夏妃自身もわかっている。これは強制。夏妃に拒否権など与えられていない、一方的な
拷問なのだということを。
「拒否なさいますか? ええ、それでも構いませんよ。それならあなたの不貞が確定するというだけのこと。
この私、古戸ヱリカの推理した“真実”が証明されるというだけのこと」
「ま……、待って下さい! ……わ……わかり……ました……。やります……やればよいのでしょう!?」

 義父と不貞を犯したなどという冤罪を、認めるわけにはいかない。それは、夫が与えてくれた愛情を裏切る
ということだ。だから夏妃は、ギリギリと歯を食いしばり、無念のあまり滂沱しながらも――その拷問を、受
け入れる。
 獣の臭いが、更に近付いた。
「さあ、まずは1本目」
 ヱリカのその声を合図に、悪臭を放つ剛直が、夏妃の口腔内へと捻じ込まれた。
「う……ッ、ぐぅうッ!! んむぅッ! んんんーッ!!」
 ツンとした饐えた臭いの肉棒が、綺麗に紅の引かれた夏妃の唇を犯す。蒸れた汗の臭いが口から鼻へと抜け
て、何度も吐きそうになった。固く縮れた陰毛が鼻先を掠める感触も、とてつもなく不快なものだった。
 夏妃は口淫の作法など知らない。どちらかと言えば淡泊だった蔵臼は妻にそのような無体を強いることはな
かったし、夏妃も本来性交に用いるべきでない器官での行為など想像すらしたことがなかった。
 その、夫ですら知らない純潔なる彼女の第二の性器を、何者とも知れない男根が乱暴に出入りする。
「……ッは、んむぅ……ううッ! ぷはッ! いやぁ……いや……んんんッ!! んぶ……んぉ……ッ!!」
「突っ込まれてるだけじゃ駄目ですよ、夏妃さん? ちゃんと味とか形とかを確かめないと。ほらほら、どう
ですか? あなたの記憶の中にある、あなたの夫のモノと比べて、今あなたの口に入ってるソレはどんな感じ
ですかぁああ? ほら、ほら、ほらぁぁあああ!!」
「ん、んぐ……っ、……れる、れろっ……ううう……ッ、ちゅぶ、ちゅぼぉおお……ッ」
 冤罪を晴らさなければならない。夫と二人で築いた愛を証明しなければならない。
 その一心で、夏妃はボロボロと大粒の涙を零しながらも、口内の肉棒に舌を這わせ始めた。
 口淫経験のない夏妃である。その舌の動かし方は稚拙で、とても性感を与えられるようなものではなかった
に違いない。
 けれどそんな拙さにこそ煽られたのか、唇を犯すペニスは更に膨れ上がり、歯が当たるのも構わず強引に喉
奥目掛け往復を始めた。
 当然、それは夏妃にとっては苦悶を極める。
「んぶぅッ!? ごふっ、んむ……ッ、んんッ!! んもぁッ!! んぶぅうううッ!!」
 喉を突き破られるのではないかという恐怖。呼吸を妨げられる苦痛。太く張った雁首が喉の奥を抉る度、夏
妃は何度もえずく。
 やがて、ソレは口の中でビクビクと不規則に痙攣しだし――爆発した。
「~~ッ!!? んんッ! んんんーッ!! げぼッ、がはぁあッ!! げぇ……っ、ぅええええ……ッ」
 生臭く、粘っこく、エグ味のあるものが、口いっぱいに吐き出された。夏妃はソレを味わったことなどない
が、ソレが何なのかという想像はつく。そして事実に違いないその想像が、誇り高い彼女の心を焼いた。
「げほッ! げほげほッ!! いやぁ……ッ、まだ……まだ喉の奥に張り付いている……ッ! げぇええ……っ、
あなた……助けてあなたぁああ……ッ、がはッ、うぇぇえ……ッ!」
 夏妃は泣きながら床に嘔吐し続ける。そんな彼女のみじめな姿を、ヱリカは甲高い声で嘲るのだった。
「うっふふふふ……どうなさったんですかぁ、夏妃さぁぁん……? まだまだ1本目が終わったばかりですよぉ?
 今のはどうでした? 蔵臼さんだと思いますかぁ? さあ、次がつかえているのですから、早くして下さぁい」

 拷問は終わらない。また新たな獣の臭いが近付いてきて、床に向かって精液混じりの胃液を吐いていた夏妃
の頭を無理やり持ち上げ、震えるその唇に自らのモノを力ずくで捻じ込む。
「んんんんんッ!? んぶ……ッ、ぅぷ……!! んぐッ、んッ、んッ!!」
 夏妃の頭を、夏妃の意志などまるで無視して抱え上げ、肉棒は好き勝手に深いピストンを繰り返した。そし
て一頻り堪能した後――彼女の喉奥に射精する。
「ん……ッ、ぶは……ッ!! ゲホゲハッ!! ぐぇえええ……っ、くぅ……ッ」
「ああもう、いちいち吐いちゃ駄目じゃないですか。ちゃんと飲み込んで、味わいとか喉ごしとか調べないと。
で、どうです? 今のは蔵臼さんでした? 違うなら次の……ああ、もう面倒臭いですね。纏めていきますか」
 残りの6本が、一斉に夏妃を取り囲んだ。
 ……夏妃に、それを拒否する権利などない。どんなに悲しくても、どんなに苦しくても、貞淑を証明するた
めにはこの拷問をクリアしなければならない。
「ま、待って……押さないで……一人ずつ……んむッ!? んんんッ!! 駄目、駄目です、一度には……ん
ぶぅううッ!!」
 唇を奪い合うように突き込まれる肉棒。入り損ねたモノは、夏妃の滑らかな頬にズリズリと擦りつけられる。
 夏妃の顔面は、涙と涎と精液まみれだ。そこに誇り高く清廉な右代宮夏妃の姿はない。しかしそんな中でも、
彼女は必死に舌を伸ばし、愛する夫のソレを探そうともがく。
 しかし、当然、わかるはずがない。他の男と比べたことがあるのならばいざ知らず、夏妃の性経験は本当に
夫だけで、しかも恥ずかしくてまともに目にしたことすらなかった。
 だからわかるわけがない。それでも探す。探さなければならない。今の無力な彼女にとって、それが夫への
愛を示す唯一にして無二の手段なのだから。
 くすくすくす!
 けらけらけら!
 そんな夏妃の無様な醜態は、残酷なる魔女たちの退屈を紛らわせ、大いに楽しませている様子だった……。
「……ねぇ、夏妃。不公平だと思ったことはない……? 妊娠するかしないかなんて、女だけの責任じゃない
じゃない。……ねぇ、こうは思わなかった? 悪いのは自分じゃない……夫の方に欠陥があるんだ、って……
くすくす」
「んんん……ッ、そ、そんなことは……んぶッ!!」
「ない? 本当に? 望みもしないのに卑劣な手段で無理やり嫁がされ、家内にいても外様扱い……。懐妊し
ないことで、幾度も詰られ、罵られたわね……? ああ、わかるわ。私は理解する。そんな仕打ちを受けて、
憎しみで心が軋まなかったわけがない。……そう、あなたは右代宮家を、右代宮蔵臼を憎んでいたのよ……!」
「ちが……ッ、んんッ!! んむぅッ! ぁば……ッ、ぅむぅううッ!!」
 夏妃は、違うと叫びたかった。夫を憎んだことなどないと叫びたかった。
 しかし次々と口に捻じ込まれる肉棒のせいで、それすらも叶わない。
 ――それは、最初は何度も嘆いた。幾晩も泣いて過ごした。夫のことを胸の内で罵ったことだってある。け
れど……自分に同情し、不器用だけれど献身的に愛情を注いでくれた夫に対し――夏妃もいつしか妻としての
愛を抱くようになったのだ。

 それを、誰にも理解してもらえない。勝手に否定され、勝手に改竄され、勝手に決めつけられる。夫の不器
用な愛を、それに抱いた夏妃自身の温かな愛を、他人に理不尽に蹂躙され、弄ばれる。
 夏妃はそれこそが、いま己の口内を犯す男根どもよりも何倍も許せなかった。
「んんーッ!! ぅぶッ! んん……ッ、ぁぷっ、んぅう……ッ!! ……っ?」
 ――不意に。
 今まで夏妃を物扱いするように乱暴だった肉棒の内の1本が、彼女を労るような動きを見せた。それはとて
も儚い、ともすれば見過ごしてしまいかねないささやかな変化ではあったけれども、夏妃は確かにそれを感じた。
(……ぁ……あなた……?)
 夏妃は、確信する。夫はいつだって自分には優しくしてくれた。これだ。これこそが……夫のもの!!
「ぅあ……、あなた……あなたぁ……ッ、んんッ、ちゅばっ、ぺろぉ……ッ」
 舌を這わせて舐めてみれば、もう、そうに違いないと思えた。鈴口から溢れるカウパーの味も、幹に張る血
管の形も、夫のものに違いないと信じられた。一度も味わったことなどないにも関わらず、そう信じることが
できた。
 だから夏妃は、懸命に、夫のモノに違いないと思えるソレにしゃぶりつく。
「んは……っ、んぷっ、れろぉ……ッ。……は、あなた……あなたぁぁあ……っ。んんっ、はぷッ、ちゅくち
ゅく……ちゅうぅううう……ッ」
 夫のモノなら、奉仕することも嫌ではなかった。自分の口内で脈動し、切なげに震える肉棒を、愛おしいと
すら思えた。
 夏妃の熱心な奉仕に、口内のソレはビクビクと痙攣し、雁首がぷっくりと膨れ始める。射精が近いのだ。
「あなた……あなたぁ……っ、んぶ、れろぉおお……ちゅっ、ちゅっ、……出ひて……らひてくらはい……
なつひのおくちに……らひてくらはいぃいいっ、ちゅうッ、んちゅぅうう……ッ!」
 その吸い付きに――膨らんだ鈴口が弾け、熱の塊が放出された。
「んんッ!? ん……っく……、んくっ、こくっ、……こくん……ッ、ちゅうう……」
 夏妃は、マグマのようなその灼熱を、従順に嚥下した。ねっとりと喉に張り付き、とても飲み難かったが、
唾液で薄めて何とか飲み下した。口を窄めて、ペニスをストローに見立て、尿道に残った一滴まで余さず吸い
上げる。
「……どうです、夏妃さん? どれが蔵臼さんなのか、わかりましたか?」
 ヱリカの無粋な声が、夏妃の恍惚の時間を遮った。
 夏妃はドロドロの顔を上げ、唇に微笑みまで浮かべながら、しっかりと頷いてみせる。
「はい……! この人が……この人が私の夫です……!!」
「そうですか。……それでは、その目で確認してみて下さい」
 ヱリカが指を鳴らすと、夏妃の視界を覆っていたものがハラリと落ちた。
 暗闇に慣れきっていた夏妃の目に、光が飛び込んでくる。網膜を焼くような強烈な光の奔流に、夏妃は思わ
ず目を閉じ、そろそろと怯えるように薄く開いた。
 そこには、愛する夫の姿が――

「………………え?」

 ――なかった。
 そこには、醜い、汚らわしい、山羊頭のケダモノが、悪臭のするペニスをぶら下げて立っていた。
「……ぷっ! くすくすくす! あーっははははは!! ひーひひひ!! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!」
 魔女が、笑う。けたたましく、姦しく、品のない黄色い声で。時が止まったかのように静止し、呆然とする
しかない夏妃の頭上に、嘲り笑いを降り注ぐ。
 周囲には、8匹の山羊頭が下半身を剥き出しにして突っ立っていた。それらのいずれも唾液でてらてらと濡
れ光り、汚らしい精液をボタボタと零している。
「……あぁらら、残念ぇぇえん」
 ヱリカが、その可憐な顔に醜い歪んだ笑みを浮かべた。
「答えはぁ……『この中に右代宮蔵臼はいない』でしたァア! くすくすくす!!」
「……ぁ……、あ……、あ……!」
 夏妃の脳は、現実を受け入れられない。ただただ震え、意味不明の呻きを漏らすしかない。
 カンカン!
 法廷内に、魔女ラムダデルタの打つ槌の音が鳴り響いた。

「判決。――有罪」

 哀れな女の断末魔を、山羊の咆吼が飲み込んだ。


  • なにこれ最悪。 -- (名無しさん) 2009-09-21 15:37:33
  • このwikiは2ちゃんねるの成人向けスレに投下された作品の保管庫なので色々な趣向の作品が掲載されます。自分好みの作品だけが読みたいならば、閲覧しないことをお勧めします。 -- (名無しさん) 2009-09-21 20:09:59
  • これはひどい -- (名無しさん) 2009-11-30 21:19:37
  • 嫌なのがあってもスルーがマナーでしょ。鬼畜好きだっているんだよ! -- (名無しさん) 2009-12-05 23:06:24
  • なっぴが可哀想…  -- (名無しさん) 2010-11-11 16:42:17
  • うーん、すごく面白いです!。夏妃が気付くパッピーエンドも見たい…。 -- (名無しさん) 2014-04-03 17:46:31
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最終更新:2009年09月14日 14:15