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黒縁寿×白痴戦人です。

私はあなたと一緒にいられればそれでよかった。
どんな形でもいい、あなたがそばにいてくれればそれでいい。
だから今、私はとても幸せ。

無限の魔女、ベアトリーチェ。
一人を無限に殺し続ける、残酷な魔女。



「いつまでぼんやりしているの。立ちなさい、家具」
首輪につけた鎖を強く引っ張ると、彼は苦しそうに顔を歪めた。
私よりもずっと体格のいいその身体を引きずるのは相当な体力がいる。
意地を張って動こうとしないその背中を大きく蹴り上げる。
「ひぐっ!」
「さっさと動きなさい。私の腕が疲れるじゃないの」
襟首を掴んで持ち上げれば、彼は首を横に振っていやいやをした。
「馬鹿じゃないの。家具に拒否権なんてあるわけないじゃない。
自分が屈伏したことくらい、忘れてないわよね?」
返事の代わりに、ぎりぎりと歯ぎしりの音。
精一杯の抵抗のようだが、不快だ。
「マモン」
「はい」
私が名を呼べば、すぐさま姿を現した。
彼女は私の無二の親友だ。
--彼がいなかった間、ずっと私のそばにいてくれた。
「こいつを抉って」
「はい」
「ぐぁ……っ!」
マモンは彼の左肩を貫いた。
床に倒れ、悶絶する彼の傷口を踏みつける。
「ぎっ……」
「別に殺したわけじゃないんだから立てるわよね?
来なさい。何度も同じ命令をさせないで」
痛みからか屈辱からか、彼の目が滲んでいる。
「命令に従わないからこういう目に遭うのよ。
いい加減学習したらどう?家具が無能だと、私も恥をかくのよ?」
反論は聞こえず、ただただしゃくり上げる声だけが返ってきた。
彼が嫌がる理由は知っている。
これから私が何をするかをわかっているからだ。

暗い部屋の中、大きなスクリーンが姿を現した。
スクリーンの真ん前には、一人用の大きな椅子がある。
彼のための特等席だ。
「座りなさい」
彼は低く唸りながら拒否する。
もう一度、傷口を蹴り上げる。
「あぐぁっ!」
「言葉も理解できないの?座れと言ってるの」
彼はおずおずと椅子に腰かけた。
それが合図だった。
これから始まる拷問の、合図。

スクリーンに映ったのは、あの日の六軒島。
右代宮家を惨劇が襲った、1986年のあの日。
映像が始まったばかりなのに、彼が叫び声をあげる。
「あ゙ーーーー!!あ゙ああ゙ァアアああ゙アァァァ!!」
椅子に縛り付けられ、身動きがとれない彼の出来る限りの抵抗。
「静かに見なさいよ。あんたも多分見飽きてるでしょうけど」
赤く赤く染まるスクリーン。
汚していたのは、映像の中の彼自身だった。

ひとり、またひとりと映像の中の彼が命を奪ってゆく。
部屋中に響き渡る罵声、断末魔、そして肉を割く音。
見たくなくて、認めたくなくて、彼が必死に泣き叫ぶ。
最初のうちは、こんなの俺じゃねえ、と抵抗していた。
突きつけられる残酷な真実に、彼の心は次第に折れてゆき、
最後には、ただ声を上げて泣くぐらいしかできなくなった。
どんな理論を用いても、変えようがない事実。
これは自分じゃないと、自分自身を否定し続けた結果、彼は言葉を失った。
「うああ゙あ゙あ゙!!あ゙あ゙あああ゙ーーーー!!」
まるで幼児のように、言葉にならない声しか紡がない口。
舌を噛み切って死ぬことも思いつかないほど、退行した知能。
私がかつて渇望した、あの優しい笑顔はどこにもない。

「ほら、ちゃんと見なさいよ。
あんたが私の大事な人を殺すところを。
お父さんも、お母さんも、あんたが奪ったのよ。
あんたが私の幸せを、未来を、すべて奪ったの。わかる?」
私と揃いの赤い髪をつかみ上げて、スクリーンに押しつけた。
涙でぐしゃぐしゃの瞳には、きっと映っていないだろう。
「あれだけ私は兄さんに会いたいって思ってたのに。
兄さんは、あんたは、それを全部ぶち壊したの。
私がどれだけ絶望したかわかる?ねえ、兄さん」
泣き疲れた彼は、力なくせき込むばかり。
抗う力もなくした彼を見て、私の憎悪はすっかり萎えてしまった。
「……ああ、馬鹿らしいわ」
「……?」
私は彼の身体を縛り付けていた鎖を解く。
暗く濁った瞳の彼が、私の顔を覗き込んだ。
無限の魔女ベアトリーチェ。
彼女は一人を無限に殺し続けたというが、私は永遠に続く拷問など飽きてしまう。
私は椅子に座ったままの彼を、そのまま突き飛ばした。
椅子ごと転んで仰向けになった彼が、きょとんとした眼をしている。
その上に覆い塞がる形で、私は彼に乗った。
唇を重ね、強引にこじ開ける。
「ん゙んー!んぅぅぅ!!」
息が出来なくて苦しいのか、彼がじたばたと暴れる。
「キスくらいでガタガタぬかしてんじゃないわよ」
暴れたせいか、多少乱れた彼のシャツに手をかける。
「確か、家具に服はいらなかったのよね?」
言葉を理解する知能など残ってはいないが、
これから自分が嫌なことをされることくらいは本能的に悟ったらしい。
まるで子供みたいに、頬を真っ赤にしてぼろぼろと涙をこぼした。
その幼稚な行動とは不釣り合いな、逞しい胸にキスを落とす。
彼の身体がびくんと動く。
熱く火照った肌に手を這わせ、胸の頂を弄った。
その肌に触れて初めて、私は自分の手がひどく冷たいことに気がついた。
すっかり高ぶっているであろう箇所に手を伸ばす。
服の上から愛撫してやると、泣き声に別の声が混じってきた。
こうして触れ合うことを望んでいたのに、なぜか私の心は冷めきっていた。
目の前の事象をただの現象として受け止め、それ以上の何も感じない。
彼と一緒に惨劇を見続けることで、私の心もどこか壊れてしまったのだろう。
ズボンを脱がし、露わになった彼自身に触れる。
まるで熱の塊のような熱さをもつそれは、既に白い蜜が滴っていた。
「まだそんな元気が残っていたんじゃない」
「……っう、……ぅう……」
「何?」
「う……うー!うーーーーーー!うーーーーーーっっ!!!」
「…………!」
必死に首を横に振りながら、彼が一際大きな声で叫んだ。
「うーーうーーー!!うーーーーーー!!」
「……て」
知っている。
私は、その魔法を、知っている。
「うーーー!!うーーーーうーーーーうーーーーー!!」
「……やめて」
懐かしい思い出。
大好きだったお姉ちゃん。

(それは、幸せの魔法なんだよ)

「そのうーうー言うのをやめろっていってるでしょッッ!!!」
私は彼を思いきり引っ叩いた。
幸せの魔法?
笑わせないで。
言葉を失った彼の身体を抱き締める。
「……私は今、十分幸せなんだから」

どんな形でもいい。
お兄ちゃんと一緒にいられたらなんでもよかった。
私もお兄ちゃんも、心は壊れてしまったけれど、
こうして一緒にいられる。
だから、私は幸せ。

「もう、どこにも行かないで。戦人お兄ちゃん……」
「うー……」
大丈夫、私はシアワセ。
私の手の中で果てた彼の目の中に、暗く濁った瞳の私が映っていた。



  • 本当はスレ投下する予定だったのですが、三ヶ月以上規制くらってて書きこめないので直接うpしました。問題があるようでしたら消して下さい。 -- うpした人 (2009-07-19 23:25:05)
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