わたしの、わたしだけの(絵羽×夏妃)の後日譚になります。




「あ……んんっ……はぁっ……」
かつての自室で、右代宮絵羽は自らを貪っていた。
シーツの端を食み、声を殺したつもりでも、知らず嬌声は漏れてしまう。
別室には自分の子供もいるというのに、指先は最奥を求めて止まらない。
彼女をここまで狂わせてしまったのは、他でもないあの女の存在だった。
「ん……んぅ……」
頬をシーツに擦り寄せて、そのにおいを嗅ぐ。
絵羽がこの家を出るまでは、ここは絵羽の部屋だった。
それが今は、あの女のもの。
親族会議で再び訪れたこの部屋は、すっかり絵羽の知らないにおいが染みついていた。
右代宮夏妃。
絵羽が彼女に抱いた許されざる想いは、胸の奥深くへと閉じ込めたはずなのに。
ここで彼女の顔を見て、彼女の声を聞いて、彼女の香りに触れるだけで激情は一瞬で蘇ってしまう。
それをどうにか押しとどめるため、こうして自分を慰めていた。
「なつ、ひ……、なつひぃ……っ!」
いつしか頬を伝っていた涙の冷たさに気づく。
なんて情けない声なんだろう、と他人事のように思いながら、絵羽は身体を大きく反らせた。
本当は夏妃への想いを忘れたくなかった。
その想いを確かめるように、ちいさく何度も名前を呟いた。
「夏妃っ、ああっ、夏、妃ぃ……」
言葉にするだけで、なんと甘美なのだろう。
夏妃の名を呼ぶことで、自分と夏妃が繋がっている錯覚すら覚えた。

それが、いけなかった。
魔女というのは、どこで盗み聞きしているかわからないものだから。

「姉さん……?」
耳を掠めた声に、絵羽の背筋は凍りついた。
馬鹿な馬鹿な。
振り向けば、彼女の愚鈍で無能な妹がそこに立っていた。
まもなく頂点に達しそうだった快楽は、一気に冷たい波に変わった。
「楼……座……ッッ!?」
絵羽の顔が引きつる。
「ああやっぱり、姉さんは夏妃姉さんが好きだったのねぇ」
楼座は、絵羽が今まで見たことのないような下品な笑みを浮かべていた。
ノックの一つも覚えられない育ちの悪い妹が。
礼儀をわきまえないのは成人しても変わらないのか?
お前なんかに私の想いが分かってたまるか。
軽々しく夏妃の名を呼ぶな汚らわしい消えろ失せろ去ね。
普段ならばそんな悪態が次々と出てくるのだが、唇が震えて声が出ない。
目の前で狼狽する姉の苦悶など取り合わず、楼座はずんずんと絵羽に近づいてくる。
「く、来るな……っ」
「姉さんは身勝手よぅ。あんないい旦那さん持って、他の人に夢中だなんて。」
「煩い煩い!偉そうに諭すな、馬鹿楼、座……っ」
柔らかいものが絵羽の唇に触れた。
先ほどまで散々乱れていた絵羽の身体は、楼座の軽い口づけにも敏感に反応してしまう。
濡れた絵羽の唇の上を舌先でなぞり、楼座はしたり顔で姉を見降ろした。
「私だってこんなに姉さんのこと、アイしてるのにぃ?」
その顔は、絵羽の知る愚鈍な妹ではなかった。
もっと聡明で、高貴で、美しい魔女の顔だった。
そう、まるであの肖像画の魔女のように。

一瞬だけ、そう一瞬だけ。
屈伏への耐えがたい快楽が絵羽の身体を貫いた気がしたが、彼女の高いプライドはそれを一蹴した。
「ふざけないでよ、気持ち悪いのよ楼座の癖に、ぃいっ!?」
精一杯の抵抗が、甘い悲鳴に変わる。
楼座は絵羽の乳房を服の上から押しつぶした。
ベッドの傍らに落ちている下着を見て、彼女は絵羽が服の下に何も纏っていないことを知っていたのだ。
「やぁだぁ姉さん、その年してみっともないわよ?
譲治くんにあげてきたおっぱい、こんなにして」
「はぁん……やぁ、やめ……」
大きく形のいい絵羽の乳房を、楼座の手が包み込む。
品のいい衣服に、次々と皺ができるが楼座はお構いなしだ。
するりと服の下に手を伸ばし、胸の頂きを指でつついた。
「あんっ!?」
「すごいわ、姉さんの年になっても、こんなに勃つのねぇ」
楼座の冷たい指が、絵羽の乳首を執拗に愛でる。
自分より遥かに劣っているはずの妹に、いいようにされている。
それは絵羽にとってこの上ない屈辱であるはずなのに、意識すればするほど快感は増してゆく。
ほのかに揺れた水音を、楼座は聞き洩らさなかった。

「ふふ?」
嬉しそうに笑ったかと思うと、楼座は絵羽の脚を大きく開かせた。
「なっ!?」
丸見えになった絵羽のそこに、指を滑らせる。
「ひぃッッ……やめ、やめなさいよぅ……」
「姉さん、やっぱり嬉しいのよね?
私に触れられて、愛されて、こぉんなにぐじゅぐじゅに濡れちゃうくらい。」
指で押し広げて、ぬらりと光っている絵羽の秘所を眺め楼座はうっとりする。
「絵羽姉さんは、私だけの絵羽姉さん。
秀吉兄さんにも、夏妃姉さんにも、だぁれにも渡さない。」
恍惚として語る妹を、絵羽は心底恐ろしいと思った。
楼座は、すっかり潤った絵羽の蕾に口づける。
口づけて、唇をなぞって、舌で無理やりこじ開ける。
「あぅん……やぁ、もぅ……ばかぁ……」
夏妃の香りが立ち込める部屋中に、自分の水音が響き渡る。
愛していると楼座は云うけれど、夏妃への愛を否定された気がして絵羽は子供のように泣きじゃくった。
「もぅ、嫌ぁ……あんたなんか、きらい……だいきらいよぅ……」
「私は大好きよ、絵羽姉さん?」

愛があったって、どうせ視えない。


=終=



  • この作品二つとも大好きです、もっと読みたい! -- 名無しさん (2010-05-28 18:45:49)
  • このシリーズもっと書いてください! -- 名無しさん (2010-08-21 01:29:44)
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