真里亞を連れた2人はベルンカステル卿にワインと引き換えに用意してもらった、小さな家でささやかな暮らしを営んでいた。
 誰も自分たちのことを知らぬ世界。戦人は楼座の再婚した夫を名乗った。
さすがに真里亞を実の娘とするには無理があったからだ。

 晴れて夫婦になった二人。
なので、することは一つ。

「楼座さぁんっ。たっだいまー」
 アルバイトが終わり、家へ帰ってきた戦人。
緩みきっただらしない顔で、出迎えた楼座に抱きつく。
「ふふ、お帰りなさい、戦人君」

 優しい笑顔に、つい欲を出しちまう。

「楼座さーん。もう君付けやめましょうよー」
 顎を頭に擦りつけながら、ねだる。

「ええ、でも……。うーん、そうね。なら、戦人君が『楼座さん』をやめたら、ね」
「じゃあどう呼んだらいっすか」
「呼び捨てでいいのよ」

「う。じゃ、じゃあ。……楼座」

 呼び捨てにされると、嫌でも告白を思い出す。
ついでに自分のこっぱずかしい発言も。
楼座の白い頬が赤く染まった。
「ろ、楼座さんっ?」
「あ、ごめんなさいね。ちょっと照れちゃって」

 えへへ、と笑う楼座。そんな仕草が、どうしようもなく愛おしくて。
「ああ、もう。ほんっとかわいいなぁ!」
 勢い良く抱き上げる。
「きゃ、ば、戦人君っ?」
「いやー。ほら、疲れたんで。ちょっと休みたいなーっと」
「私を抱えてく必要ないでしょぉおお!!」

 小さな家だから、ものの数秒で寝室に到着。
腕の中で喚く彼女を無視して、服を剥ぎ取りにかかる。
一枚脱がす度に、抵抗は大人しくなる。
「分かったから、降ろして」
下着に手を出したところで、楼座がついに屈服し、自らそれを脱いだ。
戦人も手早く裸になり、後に続く。

 ベッドに並んで腰を下ろす二人。
そんな状況でも、楼座は戦人に背を向けていた。

「何むくれてんすか」
「むくれてない」
「またまたー。ほら、笑って笑って」
 腰へ、手を伸ばし。もう片方の手で顔をこちらに向かせる。

「……もう。戦人君の、えっち」
「へへ、俺男の子ですから」
「もーっ。……んんっ」
 更にお小言を続けようとしたが、出来なかった。

「ん、っちゅ……ちゅぱぁ……」
 舌が、唾液を滴らせながら絡みつく。
「う、ん……ん、みゅ……じゅう……」
 戦人が舌先をつついてやると、すぐに楼座も絡み付いて、唾液を貪った。

「んちゅ……っ、はぁ……は、あっ。戦人君、えっち……」
 先程よりも甘く染まった言葉。
それに戦人は溺れていく。

「俺は、楼座さんの全部が欲しいんだよ」
 腰を捕らえていた手を下へ降ろして、尻を撫で回す。

「きゃっ……やだ、そんなとこ触って……」
 ゆっくりと感触を堪能し、割れ目に指を差し入れていく。

「いッ、や、お尻はだめぇ……痛いの……ぅあっ」
 指の動きを緩める。目尻に浮かんだ涙を、舌で掬い取った。
「大丈夫ですって。優しくしますから」
「ん……ほんと?」
 本当に弄られたことがないらしい。初めてを奪って、ぐちゃぐちゃに犯してしまいたくなる。
が、それで泣かせるのも忍びないし、何より開発期間に制限もないのだ。
「じゃ、今日はちょっと慣らすだけ。ね?」
「うん……」
「そんじゃ、こっちに身体、向けてもらえます?」
「で、でもぉ……」
「だーいじょーぶだから。ねっ」
「え、ええ……」

 もぞもぞと身体を動かして、尻を戦人に突き出す。
見られている。戦人に見られている。
恥ずかしくて、でも何故か嬉しくて。そんな自分を、また恥じる楼座だった。
「っ……」
 彼の、無骨な指がいつもとは違う場所に入り込む。
先程の言葉通り、緩慢な動きで少しずつ違和感を慣らしていく。

「ん……は、ぁ」
 やわやわとした動きに、どんどん痛みが薄れていく。

「……感じた?」
「え、そ、そんなこと、ないわよ」
「でも、ほら」
 開いた手を伸ばし、戦人は楼座の秘唇を撫ぜた。
「ひゃっ……」
 そして、楼座に指先を見せ付ける。
「ほら、濡れてるよ?」
「あぅ……そ、それは……」
「ま、そっちの方が俺としては良いんだけどね」
 濡れそぼった指を、尻に押し付け、塗してやる。
滑りが良くなったそこに、より深く指を沈めていく。

「いぃっ、あ、いた……い、あんっ、そんなに、はいらな……っふあっ!」
しっかりと穿った指で、今度は中を乱してやる。

「あ、っやぁ!そんなに、かきまわ……っあぅ!やだあっ」
「そんなやらしい声で、喜んでるじゃん。へへ、もっといけっかな」
 指を増やして。動きを強めて。追いかけて、追い詰める。
「ひ!あ、ふとくな……ああ、だめ!も、やだぁ!や、あああっ!!」
 大きく身体を仰け反らせる。
 軽い絶頂に達したらしい。
そして、その恍惚の表情が戦人の劣情を煽るった。

「楼座さん、こっち」
「……え、あ。ばとら、くん?」
 ぼんやりした彼女の腰を抱き上げて、己と向き合わせる。
正面から視線がぶつかると、恥ずかしげに俯いた。
「……俺的に、限界なんですが」
 楼座の視線が下へ落ち、一点で止まる。
「そう、みたいね。えと……このまま?」
「できれば」
 楼座は戦人の目をちらりと見上げ、それから小さく頷いた。
それを合図に、戦人は楼座の腰を引き寄せる。
吸い付くように、戦人の肉棒が楼座へ入り込んでいく。
「あ……あ、戦人君……ん、……くぁっ」

 すっかり慣れ親しんだ、彼女の中。
悪戯のおかげで溜まったフラストレーションを晴らすべく、早速暴れ始めた。

 身体を震わせる楼座。
「はぁ、あ、ばと、らくぅんっ!あぁ、うっ」
 喘ぐ楼座が、愛おしかった。
「こんな可愛い顔、俺以外に見せないで下さいよ?」
 上でもがく彼女長い髪を掬い上げながら、戦人は呟く。
「んんっ、やぁ……こんな、はずかしいとこ、他の人になんて……っふぁあっ!」
「良かった。じゃ、もっと気持ちよくさせてあげますね」
 彼女の腰を持ち上げ、己を中ほどまで引き抜く。そして、それを感じるよりも早く、貫く。

「え?っ!あ、や、そんなにっ!?あんっ、乱暴にしないでぇっ!やぁ、中がぁ、ぐしゃぐしゃになっちゃううっ!」
「こっちの方が感じるでしょ?」
「やぁ、そんなこ、と……ああんっ、深いのぉっ。ッひ……あっ」
 高く啼く楼座。すでに会話もままならない。

「まともに応えられてねーじゃん」
「やぁ!あっ、はぁっ。も、やぁ……ばと、らくっ」
 縋り付いてくる身体を、強く抱きしめる。彼女の甘い香りに、愛おしさが募る。

「んっ、あ!はぁ、あっ!あ、だめぇ……また、きちゃうぅ……っ」
 ふるふると身体を震わせ、再度訪れた高まりを必死に耐えようとする楼座。
「やべ、俺も……調子乗りすぎたかね」
 発射準備はとっくに完了済みだった。

「ひ、あっ!戦人、く……っああ」
「……ッ、楼座さんっ……!」
 ぐん、と溢れ出した。
「あ、あっ……ひああぁぁっ!!」
 熱く、熱く。楼座に注ぎ込まれた熱が、彼女の意識を白く塗り替えていくのだった。

 しあわせは手のひらにほんの少しの砂でいい。
馬鹿で愚図な私は、たくさんもらっても、手からどんどん零してしまうから。
ずっとずっとたいせつにできる。ここが私の、旅の終わり――。

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