――腕が痛い。
目を覚ますと、見知らぬ天井が目に入る。
「ここ、は……」
「あ、目が覚めました?」

にこやかに微笑む、若い女。
知っている。可愛らしい、あどけない立ち振る舞いのくせに強かでずるい女。

「明日夢……さん」
「はい。右代宮明日夢です」
殊更に姓の部分を強調した言い様に、霧江は苛立った。
そう、彼女は右代宮明日夢。霧江にとって嫉妬と憎悪しか感じさせない女性だった。

思い起こす。そう、霧江は彼女の家を訪れていた。
目的は、仕事。職場に忘れていた留弗夫のファイルを、仕事上がりのついでに届けた。
まだ昼下がりと言って差し支えない時間だったせいか、彼は不在で、出迎えたのは妻である、明日夢。
立ち話もなんですから、と客間に通されて。
義妹である楼座にもらったというお茶を勧められ、口にした。
そのあとの記憶がない。

そして、現在。
ひどく窮屈で、痛む腕。頭の上で固定されているので、はっきりと視認できない。
「っい……な、何よ、これ」
「あ、それですか?手錠です。レプリカですけどね」

前に留弗夫さんと警官プレイした時に使ったんですよー、と出迎えの時と変わらないほがらかな表情が薄気味悪い。

「だって、私体力も知恵もないですから。抵抗されたらひとたまりもないでしょう?」
「抵抗、って……何をしようって言うのかしら」

怯えを悟られぬよう、霧江は平常通りの態度を取り繕う。
だけれども、だ。
そんな砂上の楼閣。もろいなぁ。潰してやりたいなァァア?

「ねぇ霧江さん。どうして留弗夫さんは私と結婚したんだと思います?」
ぴくり、と霧江の顔が歪む。
それは、彼女にとっても疑問だった。
プライドが高く、それに見合うだけの実力と魅力を備えていると自負してた霧江。
彼女にとって、家庭的な雰囲気くらいしか勝るもののない女に奪われるものなんて何一つありはしないと思っていたのだから!

「それ、は……明日夢さんは、優しいし、家庭的だし……」
「家事は好きですけど。留弗夫さんみたいなお金持ちなら、お手伝いさんなりなんなりで、どうにでもなりますよねぇ」
それも霧江の思考想定内にあった。

押し黙る霧江に、明日夢は火がついたように笑い出す。
「くすくす。まだ分からないんです?くす、あはははっ!無学で馬鹿な私が分かってるのに!?霧江さんは分っかんないのお!?」

くすくす、と嫌な笑いを浮かべ、霧江に近づく。

「じゃあこれから何するかも分からないんですかねぇえ?ふふ、本当に知らないんだァ。くすくすくす!」

びりびり、びりびり。布を裂く音。
引き裂かれたのは霧江が身に着けていたシャツの胸元。
「な、何するのっ!?やめて!」
「あなたのお願いを聞く義務ないですから。んー、手だけじゃ無理ね。はさみは……あ、あった」
大きな裁ちばさみを取り出し、ざっくりと布を切り裂く。

「動いちゃ駄目ですよ?ほら、手が滑っちゃうから」
そう言いながら明日夢は霧江の髪を切り落とした。

「……ね?暴れたら今度は髪以外に切れちゃうかも、ですよ」
笑う。はらはらと落ちる髪を踏み躙って微笑む。
その姿に、霧江は身を竦めてしまう。

「ふふ、いい子です。じゃあ続けましょうね」
ざくざく。明日夢はシャツ、スカート、下着に至るまではさみでめちゃくちゃに切り裂いていった。

剥かれて素肌を晒す霧江を、明日夢は値踏みするように見つめた。
「さてと。じゃあどこからがいいかなぁ?やっぱりここかなー」

ぎゅうっ。
「ぃっ!」
思い切り握り込んだのは、霧江の乳房。
綺麗にマニキュアが塗られた爪が、深々と刺される。
「留弗夫さんね、ほんとおっぱいが好きなんですよ。知ってます?」
「え……いたっ……え、え」
ぐいぐいと、両の手で豊かな乳房を揉む。
「私は元々こんなにないですけど。今はお乳が出ますからねぇ。いい勝負かもですね」
「ぅ、あ、そう、ね」
「くす。留弗夫さんったらね、すごーく甘えん坊さんなんですよ。戦人におっぱいあげてると、すぐ……」
「っあ、あ、やめ、ひぁっ」
片手を外し、開いた乳房に明日夢が吸い付く。
「ちゅうっ……ちゅ、ぺろ……ん、こんな風にちゅーちゅーしてくるんです」
可愛いでしょう?と明日夢が言う。
知らない。そんなあのひと、見たことない。

「ねぇ。まぁだ、捨てられたことが分からないんですかァ?……だから捨てられるのよ、この豚が」

罵りが霧江の心を抉り、傷を付ける。
だがそれを放った当人は気にすることもなく下半身へ手を伸ばす。

「や……やめてぇ!み、見ないでッ!」
明日夢は霧江の足を大きく開かせ、その奥に蠢くものを見つめ、ほくそ笑んだ。
「うふふ、留弗夫さんに触ってもらえないから自分で処理してたんですかァ?」
「っな……」
そこは、既に湿りだしていた。先程の愛撫に、分かり易く反応していた。

「だってほら、もう指がこんなに入っちゃいましたよ。もう長いこと留弗夫さんとはしてないはずなのに」
縮れた毛を避けて、明日夢の指が、霧江の中へ吸い込まれていく。
「ひ……ち、ちが、ああっ……」

「あら、感じてるんです?女の、しかも私に!指だけで感じてるんですか!?」
「違う!ちが、あ、いやぁあっ!」
「嘘つき。嘘つきっ!こんなに濡らして、よくもまぁ抜けぬけとそんな嘘が付けますねえ!」
ぐしゃぐしゃと、明日夢は水音を響かせる。
「聞こえてますか?ほら、びしょびしょ。あなたの汚い穴は、指だけでこんなになってるんですよ」
ずぶん、ずぶん。指を激しく出し入れして。入れる数も増やして。
霧江を執拗に攻め立てる。
「っくあ、あ、い、やぁ……や!やだぁあッ!!」
「嫌ァ?こんなに喜んでるくせに!ほらァ、もっと鳴いて見せて下さいよ。でないともう触ってあげませんよォ?」
「え、あ……」
激しい動きをぴたりと止める。
けれども、霧江の身体は火照り、侵入者を求めて肉壁をひくつかせる。

「ほーら、もう何もしませんよ。良かったですねぇ?」
楽しそうに霧江を嘲笑う明日夢。

「くす。どうしたんです?ううん、違うか。どうして欲しいんですか、霧江さん?」
下半身の熱が引かない。拘束された身体では自分で慰めることもできない。

「さぁさ、望みを言って御覧なさい?きっと叶いますから、ね?」
優しい声に、霧江の理性が崩されていく。

「あ……って、くだ、さ……」
「えぇ?何ですかぁ?」
「わ、私を……触って、下さい……」
「んん……どこを?どぉんな風に触って欲しいんですかぁ?私、馬鹿だから良く分かんなくってぇ。頭の良い霧江さぁん、教えて下さいよォ?」
薄ら笑いを貼り付け、明日夢は告げる。
請い願う言い草だが、それは命令だった。
逆らえるはずもない。

「私、のっ、汚いお、ま、……っこを触って下さいぃっ!め、めちゃくちゃにして、下さい……っ」

「よくできました。肉欲まみれの牝豚さん」

霧江の足の間に蹲り、指を押し込む。爪で肉を引っ掻く。
それだけで。
実に、あっさりと。
「……は、あああッ!あ、あぁ……っ」
霧江は潮を吹いて、果てる。

それは明日夢の引き抜いた指にもべったりとこびり付いていた。
「あらあら、汚いですねー」
「ぅ、あ……ご、ごめんな、ン、むぅっ」

謝罪しようとした霧江の口内に、指が押し込まれる。
「ほら、ちゃんと後始末して下さいぃ?ほらほらァ!」
「んぐっ!う、んむぅううッ!」
指が舌を扱き、歯茎を爪で抉られる。

その度に霧江がくぐもった悲鳴を上げた。
しばらくはそうして弄び、ちゅぽんと指を引き抜いた。
「あーあァ。駄目ねぇえ?全然駄目ねえ!?」
指を動かすと、霧江の唾液がてらてらと光った。
それを躊躇なく霧江の顔に押し付けた。

「っ!?いたっ……」
「拭き拭き、っと。ふう。霧江さんってこの程度の奉仕も満足に出来ないんですねぇ?おっかし、あっははは……」
嘲笑にも抗えない。ただ震えて縮こまるしか今の霧江には出来なかった。

「さて、と。じゃあそろそろ本番と参りましょうか!」
何かを取り出した。何か。ああ、でも見覚えがある気がする……。

「おっきいでしょ?留弗夫さんのはここまでありませんからね。気持ちいいですよ~?」
大きな、それ。
そう言えば、以前罰ゲームだとか何とか言って留弗夫に連れて行かれた大人の嗜好品を売っている店。
そこに似たようなものが置いてあった。でも、こんなに大きくない。
こんな、むちゃくちゃ。

「や、め。!!ぐ!ひ、ぎっ……あ、がぁっ……」
弄くられて濡れそぼっていたが、何分、そこに突っ込まれたものは規格外のサイズだった。
快感よりも痛みの方が強い。
何より、呼吸もまともに出来ない。
「ぎ、ぐ、る、じっ……んぐぅッ」

「なあに、まだ足りないんですかァ?欲張りねぇ」
明日夢は霧江の足を掴むと、ちょうど……そう、赤子におむつを替えてやるような体勢にした。
「ぐ、ち、ちが……ぎ、ぐあぁあっ!?」
浮かせた尻に、明日夢は前の穴に押し込まれたものと同じ巨根を挿してやった。
「ほら、お尻にも入れてあげましたよ。お揃いですね~」

重力に従って、尻が下へ落ち。挿されたそれは、ぐんぐんと突き込まれていく。
霧江は尻を弄られた経験がなかった。
だから。濡れてもいないし、許容量も小さい。
だから、だから。待っていたのは痛みだけ。

「いぎっ!ぎ、あ、だいぃ、いだぁあ、ぐああぁぁあッ!!」
悲痛な叫びに、明日夢は実に満足そうに嗤う。
その輝く笑顔は、普段なら愛らしいものとして映るだろう。
だが、現状ではただ恐怖しか湧かせないだろう。
幸か不幸か、苦痛に慄く霧江に、その笑顔を見る余裕はなかったが。

「いた……い、ぐ、ああっ……だ、だし、うぐぁ……」
掠れた声で哀願する霧江。だが、明日夢が気に留めるはずもない。

「あら。ごめんなさい、ちょっと失礼」

震える霧江の横をすり抜け、部屋を出た。
数分後、赤子を抱きかかえて戻ってきた。
「もう、戦人は泣き虫ねぇ。ほら、いい子ね……」
霧江にとって明日無に次いで憎たらしい対象……右代宮戦人。
だが、今は身体を苛む痛みが先立つ。

「うぐっ!ぐ、あ、ああっ!」
「ああもう、霧江さん。静かにして下さいな。この子がまたぐずっちゃうで、しょっ!」
無造作に足で霧江を貫く玩具を蹴る。
足が当ったのは前の方だけだったが、狭い間隔で打ち込まれているせいか、振動は後ろまできっちり届く。
「ひぎぃっ!?いだっ、だいぃッ!!」
前から、後ろから。乱暴に抉られる痛みに、霧江は涎を垂らしながら啼いた。

明日夢はおざなりに足で霧江を弄りながら戦人をあやす。
十数分後、腕の中の赤子が落ち着いたので、明日夢はまた部屋を空け、戦人を寝かし付けた。

「んぐぅっ、ぐ、あ、ひ……っ」
「ほらぁ、もっと腰動かして下さいよォ?私の手を煩わさないで下さいねえ?」
「ひっ……う、あ、ああ、ッぐ……」
喚きながら腰を揺らす。
その度に中を擦られ、また啼く。
「あ、ううっ!ひ、あ、ああっ!!」
少しずつ、声に色が入っていく。
明日夢が何も言わずとも、霧江は自ら激しく腰を振り、深く咥えたそれに快楽を感じ始めていた。

「ほら、どうですか?気持ち良くなってきたでしょう?」
「ひっ……ひ、あ、うぅっ」

認めたくない。認めたくはなかった。

「早く答えて、霧江さん」
「っは、はいっ、き、きもちっいい、れすぅ……っ」
「どうして気持ち良いのかしら」
「ふあ、あ、ぶっとい、お、ち……んち、入って、う、ぐ、ああ!」
「そうですね。こんな玩具を一杯咥え込んで。今の貴女、とっても可愛いですよォ。汚らしくって!」
戯れに揺れる乳房を弄る。甲高い喘ぎが部屋に響く。

「はひっ!は、あっ、わら、わたし、きたないで、すぅうっ」
「そうですねぇ。私の前でこんな痴態曝して。くすくすくす!本当、肉欲まみれでっきたなあい!」
「ぎ、あ、がっ!ああん、また、またいっちゃううう!ひああ!」
がくんと霧江が震える。

ああ、おかしい。おかしい。おかしくって仕方ない。

「留弗夫さんが帰ってきたら、どうしようかしらね……?」
一緒に遊ぼうか。それとも一緒に遊んでやろうか。
ああ、本当に楽しみだこと!

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