「はぁ…」
窓から外を見上げれば、暖かな日差しと共に曇りのない青空が見える。
こんなに良いお天気なのに、外へ散歩することも叶わない。
なぜなら、まぁ、当然のことだけど仕事中だからだ。
すこしくらい休憩を挟んだほうが気分転換にはいいかもしれない。
だけど今の会社の状態は油断ならない状態で、いつ如何なる時も私が適切な対応ができる状態でなければと思っていた。
束の間の一時を、紅茶が淹れられたティーカップに唇を寄せながら空を見つめる。
幸い私がいる部屋は自分以外誰もいず、気分的には楽だった。
だが、だんだんと“余計なこと”に思考が捕われそうになり頭を軽く振る。
その時だった。

コンコンー…

ドアから小さな音だったけど、確かにノックする音が聞こえた。
「どうぞ。」
声をかけてみるが反応がない。
「…?」
私は首をかしげ、ドアノブに手をかけた。

ゴンッ!!

鈍い音が頭全体に響き渡ったと思うと、おって顔(とくに鼻)がヒリヒリと痛む感覚。
「うー!ママ、いた!!うー、うー、やっぱりいた!」
ああ、やっぱりマリアか…。
あれほど仕事場には来るなと、…それ以前にドアは静かに開けなさいと言ったのに。
「…マリア、どうしたの?ママがお仕事しているとこに来ては駄目って言ったじゃない。」
痛む鼻を抑えながら、マリアを部屋の中へといれた。
そして鍵を閉める。
ー…もし今、誰かが入ってきて娘と戯れている所を見られたら
それは立派な職務怠慢であり、責任問題にまで発展してしまうかもしれない。その予防だ。
(…でもいまさら、ね。)
会社の経営状態を自虐的に客観視している自分に苦笑いを浮かべ、マリアの肩に手を添える。
「で、どうしたの?」
「うー!これ、これっ!」
マリアが片手に持ってるモノをぶんぶんさせ、やっとその存在に気付く。
「え、あ、傘…?」
またこの娘は何を思って、こんなものを…。
だいだい今日は天気予報でも快晴の青空、降水確率だって10%じゃないか。
かるく頭に頭痛がはしる。
いまなら、ちょっとだけ夏妃さんの気持ちが解るかもしれない。
「マリア、雨なんか降らないわよ。」
「うー、ー…『』るの!うー、うーっ!!」
「分かったから!」
ダンダン、と地団駄を踏むマリアを泣かれる前になだめる。
マリアに泣かれたら、なだめるまで手間がかかるし
いまの気分的につられて泣いてしまいそうだった。

(なんて自分は無力なんだろう。)

無意識のうちにしかめっ面になっている自分。
ここで泣いたら、マリアはびっくりするだろうか。
…びっくり、してくれるだろうか。
「ママー。」
ふと、我にかえってマリアを見下ろす。
そこには、さっきの駄々をこねるマリアはいなかった。
柔らかな白い顔、栗色の前髪から澱みのない蒼い瞳が私を見つめる。
こんなにも可愛らしいのに、この子の思考がまるで読み取れないのが怖かった。
「どうしたの?こわいの?マリアがこわいの?」
マリアの口から放たれた、言葉
私はやっと我にかえり、マリアの目の高さに合わせるように屈みこむ。
「そんなわけないでしょう?マリアは可愛いなぁ~、って思ってたのよ。」
とっさの作り笑いで誤魔化す。
でもマリアは笑わない。
顔が泣いてるようにも見え、私はどうしたらいいか分からなかった。
するとポスッ、とマリアが私の胸元に飛び込んできた。
「…ママ。」
ギュッとしがみつかれ、マリアの顔が胸にしずむ。
「だ、だめじゃない。離れなさい。いま仕事中なんだから!」
心とは裏腹に、予想外のマリアの行動に酷いことをいってしまう
それでも、マリアは離れない。
胸元から聞こえてくるのは衣服を擦る音と、呼吸音。
(甘えてる、のかしら?)
そういえばマリアを抱き締めてあげる機会が久しくなかった気がする。
毎日が仕事におわれ、マリアとはほぼ行き違いの生活だった。
家にお手伝いさんは雇ってあるけど、やっぱり母親が必要なんだろう。
そう思ったら顔が緩んで、おもわずマリアの頭を撫でていた。
「…んっ!」
突然、乳房に温かな感触が這う。
胸元を見ると、いつの間にかマリアが衣服のボタンを外して
その小さな手で乳房を撫で回していた。
「だ、だめよ!はしたないわっ」
手をつかもうとしたら、今度は先端の突起を吸い上げられた。
「やっ、ぁあん!!」
身体中に甘美な刺激がはしる。
禁欲的な生活をしていた身体にはそれは強すぎた。
「っぁ、はぁはぁ…。マ、リア…?」
「うー。」
まだ乳房に舌を這わせ、私をマリアは見上げる。
「…ずるいよ。ママだけずるい。うーっ。」
「んっ!はぁ、なにが?」
またしても先端を甘噛みされ、くすぐったいような刺激に耐えながら問う。
「マリアをおいてかないで…」
「…」
“おいてく”?
私が?マリアを?何処へ?
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいだ。
考え込んでるとマリアが首筋に吸い付いてきた。
「っぁ。」
なんだろう、この背中を駆け抜ける感覚は。
気付くと下着がうっすらと濡れ始めていた。
(マリア、寂しい…のかな。)
そう思うと、これは一種の成長過程における通過点のような気がしてきた。
第二次成長を迎えようとしている、多感な年頃だから満たされない欲求
つまり愛情を私に求めてるんだ。
我ながら身勝手な解釈だとおもうが、もしそうであるなら嬉しくてマリアを止める気になれなかった。
「ん、…はぁ。」
そのうちマリアが体重をかけて、私を押し倒してきた。
下は絨毯だったので、それほど背中に痛みは走らなかった。
マリアの背中を擦りつつ、なだめてみてもマリアは行為をやめない。
方膝を私の足の間におき、乳房に下を這わせ尖端を吸ったり噛まれたりされる。
「んぅっ。マリア、その…。ママの、っはぁ!ママの…お、おっぱいでないのよ…?だから、やめ…、ああんっ!」
突然下半身から異常なまでの快感が身体を駆け巡った。
見るとマリアの片膝がグリグリとスカート越しに秘所を刺激している。
「ママ、おっぱいでないの?つまんない。」
やわやわと胸を揉みしだきながら、マリアは尖端から口をはなし薄笑いを私にむけた。
口許から胸の尖端をつなぐ銀色の糸は妙に厭らしかった。
「…あなた、“マリア”よね?」
自分で自分が何を言っているのかわからなかった。
目の前にいるのはマリアじゃないか。
でも、でも…。
「マリアだよ。おかしなこというね。」
マリアは不機嫌そうに眉をよせながら、仕返しのように秘所を膝でつく。
「っあぁ!!そこはだ、めよ…。あんっ。」
「なんで?すごい濡れてるよ?マリアのお膝びしょびしょだよ?」
「ふっ、ぇ…?」
濡れてる?私が?
強すぎる刺激の嵐で、自分の身体の変化に今ごろ気付く。
(やだ、私ってば何考えてるのっ!)
仮にも自分の子供相手に乱れるなんて…。
「ママ、お顔真っ赤だよ?どうしちゃったの?はずかしいの?マリア、いけない子になっちゃった?」
「っ、…はぁ。大丈夫よ、マリア。気にしないで。」
少し反省してるのかしょんぼりと眉尻をおとすマリアが可愛くて、無意識に頭を撫でていた。
「でも…」
「えっ?」
「でも、まだママの腰揺れてるよ?」
自分の下半身に目を向けるとマリアの膝にあの場所があたるように僅かながら腰が揺れていた。
「ぁ、やっ。これは…。」
言葉を探しても見つからない。
自分の恥態に思考がとまり頬が熱くなる。
このままじゃどうにかなってしまいそうで、思わず顔を背けた。
束の間の沈黙が部屋を支配する。
それを破ったのはマリアだった。
「…マリアがママのしたいこと、やってあげる。」
その言葉にとっさにマリアのほうを向くと、マリアは私のスカートをたくしあげ下着に手をかけていた。
「マリアっ?!」
するっと下着を脱がされ、秘所が外の澄んだ空気に触れる。
反射的に足を閉じようとしたが、マリアの身体が足の間にあって閉じられない。
「ママのここ、かわいい。」
「ひゃううんっ!」
ツッと恥毛をとおり、双丘を人差し指で撫でられる。
自分の最も弱い場所が晒けだされ、我が子に見られている。
そう思うとまた、ジトッと蜜が溢れ出てきた。
くすくす、とマリアが笑ったと思うと秘所に口をつけられ思いっきり吸われた。
「はっあああぁんっ!」
自分でも信じられないほどの大きな媚声に、すぐに口を手で覆う。
くちゅ…ちゅ…
舌でしつこく舐められ、舌先をいれられたりだされたりする。
「ん…んっ…。」
マリアは私の反応をみて遊んでいるつもりなのだろうが
わたしはそのじれったい刺激がもどかしくて、声を殺しながら腰をよじる。
いつの間にかマリアが動きをとめ、こちらをじっと見据えていた。
「…我慢しなくていいんだよ。ママが頑張ってるの知ってるから。」
その言葉に何かのせきが切れ、涙が溢れてとまらなかった。
「…指を、いれて。」
マリアは柔らかく笑うと、その小さな指を二本くっつけて膣内にゆっくりと挿入した。
「あ、はぁっ…。」
マリアの指が壁にあたる度、甘い刺激が身体を犯す。
「ママのなか、あったかい。」
ナカを確かめるように奥へはいってくるマリアの指が愛しくて、自然に内部がマリアの指を包んでいた。
次第に上下に抜き差しされていたマリアの指が勢いをましていく。
襲い来る刺激の波にどうしたらいいか分からず
ギュッと爪をたてないようにマリアの肩をつかんだ。
マリアの頬も赤らんでいて、息があがっているようにみえる。
そして私とマリアは欲求に流されるまま、静かに唇をあわせた。
「ママ、だいすき。」
「…ふぁっ!マ、ママもマリアが好きよ。だいす、き…、んっ!ぁ…はぁ…。」
私はマリアの指先をキツく締め上げ、絶頂を迎えた。
マリアは静かに指を私から抜き、指についた白濁の液を静かに舐めあげた。
「はぁ、はぁ…ん…。」
私はいまだ止まないナカの疼きを呼吸を整えながら抑え、マリアに目を向ける。
白い指を舐めあげるマリアはどこか冷めた表情をしていて、それなのに幼いながら妖艶な雰囲気を醸し出していた。
また、ドロリと蜜が溢れるのを感じマリアに両手をのばそうとした。
その時ー…

コンコン

「ローザ様。お電話です。」
ドアを叩く音と共に、使用人のかしこまった声が聞こえた。
私はとっさにマリアを突き放し、立ち上がると乱れていた服装を整える。
「ありがとう。いま、行きます。」
そう返事をすると、一礼の間があり使用人の足音が遠ざかっていく。
先程までのどうしようもない熱は、さきほどの出来事で収まりをみせ
だんだんと、喘ぎ声を聞かれてはなかっただろうか等と他のことを考える余裕もでてきた。
ふとマリアを見下ろす。
マリアは絨毯上で尻餅をついたまま、俯いていた。
「きょ、今日のことは多目にみます。ママはこれからお仕事だからマリアは帰りなさい。」
髪を手で整えながら、窓の外に目をやる。

(えっ…?)

窓の外は、まるで別の世界に来たように変貌をとげていた。
そこに青い空を思わせるものは何一つなく、風と雨が窓を叩く。
いくら熱に浮かされていたとはいえ、これほどの変化にどうして気付かなかったのだろうか。

『うー、ー…『』るの!うー、うーっ!!』

あの言葉が頭をよぎり、マリアのほうへ振り向く。
マリアはすでにドアノブに手をかけ、私に背中をむけていた。
「言った。マリア、だからちゃんと言った。“くる”って。」
「ええと、“来る”…?」「…そうだよ」
そう言い終わると同時に扉がバタン、と閉まった。
絨毯の上にはマリアが持ってきた傘が落ちていて、それだけがあの子が来ていたことを証明していた。

来ていたのは、あの子。
それはマリアだったの?それとも…

考えようとするとまた、頭に鈍い痛みがはしる。
まだ下半身にも甘い疼きが残ってはいるが
これ以上電話を待たせる訳にもいかず、頭をかるく振って部屋を後にした。


あの時、マリアが言ったのは「ふる」だったのだろうか
「くる」だとしたら、誰が?何が?

答えは見つけられないまま、忙しい毎日に記憶は埋もれ、親族会議の幕があけた。

〈終〉
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