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「跪いて魔女様のお御足をお舐め」(2009/08/29 (土) 22:19:00) の最新版変更点
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part22 >>304
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まっとうな性交ではなく脚コキネタありますので苦手な方注意。
※エロに移行する前、グロ描写があります。
駄目な人は最初のほうはすっとばして下さい。
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――果たして、魔女は幾度にわたって無慈悲な賽を転がし、
幾人が豪雨の孤島の中、むごたらしい最期を遂げたのか……
「ぎゃああああああああッ!
いや、嫌ッ、殺さないで黄金の魔女、殺さないで……!
お願い、ベアトリーチェ、黄金郷へ連れて行って、黄金郷へ、
おうごん――ぴぎゃっ。」
「――やっと最後の一人がくたばったか。
『うみねこのなく頃に生き残れた者はなし』……
……ふぅ、幾度目かのう、これをつぶやいたのも」
黄金郷へ辿りつきかけていた最後の一人の鮮血がべっとりと滴る手で、
ベアトリーチェは愛用している長煙管を口元へ運んだ。
閉鎖された孤島の中、繰り返される残酷な惨劇。
すべてはベアトリーチェの思うががま、賽の導きと碑文の伝承にしたがって、
幾多の人間が物言わぬ屍と化していった……
ベアトリーチェは苦み走った顔つきで煙管の縁を噛む。
完全犯罪を成し遂げたというのに、心のうちには妙な空虚感がたゆたっていた。
――聡明な魔女は、本当は分かっているのだ。
このような血の惨劇を幾度繰り返したとて、自分の中に打ち広がる
虚ろは埋められないということに。
右代宮家の人間を皆殺しにし、復讐を成し遂げたとて……
魔女が求める『愛』はどこにもない、いつまでたっても得られない。
(どいつもこいつも真実に気づけぬウスノロばかり。
妾の手の内でくたばるばかりの愚かな生贄の羊たち!
ああ、誰か一人でもいい、碑文の真実を暴き、本当の『黄金郷』を見つけ出せる猛者はおらぬのか。
妾を永劫の眠り、永久の安らぎのうちに休ませてくれる者は!
……それとも、もう、おらぬのか。
妾の、妾の本当の願いを、叶えてくれる者は、もうどこにも……ッ)
思慮が沈んだそのときだった。ごすっ、という、西瓜が床に落下した時のような、重くて鈍い音が場に響き渡ったのは。
「いやぁだ、また壊れちゃった」
続いて少女の甲高い声。ベアトリーチェはけだるいしぐさで後方を振り向いた。
場はすでに悲劇の六軒島ではなく、目もあやな豪奢な調度をちりばめた魔女の談話室へと変化している。
「ベアトリーチェ様ァ、これ、また壊れちゃいましたァ! なおして、なおしてぇ」
猫足のドレスチェアに座りこみ、優美に足を組む幼い少女は、ベアトリーチェ配下のひとり。
煉獄の七姉妹・色欲のアスモデウスその人だった。
まだローティーンのおもざしに妙にコケティッシュな艶をにじませ、語尾を甘くのばす舌足らずな口調で、
彼女は手の内に持っている『あるもの』をベアトリーチェに掲げで見せた。……小ぶりな西瓜ほどの大きさの、それは人の生首だった。何か万力のごとき力で引きちぎられたであろう切断面からぼとぼとと血膿が床上に滴っては、赤黒いミルククラウンを描く。
「これ、アスモデウス、お前はまた性懲りもなく壊したのか。
玩具とはいえ妾が差し出したものだぞ。
壊すなとは言わぬが……せめてもう少し丁寧に扱えぬものか?」
「だってぇ、いつもは姉さんたちがこれを独り占めしちゃうからぁ」
アスモデウスは唇を尖らせて生首をぶんぶんと振り回す。
美少女の白い指が鷲づかんでいる髪の毛がぶちぶちを嫌な音をたてた。
「あああ、わかったわかった、元に戻してやるからそれを床に置け」
「はァい♪ ベアトリーチェ様、大好きィ」
アスモデウスは無邪気な笑顔で生首を床にたたきつける。
衝撃で、ぶしゃぶしゃと脳漿をまき散らした残骸に、ベアトリーチェは笑いかけた。
「ほっほう、見事なまでに血まみれでバラバラで血だるまでぐしゃぐしゃだの。
――おや、ハラワタも少々引きずり出されて……ふむ、ラムダデルタが喜びそうだな……
ま、そんなことはどうでもよいか。
――さぁあ、そなたが本当はどんな姿をしていたか、思い出してごらんなさい、可愛い妾の愚かな玩具。
そうそう、その調子、もっともっと思い出してごらん、そなたの本当の姿を……!」
魔女が力ある言葉を放つごと、床上に散らばった残骸に変化が起きる。
ちぎれた細胞が近くの細胞とくっつきあって肥大化し、折れた骨が次々に組み合わさって『人』の形状に戻っていく。
飛び出た脳髄、引き出された胃袋が頭部へ胴体へ自然に戻り、ずたずたになった皮膚がつなぎ合わさって――
そして、幾度も幾度も繰り返される絶望のループの中、黄金の魔女へただ一人挑む男・右代宮戦人が目を覚ました。
「う……痛ててててっ!
ちくしょう、生首で手鞠、胴体で綱引き、ハラワタで蝶々結びなんぞして遊んでくれやがって、このフトモモむきだしのエロ魔女が!」
「きゃあ、生き返った、生き返ったァ♪
あん、遊ぼ、またいっぱいイケナイ遊びをしようよォ!」
「だめだ、アスモデウス。
お前は十分この玩具と遊んだろ? 妾と交代だ」
瞳をうっとりと甘く潤ませるアスモデウスをベアトリーチェは鋭く制す。
ベアトリーチェは、残念そうに表情をゆがませ闇の中に掻き消えていく色欲の権化を見つめおえると、ゆっくりと戦人へ視線を移行させた。
「さァて、お前の推理は今回も的外れの大外れ。
大事な家族も使用人も真犯人も、無敵の魔女の前に哀れにも惨殺されてしまったが……
どうするね戦人、まだ屁理屈をこねまわして妾に挑むか?」
「当然だ!
今回もわけわかんねぇ密室こしらえやがって……
大体、六人があの場所にいる状況がおかしすぎるんだよ!
二日目の夜のあの出来事だって、まだ検討の余地があるし、あいつのあの行動も怪しい!
ヘリクツって馬鹿にするんじゃねえぞ、お前のすべては俺の推理で覆せー―ッ、痛てててっ……!」
口角泡を飛ばす勢いで推理を展開しようとした戦人は、突如腹部をおさえてその場にうずくまった。
彼の纏うホワイトベージュのスーツの前身ごろを、鮮血がべっとりと濡らしている。
おや、とベアトリーチェは愁眉を寄せる。
「おやおや。
縫合がうまくいかなんだか、よほどアスモデウスに内臓をぐしゃぐしゃに弄られたと見える。
ああ、わかった、暴れるな。強い魔法をかけてやる、その程度の怪我、すぐ治してやるとも。
……うん、大丈夫だ、吐きたければ戻すがいい、あとで山羊に始末させる」
激痛のあまりに吐瀉する戦人に、慈母めいた甘く優しい声音で語りかけ、ベアトリーチェは魔力を帯びた呪文を口ずさむ。
乱舞する蝶のさなか、溢れ出す金色の力で、戦人の体から痛みが引いていく。
「ついでだ。脆くて弱いお前の体、もう少し強くしようかの。
七姉妹にいじくられるたびに徐々に弱まってきている、耐性をつけねばいずれ本当に死んで壊れる可能性がある」
ベアトリーチェは囁いて、言の葉に込める魔力を強めた。
まどろみの中にあるような、適温の風呂に肩まで浸かっているような、心地よい安堵感が戦人の全身を緩く包む。
ああ、と、感嘆の声が我知らず漏れた。――だが。
――ずくん。
「……!?」
癒しの時間は突然断ち切れた。
腹の底からのど元に向かって、こみ上げてくる『何か』がある。
嘔吐感ではない。どちらかというとのどの渇きに似たものが、体の奥底から戦人を突き動かす。
否、飢餓ではない、枯渇ではない、これは、これは――
「うああああ! ベアト、ベアトリーチェ、もう、やめろ!」
体内から体を突き破らん勢いで『あふれ出すもの』にこらえきれず、戦人は頭を振って叫んだ。
突如絶叫し再び床に伏した戦人の姿に、魔女は再度眉を寄せる。
馬鹿な。細胞を活性化させ、傷ついた組織を再生し、生命力を増すという『良い魔法』を使ったのだ。
戦人が苦しむはずはない。そんなのはおかしい、魔術より不条理だ。
「なぜだ戦人、なぜ癒されて苦しむ!?」
「ち、違うんだ、お前、たぶん、俺の体を活性化させすぎた――
ッあ、あァ、くそ、ベアト、お前今すぐどこか行け、ここにいるな!
お前、さえ、いなかったら……っあ、ぁ、おれ、たぶん一人で始末できる、ぅあ……」
荒い呼気の中で戦人はあえいでいる風である。
尋常ならざるその様子に、ベアトリーチェは困惑し、もしや腹部にまた異常があったのではあるまいかと戦人の下腿に目をやって――息をのんだ。
彼の着こんだ上等のスーツ、その両足の付け根のあたりの生地が……不自然な形に張っている。
ベアトリーチェはまごうことなき女性である、男性の生理現象には詳しくない。
だが、風説では知っている、男性は性的に興奮状態に陥ると、下半身の一部が充血・硬起してこのような状態になるのだとかなんだとか。
そこでようやく腑に落ちた。
おそらく、魔女たちの無情にして非情な拷問に耐え切れるよう、人間の脆い体を魔力でちょちょいと頑健にしてやろうという魔法が裏目に出たのだ。
彼の生命力を刺激しすぎて、オスの生命力までむやみやたらに増加させてしまった。
ゆえに戦人は急激に訪れた欲情に苦しみ、うずくまった、と――こういうわけだ。
「た、頼むから席はずせ、俺のアレが突っ張ってじんじん疼いてテント張って痛ェぐらいだぜ畜生!
ああもう、あとでヒィヒィいわせてやるからなこの阿呆魔女が……っ」
戦人をおもんばかって踵を返してやろうと思った足が、その一言でぴたりと止まった。
今は人間と推理合戦を繰り広げていようとも、自分は無限の時空を生き黄金の力を行使する魔女の中の大魔女ベアトリーチェ。
そのすさまじい魔力を奴隷どもに称賛されることはあれど、ただの玩具風情に阿呆といわれる筋合いはない!
「--なァにがヒィヒィ言わすだァ?
処女みてぇにヒィヒィ泣きながら言うセリフじゃねぇぜぇえええ、聞いてるのか阿呆愚図ウスノロ戦人ァア?」
ノロウェに『下品ですよ、お嬢様』とたしなめられる乱暴な口ぶりを全開にして、ベアトリーチェは先ほどまでアスモデウスが使っていた瀟洒なドレスチェアにどかりと腰を落とした。
同時に優美に足を組むと、ビロウドのドレスとレースのペチコートの折り重なる波間から、つぅいっ、と、魔女の靴があらわになる。
ベアトリーチェの体格にしてはやや華奢な足を覆うのは、顔が映りそうなくらい磨きこまれた漆黒のエナメルの、プラットフォーム・シューズ。
これでよく歩けるというほどの傾斜の高さ、ヒールの細さは針のよう。
くるぶしの折れんばかりの細さも相まって、靴フェチが見たら狂喜して頬を擦り寄せかねぬ、非常にフェティッシュな足先だった。
警戒して身をこわばらす戦人は驚愕した。
腹部を抑える自らの手が急に痙攣し、見えない力にひねりあげられるように後ろ手に回ったのである。魔女の魔法に相違なかった。
「て、てめぇ、ベアト、なにしやがる!」
「はっ。痴れたこと!
ソコが疼いてたまらないかわいそうなお前のため、『ナニ』するに決まってんだろうが」
ベアトリーチェはにやにや笑いを深めると、美しく尖った靴前部分を、戦人の両足の合間へ差し入れた。
かたく張りつめたテント部をやわりと押しつぶされ、戦人の唇から大きな喘ぎとも小さな叫びともつかぬ濁った声が漏れる。
「っ、あ、ベアトリーチェ、ベアト、やめ、ちょっと!」
「止・め・ぬ。妾を阿呆扱いした罪は重い。
それに痛みばかりの拷問続きで、おまえも随分とくたびれていただろ?
人間の肉の睦み合いの作法はとんと知らぬが、ここをいじればお前は心地よく楽になるのであろう?
――だったら、やってやる。
妾が手すがらじきお前の欲情を開放してやるよォオ、妾の目の前でヒィヒィ鳴かせてやるよ戦人ァアア!」
イヤイヤイヤ手すがらじゃねぇだろ、足でヤってんだろテメェ。サウンドノベルなんだから日本語は正しく使えってんだよ!
と声を大にしてツッコミたかった戦人であるが、女王様ならぬ魔女サマの靴で股間をなぞり上げられる快楽に声も出せない。
びくびくと震えながら、喘ぎを噛み殺し噛み殺し、前傾の姿勢をとるほか術がなかった。
「は、無様なモノだな右代宮戦人。
御自慢の推理はおろか、下半身の快楽に翻弄されて声も出ぬか? え?
まったく人間とは滑稽で愚かな俗なる種族よ!」
ひじ掛けに肘を置き、手を顎の下へ添えて。
ベアトリーチェは優雅なしぐさをとりながら、細い声で喘ぎ、わななく戦人の欲望の象徴をなおも強く慰撫する。
細い細いヒール部分で敏感な先端を突くように弄られ、喉の奥からしゃくりあげるような声が出た。
くつくつと鳩のようなベアトリーチェの薄笑いも届かない。耳を聾するのは自らの激しい心臓の鼓動だけ。それが破裂しそうな下半身の鼓動と重なりあう。
女主人の前にひざまずく奴婢の如き恰好を強いられ、男の一番大事な部位を脚先で弄われて嘲笑われる。
倒錯的で屈辱的な状況に、怒りとも興奮ともつかぬ感情が胸の奥から沸き起こる。
敏感になりすぎた部位からあふれだす甘狂おしい疼痛に、戦人はくらくらと目眩がした。
「やめ……ベアトリーチェ、ベアト!
ひ、ひ……っ、やめろ、ヒールで押すな……っあ、ァ、駄目だ、俺の体、なんだかおかしい……っ!
これ以上、弄るな、お願いだから、頼む、おねがいだから、おねがい、っ」
舌足らずな語調で戦人は懇願し、眼前の魔女を仰ぎ見た。
「……ほぉう?」
その面付きに魔女は小さく息をのむ。
いつもは飄々と、推理を突き付けるときは決然とベアトリーチェを見据える戦人の瞳。
彼のアイスブルーの瞳が、こみあげる快楽に焦点を喪って甘くぼやけている。
形良いまなじりにほんのりと涙が光り、頬は高熱を帯びた人の如き薄朱色。
半端に開いた唇が、再び『おねがいだから』と、切れ切れに訴えるのを見とめた時、魔女の心臓は妙な調子に脈打った。
果汁100パーセントのクランベリー・ジュースを干した時のような、甘酸っぱい情感がじわりと胸郭いっぱいに打ち広がったのである。
(む、胸が熱い……!?
こ、この気持ちは一体……何だ……!?
妾は唯この玩具を弄んでいるだけだというにっ、この甘酸っぱいような情感は……
――う、うううっ、なんだと、妾が惑うだと、正体不明の思いに翻弄されて、この大魔女サマが困惑するだとォオオオオ!?
冗談じゃないそんな不条理認めないっ、玩具のせいで、奴隷で玩具の戦人如きのせいで妾がまどうなんてありえてはならないんだよォオオオオオオ!)
異変の正体に思いを巡らせて、ベアトリーチェは激しい怒りにとらわれた。
大量殺戮さえ笑顔で成し遂げるこの黄金の魔女に、戸惑いなどといった甘っちょろい乙女のような情感は似つかわしくない!
「冗談じゃぁなァアアアアアアいっ!
畜生めっ、なんだかよくわからないがこのような汚らわしいことはさっさと終わらすに限る!
――さぁ戦人、いけっ、いっちまえっ!
妾の目の前で妾の脚で×××弄られて無様な醜態さらしちまえってんだよォオオオオっ!」
唇を噛み、暴言をまきちらして、魔女は玩具の股間を根元から先端まで一気になぞり上げる。
「っひっ!?」
性感に爪を立てて裂かれるような強烈な刺激に、目尻にたまった涙が玉となって戦人の頬を伝い落ちた。
貞節を破られた処女の如き裏返った悲鳴を放つと、戦人は前傾姿勢をとることもできぬまま全身を痙攣させて精を放った。ホワイトベージュのパンツスーツの前身ごろが、見る間に暗く色を変える。
「っあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!
イったか!? 妾のハイヒールで弄られて、いっぱいでちまったのかよォ戦人ちゃんよォオオ!」
そのさまを見て、魔女は天井を仰いで大っ笑した。
足の刺激一つで翻弄されて精を放つなど、まったく人間とは無様で滑稽で無力でおぞましく、なんと可愛らしいもの!
こんな非力な格下のイキモノ相手に、魔女が魔力を使う必要すらない。
「うひゃひゃひゃっ、存外、かァわいい声を出して達したなぁ。
うん、なんだ、妾の脚がそんなに良かったかァ? そういやぁ、妾達の世界に招いてずいぶんの時間がたったものなぁ!
お前も人間のオス、たまるもんはたまっていたってぇことかよ、ええ? うひゃ――」
ひゃひゃひゃ、とつなげようとした笑い声は、発する前に途切れた。
肩を落として荒い呼吸を繰り返していた戦人の顔が、急にキッと持ちあがった。
同時に彼は目にもとまらぬ速さで両腕を動かし、油断していたベアトリーチェの膝に縋り付く。
たっぷりとしたドレスの裾を持ち上げようとしたところで、ベアトリーチェは異常に気づいて両足をばたつかせた。
「な!?
なっ、なッ、なにして、ちょっとこらなにしてんだよ戦人ォオオオッ!?」
「うるせぇんだよこのクソ下品な女王様気取りのエロ魔女……
靴だけで我慢できるか、足見せろ足ィ!
どうせ足コキすんだったら足裏か太ももにべったりみっちり擦りつけさせろってんだよそれが王道だろうがゴルァアアアア!!!!」
狼狽した声を発すベアトリーチェの両足をホールドし、戦人はそう力の限りに叫ぶ。
先ほどまで淫らに濡れていたアイスブルーの瞳が完全にすわっていた。焦点の奥には燃え上がる炎すら感じ取れる。
(な、なんだこれ、なんだこの馬鹿力……!?
人間ごときに魔女を抑え込める力なんてあるはずない――魔法の介添えでもないかぎり、あるはず、ない……
――ああっ! も、もしかして、妾が戦人を頑健にしようと生命力を活性化させすぎたあの魔法!
同時に性欲増大したから戦人は身動きが取れなかった。ってことは、射精させたことで性欲のほうはひとまず落ち着いて――
魔女に匹敵するくらい、異様に頑健になっちまったってことかァア!?
ち、ちくしょう、どこのご都合主義の二次創作だよ!
妾はそんなの認めない、この助平野郎をとっとと蹴り倒して奴隷の烙印を押して七姉妹に引き渡した後、直々に八つ裂きに――)
「――むぐぅっ!?」
混乱する頭でそこまで考え、力ある魔術の言葉を口にしようとしたところで、魔女の口内に何かが突っ込まれた。
「おっとっと!
危ねぇ危ねぇ。お得意の魔法を使われちゃ、いくらこの戦人様だってたまらねぇ。
さぁあてぇえ、滅茶苦茶にかわいがってやるからおとなしくしてろよ魔女サマよぉ、ひっひっひ!」
「ん、んんんんんんッ!?」
唇の両極を吊り上げて意地悪く笑い、戦人はベアトリーチェの口の中になおも自らのネクタイを吐き出すのが不可能な位置まで突っ込みつづける。
いつネクタイを解いたのか、魔女の視力にも全く視えない瞬殺の早業だった。
ついでに戦人は素早く背広を脱ぎ棄て、その両腕の部分を利用して、もがく魔女の両腕を後ろ手にした。
余った生地はチェアの背もたれにくくりつける。粗暴な結び方だが、結び目は凝っていて異様に硬い。
縄目の屈辱にベアトリーチェはかぶりを振り、椅子を思いきり軋ませて猛獣のように暴れた。
「おうおう、かわいい恰好じゃねぇかよ、ベアト。
ネクタイなんぞ噛みやがって、いつもの高慢ちきな顔つきが台無しだぜぇ?
――さぁて……先ほどの続きだァ。
御自慢のお御足拝見と行くぜぇ、魔女サマよぉ!」
「んんんんんんんーっ!」
――股間を湿らせたままでよく言うわ、このグズッ!
解き放ちたかった言葉は、ただの聞き取りづらい籠もったうめきにしかなりえない。
戦人は男前に飄然とした笑みを浮かべて、憤慨するベアトリーチェの眼前にひざまずいた。
(妾が好きにされるかよっ、馬ァ鹿!
顎を蹴り砕いてやるよッ、このエロ馬鹿ウスノロ人間風情ッ!)
激怒した魔女は思い切り右脚を閃かせる。
硬いプラットフォームシューズの靴底が、戦人の顎を割り砕く――はず、だった。
「おおっと、危ない危ない――
はっ、役得だな。
いい格好だぜ魔女サマよ、美味しそうな絶景をどうもありがとさん」
戦人がこともなげに掲げた手に、必殺のはずの一撃はあっさりと押さえ込まれた。のみならず、彼は細い足首をがっと掴んで、ベアトリーチェの両足を割り開く。
「んんっ……! んぐぅっ!」
ドレスはおろかペチコートの下までもを、他者に――見下している人間風情に見られる恥辱に、気高き魔女の胸中が激怒で燃え滾った。
「――ヒュゥ♪
これはこれは! 予想以上に美味しそうだな」
激昂する魔女とは裏腹に、戦人は余裕の表情で小さく口笛を吹く。
幾重にも折り重なる豪奢なフリルの波間に隠されていたのは、それほどの美しい絶景だった。
戦人がとらえている、ベアトリーチェの少女のごとき細い足首の先には、まずはうっすらと肉付きを増し、美しい輪郭線が張られた脹脛がある。
まるい膝頭は傷一つなく、日頃どこかにぶつけたりこすったりしていないのだろう、色合いも人間の女のそれのようにくすんでいない。
さらに膝をそこを越して続く腿の白さと来たら! 色白の紗音のメイド服の合間からチラ見えする太ももも健康的でじつに美味しそうだったが、驚くことに、程よくたゆんと脂肪を乗せたベアトリーチェの腿は十代の乙女のものよりも遙かに色素が薄いのだ。
ベアトリーチェの呼吸に連動してゆるく蠕動するその脚、柔らかそうな内腿のあたりなど、青白い静脈がうっすらと透けて見えるほどだ。
「下着は黒か。はっは、レースにリボンが可愛いぜぇ黄金の魔女サマよぉ。
ガーターベルトもついでにつけといてくれよ、あんたみたいな性悪女には娼婦めいた格好がよく似合うぜ」
唾をのみたいのをすんでのところで堪え、さっきのお返しとばかりに口をきわめて嘲笑しつつ、戦人はベアトリーチェのスカートの下をつくづくと観察する。
ペチコート・フリルの襞をかき分けた先、魅惑的な腿の次には当然両足の付け根があり、下腹の陰部は小さな漆黒の下着で覆われていた。
レース使いも精緻なGストリングは非常にコケティッシュで戦人の好むところである。側面は両方とも紐状で、正面に小さなリボンがついているのが予想外に可愛らしかった。
「んー! んふぅっ、んんんー!」
「おいこら暴れるなよ魔女サマよ。
こんなに高そうな椅子が折れたらどうするんだ!
……ま、あんたならこっちの家具も魔法で直せるんだろうけどよ」
秘密の下着までしっかりばっちり目撃され、ベアトリーチェは顔から湯気がほとばしらん勢いでうめき声をあげた。
戦人は見当はずれの言葉を返して、それからおもむろに自らのズボンのジッパーを引き下ろした。
響き渡る金属音。それを聞いて、ようやく魔女は気づいた。戦人がナニをしようとしているか。
スカートの下をつくづくと覗き込み、普段高圧的な女をがっちり捕縛し抑え込んで、人の男が次にとる行動は、といえば――ひとつっきゃない。
「んん!? んんんん!」
ベアトリーチェは盛大に瞬きを繰り返し、瞳を白黒とさせてぶんぶんと全身をゆすぶった。拘束はゆるまず、椅子が魔女に負けじと軋んだ悲鳴を上げまくる。
「っあーもー、本当に暴れるなよ……
あんたのお綺麗な腿にこすりつけてこの暴れん坊を何とかしてやろうと思ってんだ。
そうだなあ、ベアトが大暴れしたら、弾みでそのかわいい下着ひん剥いちまうかもしれねぇぜぇえ?
そのあとはどうなるかわかってんだろうなァ、血まみれの惨劇より怖いことが起きちまうぜ、いっひっひ!」
口辺をサディスティックに歪め、玩具でしかなかったはずの男は絶対者の雄の表情をむき出しにして笑う。
対する無敵無敗の魔女は、さながら生贄の祭壇にくくりつけられた可憐な処女の如く、コバルトブルーの瞳を恐怖に揺らめかせたのだった――
to be continue……?
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