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名前を呼んで」(2010/07/30 (金) 20:23:34) の最新版変更点

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嘉音×朱志香と見せかけた何かです。 ---- 「ふぁ……あ、ん……かのん、くん……」 桃色に潤った口唇から、泣いているような声が漏れる。 「かの、ん、くん……すき……」 否、彼女は泣いていた。 それは、恥ずかしさからくる涙なのか嬉しさからくる涙なのか。 彼女はひたすらこちらの顔を見つめて名前を呼ぶ。 その度に、胸が、締め付けられた。 あなたが、すきです。 そのたった一言が、ひどく重い。 いつものように奥様から叱咤され、一時間経ってようやく解放された。 叫べば頭痛が酷くなりますよ、と言ったことがあるのだが、 余計怒りを買ってしまったので二度と言わない。 奥様の部屋を出て、廊下を歩いていると声をかけられた。 「お、おはよう」 この館のお嬢様、朱志香様だ。 「嘉音くん、今日出勤だったんだね」 手を後ろに組み、もじもじとこちらに寄ってくる。 目を合わせるのは恥ずかしいのか、視線は別の所を泳いでいた。 普段は活発的な彼女が、この時だけは急にしおらしくなる。 それが、たまらなく愛しい。 「お嬢様、何か御用ですか?」 「あっ……」 他愛もない受け答えをしただけなのに、彼女の顔はより赤くなった。 だめだ、顔がにやけてしまう。 「特に、用事はないんだけど……話し相手になってほしいな、って…… 嘉音くんが忙しいなら、いいんだ、うん」 「本来なら次の仕事があるのですが……」 彼女の顔が暗く陰る。 「家具として、お嬢様の頼み事を断る訳にはいきませんね」 「いいの?」 さっきまで暗かった顔が、一瞬にして明るくなる。 ああ、なんて見ていて飽きないんだろう。 「じゃ、じゃあ、私の部屋、来てくれていいかな」 そう言って手を引き、そそくさと彼女は自室へ駈け出した。 「椅子でもベッドでもさ、好きな所座ってよ! あんまりかしこまらないでさ、くつろいでほしいな!」 そう言う彼女の方ががちがちである。 彼女がベッドに腰かけたので、向い合う形で椅子に座った。 「それでお嬢様、何の話をいたしましょう?」 「あ、えっと……」 急に言葉に詰まる。本当に何を話そうか考えてなかったんだろう。 ただ一緒にいたくて、呼びとめてくれたんだろうか。 「お嬢様、ひとつお聞きしていいですか?」 「あ、うん」 「お嬢様は、僕の事が好きですか?」 「…………………………っ!!」 大きな目が見開かれ、声なき声が漏れる。 ぱくぱくと人形のように口を動かしては、目を白黒させてこちらを見る。 「あ、あの、その、わ、私は……」 必死に言葉を探しているようだがうまくいかない。 そのうち大きな目に涙がたまってきた。 「め、迷惑だよね、私、女の子らしくないし可愛くないしガサツだし、 母さんにも愛想尽かされてるだろうし…… 嘉音くんはここに働きにきてるのにさ、好きです、だなんておかしいよね……」 「朱志香様」 赤くなった彼女の頬に手を伸ばす。 ふんわりした金色の髪が手の甲に触れて、くすぐったかった。 「え……」 呆然としている彼女に、口唇を重ねる。 想像以上に柔らかくて、温かくて、滑らかで、どきりとした。 「………………」 口唇を離せば、彼女は完全に固まっていた。 話しかけるだけでいっぱいいっぱいなのだ、キス一つでフリーズされるのも無理はない。 「朱志香様、聞いてください」 彼女が少しずつ我を取り戻していったのを確認し、ゆっくりと告げる。 「僕も、朱志香様が、好きです。」 「ほんと………?」 「本当です」 「………………うっ」 彼女の眼に溢れていた涙がぼろぼろと落ちてくる。 もう一度引き寄せて、キスをする。 そのまま押し倒す形で、彼女の上に重なった。 また驚かれるだろうか、と思って彼女の顔を覗き込むと、 とても穏やかな顔で微笑んでいた。 「嘉音くん、きて」 シャツのボタンを外せば、豊かな乳房が顔を出した。 自分を女らしくないと評する割には、上品な下着を身につけている。 両の手を下着の中に忍ばせ、ゆっくり愛ではじめるとすぐさま彼女は甘い声をあげた。 「ん……ふぅ……んんっ……」 「嫌だったら言って下さいね」 「イヤな訳、ないよ……あんっ、……ぁあ……」 片手には到底収まりきらない乳房は、手の中で形を変えてゆく。 指先で頂を弾く。 「ひゃうんっ……か、嘉音くん、恥ずかしいよ……」 触れた手にも、急かし立てるような心臓の鼓動がわかる。 白く美しい肌は、熱で淡い桜色に染まっていた。 ひときわ濃いピンクをした、その頂に舌を這わせる。 「やぁっ……ひっ、……かのん、くん……」 しきりに彼女は嘉音くん、嘉音くんと名前を呼ぶ。 それに応えるようにして、彼女への愛撫を激しくする。 十分にとろけきった彼女の様子から見て頃合だろう。 閉じられた太股の内側へ、指を伸ばした。 「あっ……まだ、そこは……」 「見せて下さい、朱志香様の、ここ」 「ひぁあっ!?」 下着越しに指でつつき、くぼみをそっとなぞる。 布一枚隔てているのに、肉壁は指に吸いつこうという動きを見せた。 折角の上品な下着も、彼女自身によって大きな染みを作ってしまっている。 下着を膝の上まで下ろし、露わになったその場所に口づける。 「や、やだぁ、そんな所、汚い、よぉ……」 とろとろになったそこに指を入れ、わざと音がするようにかきまぜる。 「あ……はぁっ、んん……」 音に酔わされたのか、彼女の声が一層艶を帯びてくる。 「……かのんくん、かのん、くん……」 彼女の中の指も、一本から二本、二本から三本と数がどんどん増えてゆく。 じゅぶじゅぶ音を立てながら指を吸い込んで、恍惚とした顔で彼女は言った。 「嘉音くんの、欲しい……」 「………どうしたの?」 言葉を失った。それまで気づかないふりをしていた罪悪感が、一気に押し寄せる。 「ぼ、僕は、家具ですから、そこまでは……」 「家具とか、んんっ、関係ないよ……嘉音くんは、イヤなの?」 「違います!」 そう、嫌な訳がない。 ずっと彼女のことを好きだったんだ。 「なら、どうして……」 彼女の言葉が途切れた。 「…………まさか、紗音ちゃん……、なのか?」 「ッッッッ!!!」 全身から血の気が失せた。 目の前が真っ暗になる。 どうしようどうしようどうしようどうしよう。 「どうして、こんなこと……」 彼女の声が暗くなる。 こんなはずじゃなかった。 「私を、騙したんだな……」 彼女の声が震える。涙声になる。今度は喜びからの涙なんかじゃない。決してない。 「違います、朱志香様!僕……私は、朱志香様のことが……」 ぱしん、と頬を叩かれる。 今まで粗相をして奥様に叩かれたことは何度もあった。 それなのに、この一撃は今までのどの叱咤よりも痛い。 奥様によく似た、冷たい目で彼女は私を見降ろし告げた。 「汚らわしい。二度と私に近づくな」 あなたが、すきです。 二度と伝えられることはなく。 =終= ---- ※この文章は、紗音・嘉音同一人物説、入れ替わり説を基にしています。
嘉音×朱志香と見せかけた何かです。 ---- 「ふぁ……あ、ん……かのん、くん……」 桃色に潤った口唇から、泣いているような声が漏れる。 「かの、ん、くん……すき……」 否、彼女は泣いていた。 それは、恥ずかしさからくる涙なのか嬉しさからくる涙なのか。 彼女はひたすらこちらの顔を見つめて名前を呼ぶ。 その度に、胸が、締め付けられた。 あなたが、すきです。 そのたった一言が、ひどく重い。 いつものように奥様から叱咤され、一時間経ってようやく解放された。 叫べば頭痛が酷くなりますよ、と言ったことがあるのだが、 余計怒りを買ってしまったので二度と言わない。 奥様の部屋を出て、廊下を歩いていると声をかけられた。 「お、おはよう」 この館のお嬢様、朱志香様だ。 「嘉音くん、今日出勤だったんだね」 手を後ろに組み、もじもじとこちらに寄ってくる。 目を合わせるのは恥ずかしいのか、視線は別の所を泳いでいた。 普段は活発的な彼女が、この時だけは急にしおらしくなる。 それが、たまらなく愛しい。 「お嬢様、何か御用ですか?」 「あっ……」 他愛もない受け答えをしただけなのに、彼女の顔はより赤くなった。 だめだ、顔がにやけてしまう。 「特に、用事はないんだけど……話し相手になってほしいな、って…… 嘉音くんが忙しいなら、いいんだ、うん」 「本来なら次の仕事があるのですが……」 彼女の顔が暗く陰る。 「家具として、お嬢様の頼み事を断る訳にはいきませんね」 「いいの?」 さっきまで暗かった顔が、一瞬にして明るくなる。 ああ、なんて見ていて飽きないんだろう。 「じゃ、じゃあ、私の部屋、来てくれていいかな」 そう言って手を引き、そそくさと彼女は自室へ駈け出した。 「椅子でもベッドでもさ、好きな所座ってよ! あんまりかしこまらないでさ、くつろいでほしいな!」 そう言う彼女の方ががちがちである。 彼女がベッドに腰かけたので、向い合う形で椅子に座った。 「それでお嬢様、何の話をいたしましょう?」 「あ、えっと……」 急に言葉に詰まる。本当に何を話そうか考えてなかったんだろう。 ただ一緒にいたくて、呼びとめてくれたんだろうか。 「お嬢様、ひとつお聞きしていいですか?」 「あ、うん」 「お嬢様は、僕の事が好きですか?」 「…………………………っ!!」 大きな目が見開かれ、声なき声が漏れる。 ぱくぱくと人形のように口を動かしては、目を白黒させてこちらを見る。 「あ、あの、その、わ、私は……」 必死に言葉を探しているようだがうまくいかない。 そのうち大きな目に涙がたまってきた。 「め、迷惑だよね、私、女の子らしくないし可愛くないしガサツだし、 母さんにも愛想尽かされてるだろうし…… 嘉音くんはここに働きにきてるのにさ、好きです、だなんておかしいよね……」 「朱志香様」 赤くなった彼女の頬に手を伸ばす。 ふんわりした金色の髪が手の甲に触れて、くすぐったかった。 「え……」 呆然としている彼女に、口唇を重ねる。 想像以上に柔らかくて、温かくて、滑らかで、どきりとした。 「………………」 口唇を離せば、彼女は完全に固まっていた。 話しかけるだけでいっぱいいっぱいなのだ、キス一つでフリーズされるのも無理はない。 「朱志香様、聞いてください」 彼女が少しずつ我を取り戻していったのを確認し、ゆっくりと告げる。 「僕も、朱志香様が、好きです。」 「ほんと………?」 「本当です」 「………………うっ」 彼女の眼に溢れていた涙がぼろぼろと落ちてくる。 もう一度引き寄せて、キスをする。 そのまま押し倒す形で、彼女の上に重なった。 また驚かれるだろうか、と思って彼女の顔を覗き込むと、 とても穏やかな顔で微笑んでいた。 「嘉音くん、きて」 シャツのボタンを外せば、豊かな乳房が顔を出した。 自分を女らしくないと評する割には、上品な下着を身につけている。 両の手を下着の中に忍ばせ、ゆっくり愛ではじめるとすぐさま彼女は甘い声をあげた。 「ん……ふぅ……んんっ……」 「嫌だったら言って下さいね」 「イヤな訳、ないよ……あんっ、……ぁあ……」 片手には到底収まりきらない乳房は、手の中で形を変えてゆく。 指先で頂を弾く。 「ひゃうんっ……か、嘉音くん、恥ずかしいよ……」 触れた手にも、急かし立てるような心臓の鼓動がわかる。 白く美しい肌は、熱で淡い桜色に染まっていた。 ひときわ濃いピンクをした、その頂に舌を這わせる。 「やぁっ……ひっ、……かのん、くん……」 しきりに彼女は嘉音くん、嘉音くんと名前を呼ぶ。 それに応えるようにして、彼女への愛撫を激しくする。 十分にとろけきった彼女の様子から見て頃合だろう。 閉じられた太股の内側へ、指を伸ばした。 「あっ……まだ、そこは……」 「見せて下さい、朱志香様の、ここ」 「ひぁあっ!?」 下着越しに指でつつき、くぼみをそっとなぞる。 布一枚隔てているのに、肉壁は指に吸いつこうという動きを見せた。 折角の上品な下着も、彼女自身によって大きな染みを作ってしまっている。 下着を膝の上まで下ろし、露わになったその場所に口づける。 「や、やだぁ、そんな所、汚い、よぉ……」 とろとろになったそこに指を入れ、わざと音がするようにかきまぜる。 「あ……はぁっ、んん……」 音に酔わされたのか、彼女の声が一層艶を帯びてくる。 「……かのんくん、かのん、くん……」 彼女の中の指も、一本から二本、二本から三本と数がどんどん増えてゆく。 じゅぶじゅぶ音を立てながら指を吸い込んで、恍惚とした顔で彼女は言った。 「嘉音くんの、欲しい……」 「………どうしたの?」 言葉を失った。それまで気づかないふりをしていた罪悪感が、一気に押し寄せる。 「ぼ、僕は、家具ですから、そこまでは……」 「家具とか、んんっ、関係ないよ……嘉音くんは、イヤなの?」 「違います!」 そう、嫌な訳がない。 ずっと彼女のことを好きだったんだ。 「なら、どうして……」 彼女の言葉が途切れた。 「…………まさか、紗音ちゃん……、なのか?」 「ッッッッ!!!」 全身から血の気が失せた。 目の前が真っ暗になる。 どうしようどうしようどうしようどうしよう。 「どうして、こんなこと……」 彼女の声が暗くなる。 こんなはずじゃなかった。 「私を、騙したんだな……」 彼女の声が震える。涙声になる。今度は喜びからの涙なんかじゃない。決してない。 「違います、朱志香様!僕……私は、朱志香様のことが……」 ぱしん、と頬を叩かれる。 今まで粗相をして奥様に叩かれたことは何度もあった。 それなのに、この一撃は今までのどの叱咤よりも痛い。 奥様によく似た、冷たい目で彼女は私を見降ろし告げた。 「汚らわしい。二度と私に近づくな」 あなたが、すきです。 二度と伝えられることはなく。 =終= ---- ※この文章は、紗音・嘉音同一人物説、入れ替わり説を基にしています。 ---- #comment_num2 ----

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