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愛しの我が主」(2023/06/10 (土) 06:19:24) の最新版変更点

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注意:前半百合 後半ギャグです。 ---- 「ヱリカ。 …………そこにひざまずきなさい」 我が主の妖艶なお声が聞こえてきます。 私は言われたとおり真っ赤な絨毯が敷いてあるそこに両膝をつけていきました。 胸元ではまるでマリアに祈りをささげるかのように両手を組みます。 キリシタンではないですが、今この場ではそうするのが礼儀だと思えたからです。 ここは魔女の継承を行うべく作られた空間。 様々な装飾が成されたそこはどことなく礼拝堂を思わせました。 神の信託を受けるという意味でなら、それは私にとっては間違いなくそのとおりだと思います。 いつもならば我が主の『ひざまづけ』という御言葉はお叱りの合図。 私はこの言葉をささやかれただけできっと、背筋も凍るほどの恐怖を味わっていたことでしょう……。 けれども今日はちがいます。 今回はちがうのですよ、皆様方。 私はついに神となるのです。 あの忌々しい戦人とベアトに勝利し、我が主に認められる日が訪れたのです……。 「古戸ヱリカ。 ……いや、もうこんな軽々しく呼んではいけないわね。真実の魔女、ヱリカ」 「はい、我が主!」 「あなたにこの『真実』の称号を授けるわ。 私やラムダの奇跡、絶対にも勝るとも劣らない魔女の称号をね。 ……おめでとう」 「ああ……あ、ありがとうございます、我が主! このヱリカ、身に余る光栄でございます!」 我が主のありがたい御言葉に、私は胸の中に溢れんばかりの幸せを堪能していきます……。 ずっと願ってやまなかった主のその御言葉。 それを今私は幻想や夢ではなく、間違いなく現実のものとして受け止めているのですから……。 おもえばそれは苦節に満ちた日々でした。 ゲーム開始毎にかならず海へと投げ出される私は、主の御力でかならず生き残れるとはいえ、嵐の海を長時間漂うことになるのは変わりません。 口の中を塩辛い海水が埋め、それがやがて肺にまで達し――それでも死ねずにもがき苦しむ。 そしてようやくあの六軒島へと辿り着くのです。 それはまさしく、死んだほうがマシなほどの地獄の航海です。 けれどもそんな日々ももうお終いです。 なぜなら私はこうしてあの二人のゲームに勝利し、我が主から最大の褒美と賛辞を頂けたのですから……。 「ほんとによくやったわ、ヱリカ。 ふふ、可愛い子……」 満足そうな微笑を浮かべながら、我が主はひざまづいている私の頭をナデナデと撫でてくれます。 普段は手を触れてくれることすらないというのに、こんなにも勝利という結果はヒトを高みへと誘ってくれるものなのでしょうか。 私は主に見えないことをいいことに、顔を真っ赤にしながらその髪をくすぐられる心地よさを存分に堪能していくのです。 「ああ……でも、これだけではちょっと足らない気がするわね。 魔女の称号以外にも何か褒美をあげられればいいのだけど……」 「……………!?」 おもわず身体がピクリと反応します。 声には出しませんでしたが、我が主のその御言葉に私は内心ドキリとしたのです。 たしかにこうして真実の魔女の称号を頂けることは、私としてもとても誉れ高いことです。 不満などあろうはずがありません。 けれどもそれ以上にもっと欲しいものがあると語ってしまったのなら、それは贅沢が過ぎる大罪なのでしょうか……。 「そうね……何がいいかしら。 この六軒島の永久支配? ああ、この子の場合は世の中の未解決事件への介入権利なんかもよさそう……」 我が主は塾考なされているようです。 私などの褒美のためにここまで頭を悩ませていただけるなんて、従者としてなんという誉れでしょう。 けれども我が主が口になされるそれらはたしかに探偵の私には魅力的なものばかりでしたが、私が本当に欲しいものとはまるで毛並みが違うものだったのです。 それもそのはずです。 なぜなら私が望んでいる褒美というのは、女性同士では抱いてはいけない欲求だったのですから……。 「……まあ、聞いたほうが早そうね。 ヱリカ、なんでもいいわよ。 あなたが欲しいものをいってみなさい……?」 我が主は一通り思案を終えると、私に声をかけてくださいました。 その御顔にはまるで愛する娘を見るような慈愛が感じられます。 ああ、ここまで清くお美しい我が主に、私はなんてはしたない欲求を持ってしまったのでしょうか……。 「そ、その……ええと……」 「…………どうしたの? 遠慮なんてしなくていいわ。 ほら、言ってみなさい……?」 本当はありませんと即答したかったのです。 けれども我が主の誘惑なる追求を受け、私は深い思考の迷宮に囚われてしまったのです。 ご褒美を何にするかに悩んでいるのではありません。 それを言うべきか言わざるべきかに悩んでしまうのだから、これほどもどかしいことはありません。 例えばもしそれを口に出してしまったなら、我が主は一体どのようなお顔をなされるのでしょうか? 今、我が主はとても穏やかな顔をなさってくれています。 私がゲームに勝利したせいかとてもご機嫌で、まるで天使のような笑顔を向けてくださっています。 けれどももし、私がこの望みを口に出してしまったのなら……。 これが一転、悪魔のような不機嫌な顔に豹変してしまう可能性も拭いきれないのです。 それほど私のその望みは薄汚く、自分勝手な醜い欲の塊なのですから……。 ですから私は少し――ほんの少しだけその淡い望みに想いを馳せると、我が主のありがたい質問にこうつぶやいていくのでした。 「……他の褒美などいりません、我が主。 私、古戸ヱリカは主のお側にいられるだけで幸せです。 お心遣いありがとうございます……」 「………………」 顔を見られずに助かりました。 今の私はきっと未練がましい顔をしているでしょうから……。 でもこれでいい。 これでいいんです。 元より叶わぬ恋なのですから。 それに今の言葉もけっして嘘ではありません。 私は本当に心の底から我が主のお側にいられるだけで幸せなのです。 たしかに未練が無いと言えば嘘になりますが……これは嘘ではなく我慢です。 真実の魔女として嘘のつけない私はそう自分の心に折り合いを付けていくと、今後も我が主に永遠の忠誠を誓うことを心に決めていきました。 この古戸ヱリカにとって、それこそが最大の褒美といえるでしょう……。 「…………ヱリカ。 顔を上げなさい」 「……はい」 私の中で永遠となった主にそう命じられると、私は伏せていた顔をスッと上げていきました。 背の小さな我が主は、ちょうどひざまずいた私と顔が同じ位置に来ます。 すると目の前からグググっとそれが迫ってきて……。 「…………んっ!?」 ……チュプッ。 それは擬音ではなく、本当にそう耳に聞こえてきました。 突然、私のクチビルに小さな膨らみが押し付けられていたのです。 まるでこの世の物とは思えない柔らかい感触に、クチビルがとろけそうになります。 (え…………?) 初めは何が起こったのかわかりませんでした。  私のその時の瞳は、まさに魔法を目撃したかのように大きく見開かれていたことでしょう。 けれども目の前にある我が主の端正な御顔、そして綺麗な青髪から漂ってくる甘くも淫らな香りに――すぐそれを理解します。 私は口づけをされていたのです。  憧れでもあり愛おしい存在であった我が主に、このクチビルを奪われていたのです……。 「んんっ!? わ、わがあるじぃ、ん、んんっ!」 私はおもわず我が主の身体を突き放そうとしていました。 もちろん、それは拒絶からではありません。 あまりに身に余る行為。 頭の中で処理できない突然の出来事。 そして何よりも私などの下俗なクチビルで、我が主の純真な唇を汚してしまうことが躊躇われたからです。 けれども次の瞬間、抵抗しようとしたその腕がガシっと掴まれます。 「ダメ。 動かないで……動くな」 「ふ、ふぅぅぅ……」 絡み合ったクチビルごしにされる命令。 ……私はすぐに動けなくなりました。 いえ、それは命令だからだけではありません。 私自身が望んでいたことだからこそ、身体がそれを受け入れ始めた証でした。 私はまだ自分の身体がかすかに震えているのを感じてましたが、そこからは抵抗など止めクチビルを我が主の為すがままにさせていきました。 「ん、んん……ぁぁ我が主……」 「……そう、そうしてジっとしてるの。 そうすれば天国に連れて行ってあげるわ……クスクス」 私の抵抗が止むのを確認すると、我が主はそこで初めて『始める』つもりのようでした。 両膝を付いたまま腕をダランと垂らしている私。 その背中にシュルリと手を回してくると、けっして逃がさないよう鎖を巻くように両腕で抱きしめてくるのです。 けれどもそんなことをせずとも私は逃げられるわけがありません。 すでに私はクチビルに一つ、絶対に抜けられない真っ赤な楔を突き刺されているのですから……。 「舌……出しなさい。 ほら……」 「ん……ふぁ、ふぁい……」 クチビルを捕らえたままの我が主の命令――それに私は呆けた頭で返事をするのが精一杯でした。 ただでさえこの押し付けられた柔らかい膨らみだけで頭がおかしくなりそうだというのに、このうえ舌など差し出してしまったら一体どうなってしまうのでしょうか……。 私は危険な誘惑に身を委ねてしまいたい衝動にあっさりと負けていくと、言われたとおり自らの舌を前に差し出していきます。 「こ、こうれふ、か……」 「……そう。 もっと、もっと出して。 ほら、もう少し頑張りなさい……?」 「あ、あい……」 実際にしてみるとわかります。 思いのほかキスをされた状態で舌を伸ばすという行為は難しかったのです。 けれども我が主に導かれるようにそれをヌラリと伸ばしていくと、突然チュポリと舌先が咥え込まれました。 「ひゃぁっ!? そ、そんな……わがあるじぃ……」 つい悲鳴をあげてしまいました。 だってそれは、文字通り飲み込まれたのですから。 我が主は私の舌をクチビルで咥え込むと、まるで吸うかのようにちゅうちゅう音をたてながらそれを食べ始めたのです。 チュポチュポ……チュウゥゥゥッッッ。 「ひあっ!?……ら、らめ、こんなの、らめれす……ぁぁぁ」 「……ふふ。 この私が、普通のキスで満足すると思う……?」 ……いかにも退屈を愛さない我が主らしい御言葉だなと思いました。 その間も私の舌は本当に食べられてしまうんではないというほどに激しく吸われ、弄ばれていきます。 お互いの口の中からは分泌された唾液がピチャピチャと音を立て始め、このキスのいやらしさを更に助長していきました。 そしてこの時にはもう、私の頭の中は自分が魔女になったという事実すらどうでもよくなり、ただこの淫らなご褒美をもらうだけの快楽主義者に成り果てていたのです……。 ピチャピチャ……クチュクチャ……。 「ふあ……あぁ……あぁぁぁ」 「…………きもちいい? とっても素敵な顔をしてるわよ、ヱリカ。 とっても淫らでいやらしくてスケベな顔、クスクス」 「も、もうひわけありま、ふぇん……んうぅぅぅぅ」 自分ではわかりませんが、我が主の言うとおり。 今の私はきっと女としてはひどくふしだらな顔になっていることでしょう。 ただキスをされているだけ。 ただ我が主にディープキスをされているというだけで、私はこの程度に顔をとろけさせることが可能なのです。 ああ、如何でしょうか皆様方……。 我が主も大変ご満悦のようです。 私のような女性の主に欲情する牝に望みどおり褒美をやる優越感に、瞳からサディスティックな光が宿っているように思えました。 ああ、これではどちらが褒美をもらえているのやら……。 …………チュパッ。 「え…………?」 永遠に続いて欲しいとさえ感じていた舌先愛撫が、突然、止みます。 すると私のクチビルがチュパッと開放されていきました。 あまりにお互いの唾液を交換しすぎたせいか、離れる際、私と我が主のクチビル間に透明な液体がツツツッと架け橋のようにかかったのがまた名残惜しさを感じさせます。 「ああ……そんな、我が主……ど、どうして……?」 心情だけでなく、私はおもわず我が主を非難するような瞳で訴えかけてしまいます。 このままでは蛇の生殺しです。 たしかに激しい舌絡愛撫を頂きましたが、それだけでいままでガマンしていた私の身体が満足するはずもなかったのです。 それどころか身体中の至る所はすでに火照りきり、胸元は淫らな自己主張を始めています。  そしてドレススカートの中はすでに熱さを伴っていて、我が主の指先を求めてさえいるのです……。 「わ、わがあるじ……ああ、は、はやくくださいぃぃ……」 「……そんな物欲しそうな顔しないの。 ここじゃ最後までできないでしょう? 私の寝室に行きましょう。 そこでたっぷりシテあげるわ……」 「ああ……はいぃぃ」 このまま放置されてしまうのではないかという不安が頭を過ぎった時、我が主は最高の御言葉をくださいました。 最後、という単語が私の身体を一層ゾクゾクさせていきます。 私は差し出された手を取っていくと、そのまま為すがままに我が主の後を付いて行きました。 ……どこをどう歩いたかなど憶えてないです。 今の私はもう、我が主にいやらしく愛してもらうことしか頭になかったのですから……。 「……ほら、ここよ。 入りなさい」 そうして私は我が主の寝室へと案内されていきました。 それは無数にあるカケラの狭間にある世界。 ラムダデルタ卿との密会に使われている部屋のようで、中に入るだけで何か香水のような妖しい香りが漂っているのがわかりました。 部屋の照明は基本薄暗く、ランプの灯りだけで彩られた部屋はまるで『そういった目的』のために用意された部屋のように思われました。 「ここが我が主の御部屋なんですね……ひゃっ!?」 初めてお目通りを許されたお部屋に感動していると、私はいきなりベッドに押し倒されました。 極上の羽毛が使われているそれは私の身体を深く沈みこませていきます。 軽く悲鳴をあげながら目を開けていくと、そこには私の身体にのしかかる我が主のお顔がありました。 「あ……い、いやです。 シャワーを浴びさせてください……」 「ダメよ。 石鹸くさい身体を抱いてもつまらないでしょう? ヱリカのにおいも私がもらうの……」 ……やはり我が主はイジワルです。 そう思った矢先、私の首筋に舌が這わせられます。 「ああ……あんッ!」 それだけでビクンビクンと身体が反応してしまいます。 自分がここまで感じやすい身体をしていたなんて、自分でも驚くほどでした。 そのままツーッと舌が首筋を撫でていくと、下半身にいきなり指が這わせられました。 「……もう濡れてるのね。 とんだメスブタだわ、クスクスクス」 ドレススカートの中に我が主の指が入り込んでいました。 それが下着の上から秘裂に這わせられていたのです。 それどころか指先がその上を這い回るたび、クチュクチュ…と音が鳴り響いてさえいました。 「……なぁに、このいやらしい音は。 ヱリカ、あなたは魔女になったばかりだというのにこんなに身体を発情させていたの?」 「も、もうしわけありません、我が主……でも」 「でもではないわ。 これは真実の魔女ではなく、淫乱の魔女にでも改名したほうがいいかしら? クスクスクス」 ……我が主がお望みなら、それも悪くないとさえ思えました。 そしてそう小悪魔な笑みを浮かべると、我が主は更に私の秘裂を愛撫していくのです。 指先一つでここまで心と身体を弄ばれるなんて、私はもう我が主無しでは生きていけなくなってしまっているようです……。 「はぁ、はぁ……あ、あ、あ!」 「いい声で鳴くのね。 そんなにきもちいいの? 私の指が……」 「は、はいきもちいいです。 下着の上から弄られるだけで、エ、ヱリカはもう……」 「そう。 じゃあ直接触ってあげる。 どうせこんなビチャビチャにしてるんじゃ下着の意味がないしね……」 我が主はとても女性とは思えない目つきで発情した私を見ていきます。 それはまるで私をヒトでは魔女でもなく、性の玩具か何かにでもしているようなものに感じられました。 スカートの中で我が主の手が器用に動いていくと、私の役に立たなくなった下着がシュルリと脱がされていきます。 そしてそのいやらしく濡れそぼった入り口にいきなり指が……中指がズブリ!と突き入れられてきたのです。 「ひぃあッ!? そ、そんないきな、り……!」 「……優しくされると思った? もうこんな濡らしてる時点であんたはヒトではないの。 私に遊ばれる家具になってるのよ、クスクス……」 我が主の突き立てられた指がそのままジュポリジュポリとピストンされていきます。 まるで男性器を入れられているような快感が私の身体を駆け巡ります。 私は我が主の言葉にショックは受けませんでした。 なぜなら私は、その御言葉こそ私がずっとずっと望んでいたことだった気がしたからです。 恋人なんておこがましい。 メス家具でもいいのです。 主に飼っていただくことこそが、この古戸ヱリカの真の望みだと思えたのです。 ジュプジュプジュプ……。 「あん、あ、あ、あ! あ、そ、そんなに動かしたら、もうダメ、ダメで、す……」 「……イキそう? あんたのここ、指一本でキツキツなのね。 これから毎日毎晩犯してすぐガバガバにしてあげるわ、クスクス……」 「は、はい、してください我が主ぃ……ん、んんぅぅぅ!!!」 してもらいたい。 この身体も心も子宮も膣も、全てを我が主のモノにしてもらいたい……。 私はおもわず甘えたい衝動に駆られキスをねだると、望みどおり我が主のクチビルが重ねられました。 今度は私から舌先を伸ばすと、それがまたちゅうちゅうと吸われていき……。 「んん、ん……す、好きです我が主。 愛しています……」 「……あんたの口から愛だなんて言葉が出てくるなんてね。 ただの肉欲でしょう、こんなの」 「はい、はい、ただの肉です……。 ヱリカはただの肉奴隷ですそれでもいいんですぅぅぅ……」 ……ついに自分から奴隷宣言をしてしまいました。 愛でなくてもいいんです。 むしろそのほうが私は安心できるのです。 我が主の指先は膣内で更に蠢いていき、中でクイッと指が内側へと曲げられました。 一番敏感な部分を撫でられた瞬間、私はビクンビクンと身体を震わせて絶頂に達してしまいました……。 「……んぐッ!? ん、んんんんんん……!!!」 私は悲鳴をあげて絶頂に達した……達するつもりでした。 けれどもその瞬間、我が主の手が口を塞ぎそれを制されたのです。 結果身体だけが海老のように仰け反っていき、私はただうめき声をあげながら達する人形にされていきました。 「ふぐッ! ん、ん、ん! んぐぅぅぅぅッ!!!」 「ああ……いいわヱリカ、その表情。 叫びたい? 鳴きたいでしょう? 苦しがるその顔、たまらないわ……」 ……苦しかったです。 そしてもどかしかったです。 息もできないほど強くかぶされた手のひらに私は窒息しそうになりました。 けれどもそれが我が主の望みならと、私は苦悶と快楽の織り交ぜられた表情を見せ付けながら達していくのでした……。 ---- 「んんん……く、苦しい。 わがあるじ、そ、それはちょっとアブノーマルすぎますぅぅぅ……」 「…………あんた、聞いてるの?」 ――我が主の声で目が覚めていく。 気づくとそこは魔女の密会ルーム。 あいかわらず薄暗くてシケタ部屋でした。 徐々に意識が覚醒していきます……どうやら私は寝てしまっていたようですね。 ああ、できればもう二度と目覚めたくなかったです……。 するとふと鼻のあたりに生暖かい違和感を感じました。 ……大量の鼻血が私の口元を汚していたのです。 「ひゃ、ひゃいっ! 聞いております、我が主!」 私は慌てて鼻血をドレスの裾でゴシゴシと拭うと、誤魔化すためにうんうんうんと何度も頷き返します。 目の前には我が主が存在していて、私を見下すように立っていたからです。 ああ、あいかわらずなんて端正で美しいお顔立ちでしょう。 やっぱり現実のほうが全然イイですね、ジュルリ……。 「お、お話を中断してしまい申し訳ありません、我が主! お、お気にせず続きをどうぞ!」 「…………あんたまさか、寝てたの。 私の話、ちゃんと聞いてた?」 「も、もちろん聞いておりましたとも。 ヱリカは寝てません! ノースリープ、ヱリカ」 「そう、じゃあ言ってみなさい。 今私がなんて言ってたのか復唱してみなさいよ。 はい、どうぞ」 「ほう…………」 …………まずいです。 今さら寝てました、なんて言えるわけねー雰囲気です。 我が主が何を言っていたかなど、私はまったく記憶にございません。 これはちょっと推理が必要ですね。 まずは捜査の基本から。 私はまず自分の置かれている状況を確認していくことにしました。 さきほど言ったとおり、辺りはいつもの薄暗い魔女の御部屋。 いわゆるゲーム後の『反省部屋』でした。 イスが多数円形上に並べられたこの部屋は魔女達のお茶会にも使われることもあるそうです。 こんな暗~い部屋で毎日お茶なんて飲んでるから、我が主もあんなレイプ目になってしまったというわけですね。 かわいそう……。 部屋には私と我が主の二人だけです。 ……と思ったら、部屋の隅の方に並べられているイスにぼんやりと二つの人影が見えました。 まだ寝起き(照)なので目が慣れてません。 その二人の顔までは暗くてよく見えませんでしたが、とりあえず推理とは関係なさそうなので今は無視するとします。 目の前にはご存知、我が主が腕を組んで仁王立ちしています。 仁王立ちって。 確認せずとももう彼女はお怒りプンプンのようで、顔の眉間にはシワがよりこめかみには血管が浮き出ていました。 ……夢の中とはおおちがいのその表情に、ヱリカはドン引きです……。 なるほど、謎は全て解けました。 私、古戸ヱリカはお説教を受けていたのですね。 我が主のお説教は非常に長ったらしいです。 それで思わず眠ってしまったというところでしょうか。 ならばこそその内容はいつも言われていることが大半であり、言われることも大体想像が付きます。 私の推理に狂いはありません。 「…………どうしたの? あんたやっぱり聞いてなかったんでしょう、この無能探偵」 我が主がそれ見たことかという憎たらしい顔でつぶやいてきました。 人聞きの悪い、ちゃんと今思い出しましたよこのスカポンタン。 ああそうですか、そこまで言われたら私だって引けません。 言い返してやろうじゃないですか。 私はまだ少し寝ぼけまなこな頭を急激に冷やしていくと、我が主が語りそうなクール(偉そう)な雰囲気で言われていたことを想像していきます……。 「コホン……。 ヱリカ、ああ私の愛しいヱリカ、あなたは本当に無能ねダメダメな子ね。 こんなイケナイ子にはいやらしいお仕置きが必要だわ、今すぐお尻を突き出しなさい。 おもいっきり叩いてあげる、みぃみぃにぱー!」 ガツンッッッ!!! 「痛ったいっ!!!」 そこまでを語ると、私のひたいに何か硬いものがブチ当てられました。 ……靴底? ――我が主の黒いヒールが顔に乗せられていたのです。 「一言も一単語も一文字ですら合ってねーよこのゲロカスッ! だいたい誰が真似しろっつったのよこのダボッ馬鹿にしてんのかッ!!!」 「うぐ……ち、ちがいましたでしょうか? もうちわけありません……」 怒り心頭の我が主、どうやら私の推理は間違っていたようです。 にぱーの発音が微妙に狂っていたか……?  まあとにかく、顔に乗せられた靴底が非常に痛いです。 基本踏まれるのは好きですが、私はどちらかというと素足で踏まれる方が好きです。  …………おっと?  「おお……これは……」 「…………? な、なによ」 まるで靴置きのように足を乗せられているこの屈辱。 けれども私はその苦境の中に思わぬ幸運を見つけてしまいます。 グッド。 損して得とれとはよく言ったものですね。 なんとそこには黄金卿が広がっていたのです。 ただでさえ短い我が主のスカート。 フリフリが付いた可愛らしいそれが、私の目の前で礼拝堂の扉を開くが如くでした。 過去に何度も何度もめくりたいという衝動に駆られた私に、どうやら黄金の神様はついにご褒美を授けてくれたようです。 「…………ピンクの紐パンツ」 「~~~~~~~~ッ!!!」 思わずそうつぶやいてしまうと、我が主は慌てて足を降ろしスカートを抑え付けます。 ……短い黄金郷でした。 けれどもまさか我が主がピンクとは、さすがDVDのジャケを華麗に飾るだけあります。 ですが私はもうあんな安っぽいアイドルみたいな仕事は二度と受けて欲しくありません。 「あ、あんた……このド変態ッ!!!」 真っ赤な顔をしてこちらをキっと睨み付けてくる我が主。 ああ、なんてウブで可愛らしいんでしょう。 スカートの中を覗き見られただけでこの反応では、間違いなくバージンにちがいないですね。 まさか百年も生きているあなたが処女だなんて、なんという奇跡でしょう。 ああそうか、だからこそあなた様は奇跡の魔女なのですね……。 「我が主、膜、処女膜、ドーナツ状のそれを是非食べさせてください……」 「…………前々から思ってたけど、あんたやっぱり私のこと、そういう目で見てたのね。 きもちわるッ!!!」 「ち、ちがいます、それは誤解です! 今のはついつい魔が差して……ベルンお姉様」 ガツンッッッッ!!! 「はぎゃあっ! も、もうちわけ……」 我が主の靴がふたたび顔に突き刺さります。 ……今度は目を塞がれたので見えません。  サービス悪りぃ店ですね。 嬢の教育がなってねーです。 「……ほんと、いい度胸ねあんた。 叱られてるっていうのにその態度、たいしたものだわ。 探偵としても家具としてもまるで役に立たない無能のくせに、色欲にだけはかまけてるってわけ? このメスブタがッ!!!」 「ぶひ」 「ぶひじゃねえッ! あ~~~も~~~こいつむかつくむかつくむかつくッ!!!」 ゲシゲシゲシ! 私の顔が何度も何度も踏まれていきます。  あんたがメスブタって言うから気を利かせて鳴いてあげたんでしょうがこのペッタンカステルがぁぁ。 閑話休題。 とにかく我が主は大変ご立腹のようです。 ブタとか家具とかの罵倒は別にいいのですが、無能は探偵としてちょっと聞き捨てならないですね。 たしかに私は戦人達とのゲームでけっして褒められた戦績は残してないですが、戦いの矢面の立たされている私にもう少し優しくしてくれてもよさそうなものなのに……。 ふと辺りを見てみると、なんと遠くに並べられたイスにはその戦人とベアトリーチェが座っているではないですか。 ……なるほど、さっきの人影は彼らだったようですね。 なんだかうわぁ…って感じの生暖かい目でこちらを見ているように思えますが、今は気にしないでおくことにします。 「……で? あんた、次のゲームへの作戦とかはあるのよね。 あるんでしょうねぇ、もちろん……?」 「さく、せん……?」 ……あ、そうだ思い出した。 私はさっきのゲームでまたあの二人に負けてしまったんでした。 それでそのお叱りを受けている最中、不覚にもグーグー寝てしまったわけですね。 なるほどようやく推理できました。 「ねえ……あんたこれで何回目?何回目だっけ?ほら何回目よッ!? あそこにいる戦人とベアトに負けるのこれで何回目か言ってみなさいよ言いなさい言えこらぁッ!!!」 我が主の足がグイッと伸ばされていきます。 私の顔が床に向かって蹴り飛ばされました。 そのままドタリと身体が投げ出されると、お餅よりも柔らかいプリチーMyほっぺが我が主にガシッと鷲づかみにされていきます。 「ほら言えッ! 言ってみろこの無能ッッッ!!!」 「ふ、ふみゅみゅみゅみゅ、ふぁ、ふぁい言わせて頂きます! これで戦人に負けたのが、よ、43回目、そして過去ベアトリーチェへの敗北が67回……合わせて100回、なんと記念すべき3桁の大台でございます」 「なんと 記念すべき とか言ってんじゃねーよこのゲロカスッ! しかも計算まちがえてんじゃねーか計110回だボケ水減らしすんなッ! もうやめちまえ、こんな計算すらロクにできないなら探偵なんて辞めちまえッ!!!」 「……ッ!? そ、そんな……我が主ィィ……」 探偵なんてやめちまえ――我が主のその無慈悲な罵倒が、私のお豆腐よりも傷つきやすい心に突き刺さります。 さきほどから何度も何度も罵られてきましたが、さすがの私もこれにはショックを受けざるをえません……。 私にとって探偵という役職は誇りであり、そして唯一の生きがいでもありました。 小さい頃から山ほどの推理小説を読み漁り、自らも探偵になり推理することによって自分の存在価値をこうして確立してきたのです。 それが今、こうして否定される。 全否定されてしまったのです。 私という存在そのものがあろうことか、創造主である我が主御自身によって……。 けれども私は負けない。 古戸ヱリカは挫けない。 この程度のことで立ち止まってはいられないのです。 なぜなら私には、私を応援してくれているたくさんのニンゲン――信者達がいるのですから。 ……信者という言い方はいささか失礼ですね。 良き友人達と呼びましょうか。 少し前、とある映像投稿サイトで見たのです。 そこには私、古戸ヱリカを励ます言葉がたくさん書かれていました。 動画の中では彼らはみな一様に探偵である私を褒め称えており、その言葉に激しく勇気付けられたのを今でも憶えています。 可愛い、嫁にしたい、変態、顔芸――などなどそこには溢れんばかりの賞賛の嵐……。 私は友人と呼べる人はユングフラウの三人しかいないものと思っていましたが、実際には全国にたくさんのニンゲン達が心の友としてずっとそこに存在してくれていたのです。 そしてこれからつぶやくのは、そんな彼らの中のとある一人が作り出してくれた歌――。 探偵、古戸ヱリカを称える実在する挽歌なのです。 戦人達や我が主との戦いで心が傷つけられたとき、私にほんの小さな勇気と力強さをくれた――魔法の歌。 聞いてください。 『名探偵は知っている』。 「わったっしーはめいたんてー。 ぽぽっぴっぽー、ぱらーらりらー」 ドッゴォッ!!! 「おぐおぉぉ……腹ぁぁ……」 我が主の鋭い靴先が今度は下腹部へ突き刺さりました。 ……子供産めなくなっちゃう。 私の子宮を男に取られたくないのはわかりますが、こういう愛情表現はちょっとご勘弁願いたいものです。 さすがにマゾの私でもこの痛みは No Thank you。 突き刺さった我が主の足先をどけようとその細い足首を掴んでいきます。 「わ、我が主。 さすがの私でも、こ、こういった愛はちょっと受け止めきれません。 せめてお靴を脱ぎ脱ぎしてからにしてくださいな……」 「………ねぇ、あんたひょっとして馬鹿にしてる? 主である私を馬鹿にしてわざとそういう態度とるんでしょう。 それでこの腹の中ではクスクス笑ってるんでしょうねえどうなの答えろッ!!!」 「ぐ……め、滅相もございません。 私は我が主を尊敬しております敬愛しております! それどころか愛してさえいます! それがどうして馬鹿になどできましょうか? 我が主チュッチュッ!」 「ちゅっちゅじゃねえええだらあああぁぁぁぁぁぁッ!!!」 グリュウゥゥゥゥゥッ!!! 「うげぇぇぇぇ、ね、ねじり込んだ、だとぉぉぉ…」 足をどかせるどころか、我が主のつま先が私のお腹の中で180度曲げられていきます……みぞおちがきっちぃ。 グリグリグリ! 内臓に食い込んでくるそれはまさに第六の晩に腹を抉りて殺せ。 これ、ちょっとマズイですね。 「わ、我が主……ちょ、本気で痛いんですけど! や、やめてぇっ!!!」 「……いい声だすわね、それが聞きたかったの。 ほらもっと泣け。 痛いでしょう鳴け。 ブタみたいに泣いて詫びてみせろ! 鳴いて少しは私の退屈と苛立ちを紛らわしてみろッッッ!!!」 ……こいつはマジでヤバイです。 さすがにちょっとふざけすぎました。 我が主の目が本気モードになってやがります……。 私はお腹の痛みとさきほどから感じているストレスとの折り合いを付けられなくなると――ブチ切れました。 「もーーーーーー!!!」 「…………きゃッ!!!」 我慢できなくなった私は勢いよくその場を立ち上がります。 やってられるかこんなもん! 驚いた我が主は後ろにポテンと尻餅を付きます。 あらかわいい。 「い、痛ったい。 あ、あんた、いきなり何すん」 「うるさいです! だいたいなんなんですか、私はいつもゲーム盤で必死になって頑張ってるっていうのにこの仕打ちはひどいんじゃないですか? &br()それなのに我が主はただ後ろで眺めながら、うふふ梅干紅茶おいちーって言ってるだけじゃないですかこのぐうたらニート魔女!」 パチンッッッ!!! 「…………痛ッ!? な、な、な……」 逆切れした私はその場の勢いもあり、尻餅を付いている我が主の頬をペチンと叩きます。 正気に戻って! 叩かれたわが主は一瞬目を丸くしました。 けれどもすぐに私のような下女に殴られた事実を受け止め始めたのか、ピクピクと可愛いお眉を痙攣させていきます。 うわ、デンジャラス~。 「あんた……私に逆らうの? いい度胸じゃない……サイアクのカケラに落されたいのね?」 「え……ええどうぞどうぞ、サイアクカケラ結構ですよ。 &br()だいたいなんなんですか、そのドレス。 いい年してゴスロリドレスみたいなもの着こんで、おまけに猫のしっぽまで付けちゃって恥ずかしくないんですか?  出オチですよ、はっきり言って」 「~~~~~~~!?」 顔を真っ赤にしていく我が主。 ウィークポイント発見! 気にしてたんですね、可愛いグッド! 「というかようするに、あれですよね。 私が戦人とベアトリーチェに勝てば文句ないわけですよね! 名探偵古戸ヱリカにはそんなのよゆーですよゆー」 「……じゃ、じゃあ行って来なさい。 今すぐあそこにいる戦人とベアトに次のゲームの約束を取り付けてきなさい! そして次こそ勝ちなさい勝たないと次こそ殺すわよッ!!!」 「ええ、行ってきますよ? 言われなくてもそのつもりでしたしね、ああもう憎たらしい顔このこの!」 私は我が主のおでこをペチペチと叩くと、内心ヒヤヒヤしながら戦人達の元に歩き出しました。 ふひーあぶないです。 どうにか誤魔化して切り抜けましたけど、我が主にここまで逆らったのなんて初めてなので肝を冷やしました。 サイアクのカケラに落されるのはもうコリゴリですからね! 水死体って臭いし……。 「ふんふんふ~ん、ふ~ん♪」 「駆け足ッ! モタモタすんなッッッ!!!」 「あーはいはい!」 我が主に急かされると私はすぐさま全力疾走します。 なんか小姑みたいですね、やだやだ。 「戦人すぁ~ん、ベアトリッチェ! ちょっとお願いですほらいつもの~」 そしてそのまま二人の前にまで辿り着くと、ズザーっと滑り込むように土下座をしていきました。 もはや完璧な、それでいて無駄の無い111回目のスライディング土下座。 それは私が我が主からのお叱り、そしてこの二人に対しての敗北によって得た経験の賜物なのです。 そして厳かに優雅に華麗に――私は戦人とベアトリーチェにお願いをしていきました。 「初めましてこんにちは。 探偵、古戸ヱリカと申します。 本日はお二人に再戦のお願いをしに参りました」 おでこを地面にゴリゴリと押し付けながら、私は縋り付くように言葉を搾り出していきます。  どうだ、ここまで丁寧にお願いをされては断れまい。 案の定エサにかかったのか、イスに座っているベアトリーチェは手元のパイプをクルクルと回しながらそれに了承していきます。 やだ……ちょっとかっこいい。 「う……うむ、かまわぬぞ古戸ヱリカ。 妾達は何度でもそなたの挑戦を受けようぞ。 な、なあ戦人?」 「あ……ああいいぜヱリカ、勝負してやる。 あーなんなら次は探偵権限を行使させてやってもいいぜ? な、なんせ俺とベアトは最強のコンビだからな。 ハンデだハンデ、ははは」 「ありがとうございます。 お二人の海よりも広い御心、真に感謝致します……」 私はあくまで紳士淑女風にお礼を述べていきます。 けれども内心ではヒッヒッヒとほくそ笑んでいました。 グッド。 それ見たことかそれ見たことかッ。 なんて馬鹿な奴らッ!!! 思ったとおり、このスイーツ(笑)な二人は私との再戦を飲むどころか探偵権限というご褒美までオマケしてくる始末。 なんて平和ボケした奴らでしょう。 勝てる。 探偵権限があれば、次こそはこいつらに勝てるッッッ!!! そして約束を取り付けたのならもう猫を被る必要もないですね。 私はドヤ顔でその場を立ち上がると、二人を嘲笑のまなざしで見つめてやります。 かわいそうな子達……。 「ふふ……あいかわらず甘いですね、あなた方も。 探偵権限、もらいますよ?ほんとに。 もらっちゃうぞ?」 「あ、ああ、いいぜ。 というか全ゲームの半分くらいはいつもあげてやっ」 「戦人……ッ!」 戦人が何かを言いかけたその時、隣のベアトリーチェが彼の胸を小突きました。 コツン、と。 ほう……なるほど、何か秘策があるというわけですね。 馬鹿な奴らです。 類まれなる洞察力を持つ私の前でそんなわかりやすい反応を見せるなんて、これは次こそ大勝利ブイ! 我が主をやっと喜ばせられますね、キャッ。 「ふふ、オーケーオーケー。 あなた達がどんな作戦を思いついているのか知りませんけど、この古戸ヱリカは更にその上をいってみせますので。 ……お二人とも、お覚悟を(にっこり)」 「ぬう……これは手ごわいぞ戦人。 この女の気迫、いままでとはちがう。 今度こそ妾達は負けてしまうやもしれぬ……な、なあ?」 「いや、負けねーだろ。 だってこいつこの前事件起こる前に自分を差して私が犯人です! とか言いだしたんだぜ。 意味わかんごふッ!!!」 突然、目の前の戦人さんが血を吐いて崩れ落ちる。 ……なぜ? ……ああそうかこれはまずい。 これはきっと私のせいですね、静まれ静まれ……。  「ぬぅぅ、どうした戦人ーしっかりしろー。 おのれ古戸ヱリカ、戦人に何をしたー」 「……ああ、すみません。 何もしたつもりはないんですけど、私の108つある探偵能力の一つ、周りの登場人物が次々と怪死していく。 相手は死ぬ。 が発動しちゃったみたいです。 ごめんなさい、ベアトリーチェ(にっこり)」 「な、なんという恐ろしい能力……これは一時撤退するしかない。 勝負は預けるぞ古戸エリカ、逃げるぞ戦人ーびゅーん」 私の余りの力に恐れおののいたのか、ベアトリーチェは戦人さんを抱きかかえるとそのまま霧のように姿を消してしまいます。 ……逃がしたか。 まあいいでしょう。 ここでトドメを刺してしまっても良かったのですが、それはやはりゲーム内で済ませるのが流儀というものです。 どのみち私に探偵権限を差し出してしまったのが彼らの運の尽き。 もう彼らにひゃくじゅう……ひゃくご、にじゅう…………。 103?回目のゲームが訪れることはないのだから……。 「…………話、終わった?」 私がふっふっふと不敵な笑みを浮かべていると、背後から我が主が声をかけてきました。 どうやら私のことが心配になって来てくれたようです。 この方もクーデレですからね、ふふふ。 「はい、我が主! 見事再戦の約束と探偵権限を獲得致しました。 これで次こそ大勝利をお約束いたします!」 「…………そ。 じゃあ帰りましょう。 私疲れちゃったわ……帰ったらシャワー浴びて早く寝たい」 「はい、我が主! お背中お流ししますね?」 「いい」 あいかわらず素直じゃない我が主。 でもそこが可愛いですね、グッド! 私はどさまぎで主の腕に自分の腕を絡ませていくと、ルンルンスキップで二人仲良く魔女の寝室の帰路へとついていくのでした……。 「ところで我が主、勝利後のご褒美の件なんですがさっきのパンツくーださい」 「死ねッッッ!!!」 終わり &counter(today) &counter() ---- #comment_num2 ----
注意:前半百合 後半ギャグです。 ---- 「ヱリカ。 …………そこに跪きなさい」 我が主の妖艶なお声が聞こえてきます。 私は言われた通り真っ赤な絨毯が敷いてあるそこに両膝をつけていきました。 胸元ではまるでマリアに祈りを捧げるかの様に両手を組みます。 キリシタンではないですが、今この場ではそうするのが礼儀だと思えたからです。 ここは魔女の継承を行うべく作られた空間。 様々な装飾が成されたそこはどことなく礼拝堂を思わせました。 神の信託を受けるという意味でなら、それは私にとっては間違いなくその通りだと思います。 いつもならば我が主の『跪け』という御言葉はお叱りの合図。 私はこの言葉を囁かれたただけできっと、背筋も凍る程の恐怖を味わっていた事でしょう……。 けれども今日は違います。 今回は違うのですよ、皆様方。 私は遂に神となるのです。 あの忌々しい戦人とベアトに勝利し、我が主に認められる日が訪れたのです……。 「古戸ヱリカ。 ……いや、もうこんな軽々しく呼んではいけないわね。 真実の魔女、ヱリカ」 「はい、我が主!」 「貴女にこの『真実』の称号を授けるわ。 私やラムダの奇跡、絶対にも勝るとも劣らない魔女の称号をね。 ……おめでとう」 「ああ……あ、ありがとうございます、我が主! このヱリカ、身に余る光栄でございます!」 我が主のありがたい御言葉に、私は胸の中に溢れんばかりの幸せを堪能していきます……。 ずっと願ってやまなかった主のその御言葉。 それを今私は幻想や夢ではなく、間違いなく現実のものとして受け止めているのですから……。 思えばそれは苦節に満ちた日々でした。 ゲーム開始毎に必ず海へと投げ出される私は、主の御力で必ず生き残れるとはいえ、嵐の海を長時間漂う事になるのは変わりません。 口の中を塩辛い海水が埋め、それがやがて肺にまで達し――それでも死ねずにもがき苦しむ。 そして漸くあの六軒島へと辿り着くのです。 それはまさしく、死んだ方がマシな程の地獄の航海です。 けれどもそんな日々ももうお終いです。 何故なら私はこうしてあの二人のゲームに勝利し、我が主から最大の褒美と賛辞を頂けたのですから……。 「ほんとに良くやったわ、ヱリカ。 ふふ、可愛い子……」 満足そうな微笑を浮かべながら、我が主は跪いている私の頭をナデナデと撫でてくれます。 (普段は手を触れてくれる事すら無いというのに、こんなにも勝利という結果はヒトを高みへと誘ってくれるものなのでしょうか) 私は主に見えない事を良い事に、顔を真っ赤にしながらその髪を擽られる心地良さを存分に堪能していくのです。 「ああ……でも、これだけではちょっと足らない気がするわね。 魔女の称号以外にも何か褒美をあげられれば良いのだけど……」 「……………!?」 思わず身体がピクリと反応します。 声には出しませんでしたが、我が主のその御言葉に私は内心ドキリとしたのです。 確かにこうして真実の魔女の称号を頂ける事は、私としてもとても誉れ高い事です。 不満等あろう筈がありません。 けれどもそれ以上にもっと欲しいものがあると語ってしまったのなら、それは贅沢が過ぎる大罪なのでしょうか……。 「そうね……何が良いかしら。 この六軒島の永久支配? ああ、この子の場合は世の中の未解決事件への介入権利なんかも良さそう……」 我が主は塾考なされている様です。 私等の褒美の為にここまで頭を悩ませて頂けるなんて、従者として何という誉れでしょう。 けれども我が主が口になされるそれ等は確かに探偵の私には魅力的なものばかりでしたが、私が本当に欲しいものとはまるで毛並みが違うものだったのです。 それもその筈です。 何故なら私が望んでいる褒美というのは、女性同士では抱いてはいけない欲求だったのですから……。 「……まあ、聞いた方が早そうね。 ヱリカ、何でも良いわよ。 貴女が欲しいものを言ってみなさい……?」 我が主は一通り思案を終えると、私に声を掛けて下さいました。 その御顔にはまるで愛する娘を見る様な慈愛が感じられます。 ああ、ここまで清くお美しい我が主に、私は何てはしたない欲求を持ってしまったのでしょうか……。 「そ、その……ええと……」 「…………どうしたの? 遠慮なんてしなくて良いわ。 ほら、言ってみなさい……?」 本当はありませんと即答したかったのです。 けれども我が主の誘惑なる追求を受け、私は深い思考の迷宮に囚われてしまったのです。 ご褒美を何にするかに悩んでいるのではありません。 それを言うべきか言わざるべきかに悩んでしまうのだから、これ程もどかしい事はありません。 例えばもしそれを口に出してしまったなら、我が主は一体どのようなお顔をなされるのでしょうか? 今、我が主はとても穏やかな顔をなさってくれています。 私がゲームに勝利したせいかとてもご機嫌で、まるで天使のような笑顔を向けてくださっています。 けれどももし、私がこの望みを口に出してしまったのなら……。 これが一転、悪魔のような不機嫌な顔に豹変してしまう可能性も拭いきれないのです。 それほど私のその望みは薄汚く、自分勝手な醜い欲の塊なのですから……。 ですから私は少し――ほんの少しだけその淡い望みに想いを馳せると、我が主のありがたい質問にこうつぶやいていくのでした。 「……他の褒美などいりません、我が主。 私、古戸ヱリカは主のお側にいられるだけで幸せです。 お心遣いありがとうございます……」 「………………」 顔を見られずに助かりました。 今の私はきっと未練がましい顔をしているでしょうから……。 でもこれでいい。 これでいいんです。 元より叶わぬ恋なのですから。 それに今の言葉もけっして嘘ではありません。 私は本当に心の底から我が主のお側にいられるだけで幸せなのです。 たしかに未練が無いと言えば嘘になりますが……これは嘘ではなく我慢です。 真実の魔女として嘘のつけない私はそう自分の心に折り合いを付けていくと、今後も我が主に永遠の忠誠を誓うことを心に決めていきました。 この古戸ヱリカにとって、それこそが最大の褒美といえるでしょう……。 「…………ヱリカ。 顔を上げなさい」 「……はい」 私の中で永遠となった主にそう命じられると、私は伏せていた顔をスッと上げていきました。 背の小さな我が主は、ちょうどひざまずいた私と顔が同じ位置に来ます。 すると目の前からグググっとそれが迫ってきて……。 「…………んっ!?」 ……チュプッ。 それは擬音ではなく、本当にそう耳に聞こえてきました。 突然、私のクチビルに小さな膨らみが押し付けられていたのです。 まるでこの世の物とは思えない柔らかい感触に、クチビルがとろけそうになります。 (え…………?) 初めは何が起こったのかわかりませんでした。  私のその時の瞳は、まさに魔法を目撃したかのように大きく見開かれていたことでしょう。 けれども目の前にある我が主の端正な御顔、そして綺麗な青髪から漂ってくる甘くも淫らな香りに――すぐそれを理解します。 私は口づけをされていたのです。  憧れでもあり愛おしい存在であった我が主に、このクチビルを奪われていたのです……。 「んんっ!? わ、わがあるじぃ、ん、んんっ!」 私はおもわず我が主の身体を突き放そうとしていました。 もちろん、それは拒絶からではありません。 あまりに身に余る行為。 頭の中で処理できない突然の出来事。 そして何よりも私などの下俗なクチビルで、我が主の純真な唇を汚してしまうことが躊躇われたからです。 けれども次の瞬間、抵抗しようとしたその腕がガシっと掴まれます。 「ダメ。 動かないで……動くな」 「ふ、ふぅぅぅ……」 絡み合ったクチビルごしにされる命令。 ……私はすぐに動けなくなりました。 いえ、それは命令だからだけではありません。 私自身が望んでいたことだからこそ、身体がそれを受け入れ始めた証でした。 私はまだ自分の身体がかすかに震えているのを感じてましたが、そこからは抵抗など止めクチビルを我が主の為すがままにさせていきました。 「ん、んん……ぁぁ我が主……」 「……そう、そうしてジっとしてるの。 そうすれば天国に連れて行ってあげるわ……クスクス」 私の抵抗が止むのを確認すると、我が主はそこで初めて『始める』つもりのようでした。 両膝を付いたまま腕をダランと垂らしている私。 その背中にシュルリと手を回してくると、けっして逃がさないよう鎖を巻くように両腕で抱きしめてくるのです。 けれどもそんなことをせずとも私は逃げられるわけがありません。 すでに私はクチビルに一つ、絶対に抜けられない真っ赤な楔を突き刺されているのですから……。 「舌……出しなさい。 ほら……」 「ん……ふぁ、ふぁい……」 クチビルを捕らえたままの我が主の命令――それに私は呆けた頭で返事をするのが精一杯でした。 ただでさえこの押し付けられた柔らかい膨らみだけで頭がおかしくなりそうだというのに、このうえ舌など差し出してしまったら一体どうなってしまうのでしょうか……。 私は危険な誘惑に身を委ねてしまいたい衝動にあっさりと負けていくと、言われたとおり自らの舌を前に差し出していきます。 「こ、こうれふ、か……」 「……そう。 もっと、もっと出して。 ほら、もう少し頑張りなさい……?」 「あ、あい……」 実際にしてみるとわかります。 思いのほかキスをされた状態で舌を伸ばすという行為は難しかったのです。 けれども我が主に導かれるようにそれをヌラリと伸ばしていくと、突然チュポリと舌先が咥え込まれました。 「ひゃぁっ!? そ、そんな……わがあるじぃ……」 つい悲鳴をあげてしまいました。 だってそれは、文字通り飲み込まれたのですから。 我が主は私の舌をクチビルで咥え込むと、まるで吸うかのようにちゅうちゅう音をたてながらそれを食べ始めたのです。 チュポチュポ……チュウゥゥゥッッッ。 「ひあっ!?……ら、らめ、こんなの、らめれす……ぁぁぁ」 「……ふふ。 この私が、普通のキスで満足すると思う……?」 ……いかにも退屈を愛さない我が主らしい御言葉だなと思いました。 その間も私の舌は本当に食べられてしまうんではないというほどに激しく吸われ、弄ばれていきます。 お互いの口の中からは分泌された唾液がピチャピチャと音を立て始め、このキスのいやらしさを更に助長していきました。 そしてこの時にはもう、私の頭の中は自分が魔女になったという事実すらどうでもよくなり、ただこの淫らなご褒美をもらうだけの快楽主義者に成り果てていたのです……。 ピチャピチャ……クチュクチャ……。 「ふあ……あぁ……あぁぁぁ」 「…………きもちいい? とっても素敵な顔をしてるわよ、ヱリカ。 とっても淫らでいやらしくてスケベな顔、クスクス」 「も、もうひわけありま、ふぇん……んうぅぅぅぅ」 自分ではわかりませんが、我が主の言うとおり。 今の私はきっと女としてはひどくふしだらな顔になっていることでしょう。 ただキスをされているだけ。 ただ我が主にディープキスをされているというだけで、私はこの程度に顔をとろけさせることが可能なのです。 ああ、如何でしょうか皆様方……。 我が主も大変ご満悦のようです。 私のような女性の主に欲情する牝に望みどおり褒美をやる優越感に、瞳からサディスティックな光が宿っているように思えました。 ああ、これではどちらが褒美をもらえているのやら……。 …………チュパッ。 「え…………?」 永遠に続いて欲しいとさえ感じていた舌先愛撫が、突然、止みます。 すると私のクチビルがチュパッと開放されていきました。 あまりにお互いの唾液を交換しすぎたせいか、離れる際、私と我が主のクチビル間に透明な液体がツツツッと架け橋のようにかかったのがまた名残惜しさを感じさせます。 「ああ……そんな、我が主……ど、どうして……?」 心情だけでなく、私はおもわず我が主を非難するような瞳で訴えかけてしまいます。 このままでは蛇の生殺しです。 たしかに激しい舌絡愛撫を頂きましたが、それだけでいままでガマンしていた私の身体が満足するはずもなかったのです。 それどころか身体中の至る所はすでに火照りきり、胸元は淫らな自己主張を始めています。  そしてドレススカートの中はすでに熱さを伴っていて、我が主の指先を求めてさえいるのです……。 「わ、わがあるじ……ああ、は、はやくくださいぃぃ……」 「……そんな物欲しそうな顔しないの。 ここじゃ最後までできないでしょう? 私の寝室に行きましょう。 そこでたっぷりシテあげるわ……」 「ああ……はいぃぃ」 このまま放置されてしまうのではないかという不安が頭を過ぎった時、我が主は最高の御言葉をくださいました。 最後、という単語が私の身体を一層ゾクゾクさせていきます。 私は差し出された手を取っていくと、そのまま為すがままに我が主の後を付いて行きました。 ……どこをどう歩いたかなど憶えてないです。 今の私はもう、我が主にいやらしく愛してもらうことしか頭になかったのですから……。 「……ほら、ここよ。 入りなさい」 そうして私は我が主の寝室へと案内されていきました。 それは無数にあるカケラの狭間にある世界。 ラムダデルタ卿との密会に使われている部屋のようで、中に入るだけで何か香水のような妖しい香りが漂っているのがわかりました。 部屋の照明は基本薄暗く、ランプの灯りだけで彩られた部屋はまるで『そういった目的』のために用意された部屋のように思われました。 「ここが我が主の御部屋なんですね……ひゃっ!?」 初めてお目通りを許されたお部屋に感動していると、私はいきなりベッドに押し倒されました。 極上の羽毛が使われているそれは私の身体を深く沈みこませていきます。 軽く悲鳴をあげながら目を開けていくと、そこには私の身体にのしかかる我が主のお顔がありました。 「あ……い、いやです。 シャワーを浴びさせてください……」 「ダメよ。 石鹸くさい身体を抱いてもつまらないでしょう? ヱリカのにおいも私がもらうの……」 ……やはり我が主はイジワルです。 そう思った矢先、私の首筋に舌が這わせられます。 「ああ……あんッ!」 それだけでビクンビクンと身体が反応してしまいます。 自分がここまで感じやすい身体をしていたなんて、自分でも驚くほどでした。 そのままツーッと舌が首筋を撫でていくと、下半身にいきなり指が這わせられました。 「……もう濡れてるのね。 とんだメスブタだわ、クスクスクス」 ドレススカートの中に我が主の指が入り込んでいました。 それが下着の上から秘裂に這わせられていたのです。 それどころか指先がその上を這い回るたび、クチュクチュ…と音が鳴り響いてさえいました。 「……なぁに、このいやらしい音は。 ヱリカ、あなたは魔女になったばかりだというのにこんなに身体を発情させていたの?」 「も、もうしわけありません、我が主……でも」 「でもではないわ。 これは真実の魔女ではなく、淫乱の魔女にでも改名したほうがいいかしら? クスクスクス」 ……我が主がお望みなら、それも悪くないとさえ思えました。 そしてそう小悪魔な笑みを浮かべると、我が主は更に私の秘裂を愛撫していくのです。 指先一つでここまで心と身体を弄ばれるなんて、私はもう我が主無しでは生きていけなくなってしまっているようです……。 「はぁ、はぁ……あ、あ、あ!」 「いい声で鳴くのね。 そんなにきもちいいの? 私の指が……」 「は、はいきもちいいです。 下着の上から弄られるだけで、エ、ヱリカはもう……」 「そう。 じゃあ直接触ってあげる。 どうせこんなビチャビチャにしてるんじゃ下着の意味がないしね……」 我が主はとても女性とは思えない目つきで発情した私を見ていきます。 それはまるで私をヒトでは魔女でもなく、性の玩具か何かにでもしているようなものに感じられました。 スカートの中で我が主の手が器用に動いていくと、私の役に立たなくなった下着がシュルリと脱がされていきます。 そしてそのいやらしく濡れそぼった入り口にいきなり指が……中指がズブリ!と突き入れられてきたのです。 「ひぃあッ!? そ、そんないきな、り……!」 「……優しくされると思った? もうこんな濡らしてる時点であんたはヒトではないの。 私に遊ばれる家具になってるのよ、クスクス……」 我が主の突き立てられた指がそのままジュポリジュポリとピストンされていきます。 まるで男性器を入れられているような快感が私の身体を駆け巡ります。 私は我が主の言葉にショックは受けませんでした。 なぜなら私は、その御言葉こそ私がずっとずっと望んでいたことだった気がしたからです。 恋人なんておこがましい。 メス家具でもいいのです。 主に飼っていただくことこそが、この古戸ヱリカの真の望みだと思えたのです。 ジュプジュプジュプ……。 「あん、あ、あ、あ! あ、そ、そんなに動かしたら、もうダメ、ダメで、す……」 「……イキそう? あんたのここ、指一本でキツキツなのね。 これから毎日毎晩犯してすぐガバガバにしてあげるわ、クスクス……」 「は、はい、してください我が主ぃ……ん、んんぅぅぅ!!!」 してもらいたい。 この身体も心も子宮も膣も、全てを我が主のモノにしてもらいたい……。 私はおもわず甘えたい衝動に駆られキスをねだると、望みどおり我が主のクチビルが重ねられました。 今度は私から舌先を伸ばすと、それがまたちゅうちゅうと吸われていき……。 「んん、ん……す、好きです我が主。 愛しています……」 「……あんたの口から愛だなんて言葉が出てくるなんてね。 ただの肉欲でしょう、こんなの」 「はい、はい、ただの肉です……。 ヱリカはただの肉奴隷ですそれでもいいんですぅぅぅ……」 ……ついに自分から奴隷宣言をしてしまいました。 愛でなくてもいいんです。 むしろそのほうが私は安心できるのです。 我が主の指先は膣内で更に蠢いていき、中でクイッと指が内側へと曲げられました。 一番敏感な部分を撫でられた瞬間、私はビクンビクンと身体を震わせて絶頂に達してしまいました……。 「……んぐッ!? ん、んんんんんん……!!!」 私は悲鳴をあげて絶頂に達した……達するつもりでした。 けれどもその瞬間、我が主の手が口を塞ぎそれを制されたのです。 結果身体だけが海老のように仰け反っていき、私はただうめき声をあげながら達する人形にされていきました。 「ふぐッ! ん、ん、ん! んぐぅぅぅぅッ!!!」 「ああ……いいわヱリカ、その表情。 叫びたい? 鳴きたいでしょう? 苦しがるその顔、たまらないわ……」 ……苦しかったです。 そしてもどかしかったです。 息もできないほど強くかぶされた手のひらに私は窒息しそうになりました。 けれどもそれが我が主の望みならと、私は苦悶と快楽の織り交ぜられた表情を見せ付けながら達していくのでした……。 ---- 「んんん……く、苦しい。 わがあるじ、そ、それはちょっとアブノーマルすぎますぅぅぅ……」 「…………あんた、聞いてるの?」 ――我が主の声で目が覚めていく。 気づくとそこは魔女の密会ルーム。 あいかわらず薄暗くてシケタ部屋でした。 徐々に意識が覚醒していきます……どうやら私は寝てしまっていたようですね。 ああ、できればもう二度と目覚めたくなかったです……。 するとふと鼻のあたりに生暖かい違和感を感じました。 ……大量の鼻血が私の口元を汚していたのです。 「ひゃ、ひゃいっ! 聞いております、我が主!」 私は慌てて鼻血をドレスの裾でゴシゴシと拭うと、誤魔化すためにうんうんうんと何度も頷き返します。 目の前には我が主が存在していて、私を見下すように立っていたからです。 ああ、あいかわらずなんて端正で美しいお顔立ちでしょう。 やっぱり現実のほうが全然イイですね、ジュルリ……。 「お、お話を中断してしまい申し訳ありません、我が主! お、お気にせず続きをどうぞ!」 「…………あんたまさか、寝てたの。 私の話、ちゃんと聞いてた?」 「も、もちろん聞いておりましたとも。 ヱリカは寝てません! ノースリープ、ヱリカ」 「そう、じゃあ言ってみなさい。 今私がなんて言ってたのか復唱してみなさいよ。 はい、どうぞ」 「ほう…………」 …………まずいです。 今さら寝てました、なんて言えるわけねー雰囲気です。 我が主が何を言っていたかなど、私はまったく記憶にございません。 これはちょっと推理が必要ですね。 まずは捜査の基本から。 私はまず自分の置かれている状況を確認していくことにしました。 さきほど言ったとおり、辺りはいつもの薄暗い魔女の御部屋。 いわゆるゲーム後の『反省部屋』でした。 イスが多数円形上に並べられたこの部屋は魔女達のお茶会にも使われることもあるそうです。 こんな暗~い部屋で毎日お茶なんて飲んでるから、我が主もあんなレイプ目になってしまったというわけですね。 かわいそう……。 部屋には私と我が主の二人だけです。 ……と思ったら、部屋の隅の方に並べられているイスにぼんやりと二つの人影が見えました。 まだ寝起き(照)なので目が慣れてません。 その二人の顔までは暗くてよく見えませんでしたが、とりあえず推理とは関係なさそうなので今は無視するとします。 目の前にはご存知、我が主が腕を組んで仁王立ちしています。 仁王立ちって。 確認せずとももう彼女はお怒りプンプンのようで、顔の眉間にはシワがよりこめかみには血管が浮き出ていました。 ……夢の中とはおおちがいのその表情に、ヱリカはドン引きです……。 なるほど、謎は全て解けました。 私、古戸ヱリカはお説教を受けていたのですね。 我が主のお説教は非常に長ったらしいです。 それで思わず眠ってしまったというところでしょうか。 ならばこそその内容はいつも言われていることが大半であり、言われることも大体想像が付きます。 私の推理に狂いはありません。 「…………どうしたの? あんたやっぱり聞いてなかったんでしょう、この無能探偵」 我が主がそれ見たことかという憎たらしい顔でつぶやいてきました。 人聞きの悪い、ちゃんと今思い出しましたよこのスカポンタン。 ああそうですか、そこまで言われたら私だって引けません。 言い返してやろうじゃないですか。 私はまだ少し寝ぼけまなこな頭を急激に冷やしていくと、我が主が語りそうなクール(偉そう)な雰囲気で言われていたことを想像していきます……。 「コホン……。 ヱリカ、ああ私の愛しいヱリカ、あなたは本当に無能ねダメダメな子ね。 こんなイケナイ子にはいやらしいお仕置きが必要だわ、今すぐお尻を突き出しなさい。 おもいっきり叩いてあげる、みぃみぃにぱー!」 ガツンッッッ!!! 「痛ったいっ!!!」 そこまでを語ると、私のひたいに何か硬いものがブチ当てられました。 ……靴底? ――我が主の黒いヒールが顔に乗せられていたのです。 「一言も一単語も一文字ですら合ってねーよこのゲロカスッ! だいたい誰が真似しろっつったのよこのダボッ馬鹿にしてんのかッ!!!」 「うぐ……ち、ちがいましたでしょうか? もうちわけありません……」 怒り心頭の我が主、どうやら私の推理は間違っていたようです。 にぱーの発音が微妙に狂っていたか……?  まあとにかく、顔に乗せられた靴底が非常に痛いです。 基本踏まれるのは好きですが、私はどちらかというと素足で踏まれる方が好きです。  …………おっと?  「おお……これは……」 「…………? な、なによ」 まるで靴置きのように足を乗せられているこの屈辱。 けれども私はその苦境の中に思わぬ幸運を見つけてしまいます。 グッド。 損して得とれとはよく言ったものですね。 なんとそこには黄金卿が広がっていたのです。 ただでさえ短い我が主のスカート。 フリフリが付いた可愛らしいそれが、私の目の前で礼拝堂の扉を開くが如くでした。 過去に何度も何度もめくりたいという衝動に駆られた私に、どうやら黄金の神様はついにご褒美を授けてくれたようです。 「…………ピンクの紐パンツ」 「~~~~~~~~ッ!!!」 思わずそうつぶやいてしまうと、我が主は慌てて足を降ろしスカートを抑え付けます。 ……短い黄金郷でした。 けれどもまさか我が主がピンクとは、さすがDVDのジャケを華麗に飾るだけあります。 ですが私はもうあんな安っぽいアイドルみたいな仕事は二度と受けて欲しくありません。 「あ、あんた……このド変態ッ!!!」 真っ赤な顔をしてこちらをキっと睨み付けてくる我が主。 ああ、なんてウブで可愛らしいんでしょう。 スカートの中を覗き見られただけでこの反応では、間違いなくバージンにちがいないですね。 まさか百年も生きているあなたが処女だなんて、なんという奇跡でしょう。 ああそうか、だからこそあなた様は奇跡の魔女なのですね……。 「我が主、膜、処女膜、ドーナツ状のそれを是非食べさせてください……」 「…………前々から思ってたけど、あんたやっぱり私のこと、そういう目で見てたのね。 きもちわるッ!!!」 「ち、ちがいます、それは誤解です! 今のはついつい魔が差して……ベルンお姉様」 ガツンッッッッ!!! 「はぎゃあっ! も、もうちわけ……」 我が主の靴がふたたび顔に突き刺さります。 ……今度は目を塞がれたので見えません。  サービス悪りぃ店ですね。 嬢の教育がなってねーです。 「……ほんと、いい度胸ねあんた。 叱られてるっていうのにその態度、たいしたものだわ。 探偵としても家具としてもまるで役に立たない無能のくせに、色欲にだけはかまけてるってわけ? このメスブタがッ!!!」 「ぶひ」 「ぶひじゃねえッ! あ~~~も~~~こいつむかつくむかつくむかつくッ!!!」 ゲシゲシゲシ! 私の顔が何度も何度も踏まれていきます。  あんたがメスブタって言うから気を利かせて鳴いてあげたんでしょうがこのペッタンカステルがぁぁ。 閑話休題。 とにかく我が主は大変ご立腹のようです。 ブタとか家具とかの罵倒は別にいいのですが、無能は探偵としてちょっと聞き捨てならないですね。 たしかに私は戦人達とのゲームでけっして褒められた戦績は残してないですが、戦いの矢面の立たされている私にもう少し優しくしてくれてもよさそうなものなのに……。 ふと辺りを見てみると、なんと遠くに並べられたイスにはその戦人とベアトリーチェが座っているではないですか。 ……なるほど、さっきの人影は彼らだったようですね。 なんだかうわぁ…って感じの生暖かい目でこちらを見ているように思えますが、今は気にしないでおくことにします。 「……で? あんた、次のゲームへの作戦とかはあるのよね。 あるんでしょうねぇ、もちろん……?」 「さく、せん……?」 ……あ、そうだ思い出した。 私はさっきのゲームでまたあの二人に負けてしまったんでした。 それでそのお叱りを受けている最中、不覚にもグーグー寝てしまったわけですね。 なるほどようやく推理できました。 「ねえ……あんたこれで何回目?何回目だっけ?ほら何回目よッ!? あそこにいる戦人とベアトに負けるのこれで何回目か言ってみなさいよ言いなさい言えこらぁッ!!!」 我が主の足がグイッと伸ばされていきます。 私の顔が床に向かって蹴り飛ばされました。 そのままドタリと身体が投げ出されると、お餅よりも柔らかいプリチーMyほっぺが我が主にガシッと鷲づかみにされていきます。 「ほら言えッ! 言ってみろこの無能ッッッ!!!」 「ふ、ふみゅみゅみゅみゅ、ふぁ、ふぁい言わせて頂きます! これで戦人に負けたのが、よ、43回目、そして過去ベアトリーチェへの敗北が67回……合わせて100回、なんと記念すべき3桁の大台でございます」 「なんと 記念すべき とか言ってんじゃねーよこのゲロカスッ! しかも計算まちがえてんじゃねーか計110回だボケ水減らしすんなッ! もうやめちまえ、こんな計算すらロクにできないなら探偵なんて辞めちまえッ!!!」 「……ッ!? そ、そんな……我が主ィィ……」 探偵なんてやめちまえ――我が主のその無慈悲な罵倒が、私のお豆腐よりも傷つきやすい心に突き刺さります。 さきほどから何度も何度も罵られてきましたが、さすがの私もこれにはショックを受けざるをえません……。 私にとって探偵という役職は誇りであり、そして唯一の生きがいでもありました。 小さい頃から山ほどの推理小説を読み漁り、自らも探偵になり推理することによって自分の存在価値をこうして確立してきたのです。 それが今、こうして否定される。 全否定されてしまったのです。 私という存在そのものがあろうことか、創造主である我が主御自身によって……。 けれども私は負けない。 古戸ヱリカは挫けない。 この程度のことで立ち止まってはいられないのです。 なぜなら私には、私を応援してくれているたくさんのニンゲン――信者達がいるのですから。 ……信者という言い方はいささか失礼ですね。 良き友人達と呼びましょうか。 少し前、とある映像投稿サイトで見たのです。 そこには私、古戸ヱリカを励ます言葉がたくさん書かれていました。 動画の中では彼らはみな一様に探偵である私を褒め称えており、その言葉に激しく勇気付けられたのを今でも憶えています。 可愛い、嫁にしたい、変態、顔芸――などなどそこには溢れんばかりの賞賛の嵐……。 私は友人と呼べる人はユングフラウの三人しかいないものと思っていましたが、実際には全国にたくさんのニンゲン達が心の友としてずっとそこに存在してくれていたのです。 そしてこれからつぶやくのは、そんな彼らの中のとある一人が作り出してくれた歌――。 探偵、古戸ヱリカを称える実在する挽歌なのです。 戦人達や我が主との戦いで心が傷つけられたとき、私にほんの小さな勇気と力強さをくれた――魔法の歌。 聞いてください。 『名探偵は知っている』。 「わったっしーはめいたんてー。 ぽぽっぴっぽー、ぱらーらりらー」 ドッゴォッ!!! 「おぐおぉぉ……腹ぁぁ……」 我が主の鋭い靴先が今度は下腹部へ突き刺さりました。 ……子供産めなくなっちゃう。 私の子宮を男に取られたくないのはわかりますが、こういう愛情表現はちょっとご勘弁願いたいものです。 さすがにマゾの私でもこの痛みは No Thank you。 突き刺さった我が主の足先をどけようとその細い足首を掴んでいきます。 「わ、我が主。 さすがの私でも、こ、こういった愛はちょっと受け止めきれません。 せめてお靴を脱ぎ脱ぎしてからにしてくださいな……」 「………ねぇ、あんたひょっとして馬鹿にしてる? 主である私を馬鹿にしてわざとそういう態度とるんでしょう。 それでこの腹の中ではクスクス笑ってるんでしょうねえどうなの答えろッ!!!」 「ぐ……め、滅相もございません。 私は我が主を尊敬しております敬愛しております! それどころか愛してさえいます! それがどうして馬鹿になどできましょうか? 我が主チュッチュッ!」 「ちゅっちゅじゃねえええだらあああぁぁぁぁぁぁッ!!!」 グリュウゥゥゥゥゥッ!!! 「うげぇぇぇぇ、ね、ねじり込んだ、だとぉぉぉ…」 足をどかせるどころか、我が主のつま先が私のお腹の中で180度曲げられていきます……みぞおちがきっちぃ。 グリグリグリ! 内臓に食い込んでくるそれはまさに第六の晩に腹を抉りて殺せ。 これ、ちょっとマズイですね。 「わ、我が主……ちょ、本気で痛いんですけど! や、やめてぇっ!!!」 「……いい声だすわね、それが聞きたかったの。 ほらもっと泣け。 痛いでしょう鳴け。 ブタみたいに泣いて詫びてみせろ! 鳴いて少しは私の退屈と苛立ちを紛らわしてみろッッッ!!!」 ……こいつはマジでヤバイです。 さすがにちょっとふざけすぎました。 我が主の目が本気モードになってやがります……。 私はお腹の痛みとさきほどから感じているストレスとの折り合いを付けられなくなると――ブチ切れました。 「もーーーーーー!!!」 「…………きゃッ!!!」 我慢できなくなった私は勢いよくその場を立ち上がります。 やってられるかこんなもん! 驚いた我が主は後ろにポテンと尻餅を付きます。 あらかわいい。 「い、痛ったい。 あ、あんた、いきなり何すん」 「うるさいです! だいたいなんなんですか、私はいつもゲーム盤で必死になって頑張ってるっていうのにこの仕打ちはひどいんじゃないですか? &br()それなのに我が主はただ後ろで眺めながら、うふふ梅干紅茶おいちーって言ってるだけじゃないですかこのぐうたらニート魔女!」 パチンッッッ!!! 「…………痛ッ!? な、な、な……」 逆切れした私はその場の勢いもあり、尻餅を付いている我が主の頬をペチンと叩きます。 正気に戻って! 叩かれたわが主は一瞬目を丸くしました。 けれどもすぐに私のような下女に殴られた事実を受け止め始めたのか、ピクピクと可愛いお眉を痙攣させていきます。 うわ、デンジャラス~。 「あんた……私に逆らうの? いい度胸じゃない……サイアクのカケラに落されたいのね?」 「え……ええどうぞどうぞ、サイアクカケラ結構ですよ。 &br()だいたいなんなんですか、そのドレス。 いい年してゴスロリドレスみたいなもの着こんで、おまけに猫のしっぽまで付けちゃって恥ずかしくないんですか?  出オチですよ、はっきり言って」 「~~~~~~~!?」 顔を真っ赤にしていく我が主。 ウィークポイント発見! 気にしてたんですね、可愛いグッド! 「というかようするに、あれですよね。 私が戦人とベアトリーチェに勝てば文句ないわけですよね! 名探偵古戸ヱリカにはそんなのよゆーですよゆー」 「……じゃ、じゃあ行って来なさい。 今すぐあそこにいる戦人とベアトに次のゲームの約束を取り付けてきなさい! そして次こそ勝ちなさい勝たないと次こそ殺すわよッ!!!」 「ええ、行ってきますよ? 言われなくてもそのつもりでしたしね、ああもう憎たらしい顔このこの!」 私は我が主のおでこをペチペチと叩くと、内心ヒヤヒヤしながら戦人達の元に歩き出しました。 ふひーあぶないです。 どうにか誤魔化して切り抜けましたけど、我が主にここまで逆らったのなんて初めてなので肝を冷やしました。 サイアクのカケラに落されるのはもうコリゴリですからね! 水死体って臭いし……。 「ふんふんふ~ん、ふ~ん♪」 「駆け足ッ! モタモタすんなッッッ!!!」 「あーはいはい!」 我が主に急かされると私はすぐさま全力疾走します。 なんか小姑みたいですね、やだやだ。 「戦人すぁ~ん、ベアトリッチェ! ちょっとお願いですほらいつもの~」 そしてそのまま二人の前にまで辿り着くと、ズザーっと滑り込むように土下座をしていきました。 もはや完璧な、それでいて無駄の無い111回目のスライディング土下座。 それは私が我が主からのお叱り、そしてこの二人に対しての敗北によって得た経験の賜物なのです。 そして厳かに優雅に華麗に――私は戦人とベアトリーチェにお願いをしていきました。 「初めましてこんにちは。 探偵、古戸ヱリカと申します。 本日はお二人に再戦のお願いをしに参りました」 おでこを地面にゴリゴリと押し付けながら、私は縋り付くように言葉を搾り出していきます。  どうだ、ここまで丁寧にお願いをされては断れまい。 案の定エサにかかったのか、イスに座っているベアトリーチェは手元のパイプをクルクルと回しながらそれに了承していきます。 やだ……ちょっとかっこいい。 「う……うむ、かまわぬぞ古戸ヱリカ。 妾達は何度でもそなたの挑戦を受けようぞ。 な、なあ戦人?」 「あ……ああいいぜヱリカ、勝負してやる。 あーなんなら次は探偵権限を行使させてやってもいいぜ? な、なんせ俺とベアトは最強のコンビだからな。 ハンデだハンデ、ははは」 「ありがとうございます。 お二人の海よりも広い御心、真に感謝致します……」 私はあくまで紳士淑女風にお礼を述べていきます。 けれども内心ではヒッヒッヒとほくそ笑んでいました。 グッド。 それ見たことかそれ見たことかッ。 なんて馬鹿な奴らッ!!! 思ったとおり、このスイーツ(笑)な二人は私との再戦を飲むどころか探偵権限というご褒美までオマケしてくる始末。 なんて平和ボケした奴らでしょう。 勝てる。 探偵権限があれば、次こそはこいつらに勝てるッッッ!!! そして約束を取り付けたのならもう猫を被る必要もないですね。 私はドヤ顔でその場を立ち上がると、二人を嘲笑のまなざしで見つめてやります。 かわいそうな子達……。 「ふふ……あいかわらず甘いですね、あなた方も。 探偵権限、もらいますよ?ほんとに。 もらっちゃうぞ?」 「あ、ああ、いいぜ。 というか全ゲームの半分くらいはいつもあげてやっ」 「戦人……ッ!」 戦人が何かを言いかけたその時、隣のベアトリーチェが彼の胸を小突きました。 コツン、と。 ほう……なるほど、何か秘策があるというわけですね。 馬鹿な奴らです。 類まれなる洞察力を持つ私の前でそんなわかりやすい反応を見せるなんて、これは次こそ大勝利ブイ! 我が主をやっと喜ばせられますね、キャッ。 「ふふ、オーケーオーケー。 あなた達がどんな作戦を思いついているのか知りませんけど、この古戸ヱリカは更にその上をいってみせますので。 ……お二人とも、お覚悟を(にっこり)」 「ぬう……これは手ごわいぞ戦人。 この女の気迫、いままでとはちがう。 今度こそ妾達は負けてしまうやもしれぬ……な、なあ?」 「いや、負けねーだろ。 だってこいつこの前事件起こる前に自分を差して私が犯人です! とか言いだしたんだぜ。 意味わかんごふッ!!!」 突然、目の前の戦人さんが血を吐いて崩れ落ちる。 ……なぜ? ……ああそうかこれはまずい。 これはきっと私のせいですね、静まれ静まれ……。  「ぬぅぅ、どうした戦人ーしっかりしろー。 おのれ古戸ヱリカ、戦人に何をしたー」 「……ああ、すみません。 何もしたつもりはないんですけど、私の108つある探偵能力の一つ、周りの登場人物が次々と怪死していく。 相手は死ぬ。 が発動しちゃったみたいです。 ごめんなさい、ベアトリーチェ(にっこり)」 「な、なんという恐ろしい能力……これは一時撤退するしかない。 勝負は預けるぞ古戸エリカ、逃げるぞ戦人ーびゅーん」 私の余りの力に恐れおののいたのか、ベアトリーチェは戦人さんを抱きかかえるとそのまま霧のように姿を消してしまいます。 ……逃がしたか。 まあいいでしょう。 ここでトドメを刺してしまっても良かったのですが、それはやはりゲーム内で済ませるのが流儀というものです。 どのみち私に探偵権限を差し出してしまったのが彼らの運の尽き。 もう彼らにひゃくじゅう……ひゃくご、にじゅう…………。 103?回目のゲームが訪れることはないのだから……。 「…………話、終わった?」 私がふっふっふと不敵な笑みを浮かべていると、背後から我が主が声をかけてきました。 どうやら私のことが心配になって来てくれたようです。 この方もクーデレですからね、ふふふ。 「はい、我が主! 見事再戦の約束と探偵権限を獲得致しました。 これで次こそ大勝利をお約束いたします!」 「…………そ。 じゃあ帰りましょう。 私疲れちゃったわ……帰ったらシャワー浴びて早く寝たい」 「はい、我が主! お背中お流ししますね?」 「いい」 あいかわらず素直じゃない我が主。 でもそこが可愛いですね、グッド! 私はどさまぎで主の腕に自分の腕を絡ませていくと、ルンルンスキップで二人仲良く魔女の寝室の帰路へとついていくのでした……。 「ところで我が主、勝利後のご褒美の件なんですがさっきのパンツくーださい」 「死ねッッッ!!!」 終わり &counter(today) &counter() ---- #comment_num2 ----

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